2004/09/04

【Journey】さぬきうどんツアー2004・その9「あたりや」

◎さてラストを飾るのはあの宮武ファミリー「山内」で修行した大将が開き、山内を超えたといわれる高松の名店「あたりや」。 これはもう完璧に僕のリクエスト。
あたりやもなかなか偶然には発見しづらい場所にあります。 何といってもパチンコ屋の駐車場の下ですから…。 場所自体は単純明快。 国道11号の上天神交差点のわき。 目をつぶっていてもたどり着けるところです。

◎しかしいざ行ってみるとパチンコ屋はいつの間にやらフィットネスクラブに変わってるじゃないの!!。 あらー。 でも建物自体は変わっていないし、店もそのままありました。 ちなみにここには車2台で行ったんですが、事情を知らない後ろの車の2名(相方と青年)はすげく不思議そうな目をしてました。 そらそうだ。 あの状況じゃ、誰だってフィットネスクラブに用があると思いますわな。でもそのフィットネスクラブの横を通り過ぎて、地価の駐車場に降りると、その奥にプレハブの建物で「あたりや」はあります。

◎さて店に入ると正面がうどん場とカウンター。 4席のテーブルが6個ぐらいと奥に座敷。 入り口の左側にはガラスケースがあり、これでもかというぐらい大量の天ぷら・おにぎり・いなりが並んでいます。 カウンターにはちゃんと「あつあつ」「ひやあつ」「ひやひや」の文字が。 おお宮武系の雰囲気が漂うのぅ。ひやひやの大を注文し、座敷に席を取り、辛抱しきれんのでちくわ天を取ってガジっとかじると…おお!! ちくわも衣も、この味付けはまさに宮武で食ったソレだ!! これは期待できるなー。

◎ほどなくしてうどんがやってきた。 ここまで読めば判ると思いますが僕は基本的にネギ以外うどんには何もかけない。 ズルっといくと…。おお 間違いなく宮武の血統。。固麺が口の中でプリプリイキイキしているのが非常によく判る。 カドの生きた、活力にあふれた麺だ。 ただ、全体の麺の作りは宮武よりも「田舎臭さ」が取れた感じ。ここは好みが分かれるかな~? んでもってダシはたむらでも味わったような「カツオの残り香が楽しめるダシ」。 うおーこれも俺の好みだ。 既に2杯食って胃袋はそれなりのところに来ているのに、モノも言わずに勢いだけで大を食いました。

◎しかし昼前だと言うのにお客さんは次から次から入ってくる。 家族連れも入ってくる。 パチンコ屋だったころは、きっとパチンコで遊び終えた人とかがゾロゾロと入ってきたりしていたんでしょう。
座敷で水を飲みながら満足感に浸っていると、ふと目に入ったウォータークーラーには「山の水1号」「山の水3号」の文字。 おーい2号はどこなんだw
立地以外で特に怪しい点は無いかと思っていましたが、そこはさすが香川県。 やはり小ネタを忘れない県民性が現れていましたw


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◎そんなこんなで足掛け3日間で9軒、一般店に製麺所にS級怪しい店に絶対発見出来ないロケーションの店に、ととにかくいろいろ回りましたが、判っていたこととはいえ、改めて、麺も店も1軒たりとて同じものが無いさぬきうどんワールドの深さを体験してきました。
僕は評論家でもないしグルメな人間でもないのでどこの麺がええとか悪いとかそういう観点では語りませんが、個人的な好みで行くなら「たむら」「あたりや」「赤坂」あたりは非常に印象に残りました。あたりやを以外の2軒はロケーションにもかなりの強烈性を持っているというのもポイントですかねw

◎そして、今回苦しい思いをしながら9軒も回って思った事は、さぬきうどん巡礼ブームの「おもしろさ」は、勿論1軒1軒のうどんの美味しさもあるんですが、普通発見できないような店、観光目的なら絶対通らないような県道をドンドコ走ってうどん屋をめざし、探し回る「ワンダリングの楽しさ」もそうだし、何よりもたむらや赤坂、中北に代表されるような「地元の生活文化に密着したうどん屋」に行き、その地区の日常に触れることで、店にいるその時だけでも「香川の田舎の日常を共有できる」と言う点にあるかと思います。(まぁ、日記にも書きましたけど)

◎観光、ひいてはコンテンツビジネス全般に言えることとして、そのビジネスモデルは「コンテンツの提供者がコンテンツの受領者の都合や要望に合わせていく」のが普通だと思います。だから例えば食べ物に関するコンテンツビジネスは「売らんかな、食べんかな」になって、店の内装をきれいにし、食べ物の見た目をきれいにし、立地を選び、店を便利にし、その分少し値段を上げて、高級感や独自性をアピールしていくのが一般的なものだし、特にそば屋なんかは「和風」をこれでもかというぐらい強調した店作りになっていたりします。 まぁざるそばが普通のプラスチック容器&鉄網に乗って出てくる店なんて聞いた事ないですもんね。

◎でも香川の(うまいと評される)うどん屋の大半は違う。客が集まろうが、知名度が高まろうが、基本的にそのまんま。 山越みたいに店舗拡張をやる店もあるけれど、基本の路線は変えないし、山越自身、結構店の人が楽しんでやっている(商売っ気よりも、自分たちがうどんを提供する事自体を楽しんでいる)のがよく判ります。 観光地化の弊害と言い切ってしまうことは簡単だけど、うどんを作る事、食べてもらう事を楽しんでもらうのはいいことだと思う。 勿論、何もしないで「素のまんま」を楽しめればもっといい。
要は、コンテンツの受領側がコンテンツ提供側の状況を楽しめる、というのが一般的な観光ツアーとは全く異なってる訳です。

◎そんな香川のうどんも今結構変革期を迎えているらしく、若い大将による「人に来てもらえるような一般店」を目指す店も増えたそうです。 もちろんそれはそれで歓迎すべき事じゃないでしょうか。 よくある勘違いとして「素朴な製麺所のスタイルこそがさぬきうどんのあり方だ」と言う意見ですが、それは「原点」であっても、「絶対的なもの」ではないと思うんです。 現に山越は店舗拡張にしたがってうどんの質が落ちたのか? なかむらが小屋をきれいにしてうどんを店側が(ある程度)準備してくれるようになって、店が悪くなったのか?
どっちも答えはNo。 彼らはうどんというコンテンツに付加価値を持たせようとしているのではなく、うどんというコンテンツそのものを楽しんでもらう、そして自分たちもコンテンツを提供する事自体を楽しみたいと言うところから、そういう行動に出ているんだと思うんです。それは若い対象による一般店にしても、極論を言えば「東京麺通団」にしても同じ事でしょう。

◎既存の食べ物系コンテンツビジネスによくある「付加価値を売る」「状況を売る」のではなく、うどん屋のロケーションを、雰囲気を、うどんそのものを、庶民の視点から理屈ぬきで楽しんでもらえる、ぬるくもやさしい空間。 表面は変わろうとも、そういったさぬきうどんワールドの本質が、これからも続けばいいな、と思っています。

【Journey】さぬきうどんツアー2004・その8「穴吹」

◎次にチョイスしたのは「穴吹」なんでもなかむら系のズルズル麺だということで僕も相方もかなり期待。豊中からやってきた青年は「え、回るって聞いてなかった~」などと言うがともかく強制連行。
場所は香川インテリジェントパークの近所、と言う事は判っていたんですが、いろんなサイトで地図を見ても地図の表記がバラバラ。しかもそうとう道が難解らしい。 中北級のややこしい道を期待しながら車は出発。
国道32号から東山崎を抜け、高松西インターの真下で県道三木国分寺線に合流、ひたすら東を目指します。

◎仏生山を抜けて多肥に入り、左側のデイリーヤマザキを目印にその手前の道を右折すればOKと思っていたのでそのまま右折、JA多肥支所を目指すと…あら? インテリジェントパークに抜けた。 道の右側にミニストップ。 こらいかん。突き抜けてしまった。インテリジェントパークの敷地をぐるっと1周して今度はミニストップの脇を通り、道の右側に木工所があるというのでそれをじーっと探していると…こんどは右側にJA出現。こらいかん。 また突き抜けてしまった。 仕方が無い。 「ちゃんとした道」からのアプローチはあきらめて、アゼ道爆走ルートで行くか…と思ってデイリーヤマザキ脇の道を入ろうとしたら、道がないやないか!!
もうここでお手上げ。 後続にもう1台車が要るのもアレなのでデイリーヤマザキで青年の車を置き、3人が1台に集合して再出発。

◎「四国ホームとデイリーヤマザキの間の角を北に取る」と言う事は判っていましたがどう見ても四国ホームが見当たらない。 とりあえずデイリーヤマザキの直ぐ横にある交差点を北にとって、温室と讃光化建の間の筋を探すと、少し走って発見。 うーし第1関門クリアー。 そこを西に取り、今度は運送会社を探します。
相方「お、奥に運送会社あるよ。 あれ違う?」
そこまで行ってみると、確かに北方向にあぜ道は走っているが…これは…中北の前の筋よりさらにシビアな舗装されたあぜ道。幅はセディアと大体同じぐらいしかありません。 しかもそこは突き当たり。(今から考えれば、この時点で間違えていた) うー、何て説明すればええんでしょうね。 ともかくあぜ道は下り坂になってて、奥側は運送会社のカベ、手前側は田んぼなわけです。 こんな道曲がれるかー!!
曲がりました。 脱輪しそうになりながら。だけんコンパクトカーにしてくれとあれほど言ったのに… 神経をカンナで削り取るような思いをしながら、歩行者すら対向できないぐらいの細い道をずーっとずーっと北に取ると、なにやら看板が見えた!!「あれじゃ、行けー!!」 仏にも縋る思いでその店を目指すと…
…菓子屋でした。 こらー!! まぎらわしいもん、立てるなー!!
仕方が無く菓子屋の角を曲がると、あれ、さっきJAに抜けた時に通った道やが。

◎これは完璧に迷った。 うーむこうなったらローラー作戦だ。先程の道を走破して少し自信のついた僕は今走ってきた道のもう1本西側の道を今度は南下。 しかし見当たらない。 目前には電気屋がある。 よし、ここで道を聞こう。
電気屋に駆け込むと、「あー、そこのカーブミラーの角を北に入ってな~」って、そこ、俺らが来た道のもう1本西でした。 しかもそのカーブミラーの角は、最初の運送会社の角よりシビア。 一応何とか曲がりましたが、多分タイヤ2~3センチは道からはみ出ていたと思います。そのまま祈るような思いでその道を北へ。
…すると、なにやら青い庇の出たスレートの建物が!! あれに違いない!! よっしゃ行けー!!
建物の手前のスペースに車を止めて、表に回ると、うどん屋さんです!!

◎いやーしかしまー、これは偶然には絶対発見できない。「うどん」と書かれているから判別はできるものの、町工場と勘違いしそうなたたずまいで「穴吹」はそこにありました。 写真を撮っていると中からおっちゃんが出てきて「うどん食うんな、中入りや~」と、調理場のほうに案内してくれました。
3人とも冷を頼み、調理場の奥(駐車場側の入り口)には8席程の食べるスペースに天ぷらと鍋に入ったダシが。 ダシは讃岐にしては濃く、黒かったです。
えー、黒くて濃いダシは、見た目どおりに少し味が強めなので、ぶっかけダシの要領で少しだけかけてかき混ぜると良い感じになります。 そして何より麺ですが、なかむらの麺を少し固めにしたような感じ。作り置きだったので鮮度は少し落ちますが、間違いなくこれもズルズル入る。

◎ものも言わずにズルズルと食い、麦茶を飲んで一服していると、店主がやってきました。
いろいろ話をしていると、平日はインテリジェントパークに勤める人たちが玉単位でうどんを買って行ったりするので昼前でも打ちたてが食えますが、あいにく土曜日だったので作り置きだった、とのこと。 確かにインテリジェントパークは結構近いので、この麺が広まれば今後ブレイクするかもしれませんねー。
などと思っていると、あの㌧でもない道をオデッセイで入ってくるおっちゃん2名。 多分常連客だ。 手馴れた手つきでおかずやダシを取り、ズルズルと食っている。 まぁ製麺所じゃよくある光景だけど、セディアでも苦労する道を、オデッセイで来るとは… まいりました。

◎ちなみに帰り道、来た道を戻り、カーブミラーを過ぎてドンドコに南に降りると…ありゃ? 運送会社の脇に出たぞ? しかも最初曲がった道とは違う運送会社。 と言う事は…
「俺が運送会社を見逃しとったんかー!!」
でも、相方も「あれや」言うとったし、結果的にはたどり着けたから、まぁええか。


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【Journey】さぬきうどんツアー2004・その7「赤坂」

◎さて2日目。 今日は新幹線の都合と、前日のツアーで「こんな系統の麺が食いたい」と言う方向性が出揃ったところで、さらなる穴場を目指す事になりました。 そのまず1件目が相方の「しょうゆうどんが食いたい」というリクエストを考慮して赤坂に決定。 更に相方のツレ(豊中の青年)も合流することになり、集合場所は青年が「大体場所は判る」と言っていたので店の前に決定しました。

◎早朝にホテルを出発。 国道32号線をドンドコ走って陵南町へ。 陶の交差点(右に行くとたむら)を左手前に取ります。 普通に左折するとことでんのガード下に抜ける(旧国道32号線)のですが、実はそこは二股になっていて、細いほうの道(陶駅へ行く道)を行くわけです。するとすぐ旧国道に突き当たる(ちょうど陶病院の目の前あたり)ので、それを右へ。綾川を渡る「大橋」と言う名前の小さい橋wのたもとにある廃屋にしか見えない建物がそれです。
道端には一応「赤坂うどん」と看板が出てますが、橋の袂の道は対向できないレベルでシビア。

◎さて赤坂の店に着いて、私・相方「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!」
そこは完璧にあばら屋でした。 なかむらが改装して少し綺麗になっている分、木造塗り壁で瓦が少しずれて、戸も傾いた赤坂の店の外観は完璧にあばら屋。何世代も前の、塗装が剥げ落ちたようなコカコーラの自動販売機(あの250ml缶がめちゃめちゃ似合うタイプ)が置かれ、店の駐車スペースの奥は粗大ゴミや廃車が雑然と置かれ、廃車の中には自転車が入り、飼い犬が2匹おり、横の川からは自然の香りが漂う… 何なんだここは。 僕らが来た時には近くの大学生風の客が2~3人いたので「営業中だ」と言う事は判りましたが、彼らがいなければ「潰れとる」と勘違いして引き返した事でしょう。

◎ほどなくして豊中の青年も合流。 我々3人は店に入ったわけですが、3人(,,゚д゚)<・・・・ 入った瞬間、私、思考が0.3秒止まりました。 外観のあばら屋っぷりもさることながら、内装もすごい。 「戦時中かここは」と思えるような総木造の内装に、色の剥げ落ちた掲示物が数枚。 店に入るといきなりカウンターですが椅子は無い。 カウンターにはダンボールにぎっしり詰められたミニアルバムと、みんなが住所氏名感想を書いた大学ノートが1冊。奥のほうにうどん場が広がる。 でも、そのうどん場にはステンレスの調理器具が周囲の見た目と全くマッチしないで置いてある。何なんだここは。 ◎奥のほうからえらく愛想のええばーちゃんが「何すんな~ ぬくいんとつめたいんがあるけんな~」とニコニコしながら出てくる。「僕、つめたいん」「私もつめたいん」「僕はぬくいん」と注文すると、セイロから玉を取り出して器に出してくれる。 するとおばちゃんおもむろに「ネギはそこにあるけんなー はさみでチョッキンしてな~」ばーちゃん、客が来てめちゃめちゃ嬉しそうだ。 はしゃいでいるのが手に取って判る。 キャラ良すぎるぞ、ばーちゃん!! ふと見るとカウンターに、ハサミとねぎの切れっ端が置いてある。 いや、この「赤坂」と言う店がねぎをハサミで切るというのは聞いていたけど、目の当たりにするとまた数秒思考が止まってしまいますた。 ◎ねぎをハサミで切りつつうどんに乗せ、自転車用の油さしのような容器に入ったダシ醤油をチャッとかけてかきまぜながら外に出る。 川のせせらぎと虫の声に包まれると言うなんともいえない開放感の中でズルっと一口。
…えー、ここのうどん、綾南地区のうどんとしては珍しく固さがまったくありません。 コシというかねばりがしっかりしていて、口にくわえて引っ張るとぐいーんと伸びる。 まるでもちのような麺だ!! 噛んだ感じもぐみぐみしてて、とにかく食感が面白い!! 勿論箸で持ち上げて切れるようなことはありません。中北の麺の「やさしさ」をさらに前面に出したような、…うー何というか、なんかあの「キャラが良すぎるばーちゃん」のキャラが前面に出てきたような、そんな麺でした。 こんなん初めて。

◎うどんを食って店に戻って食器を片付けると、ばーちゃん「サインしてってな~」とニコニコ、もう上機嫌絶好調。ちゃんとPR用の名詞(というか、単にコピー用紙に住所などを印刷しただけのもの)も渡してくれるし、しまいにゃうどんを踏みながら「今踏んどんやけど、一緒に踏むか~♪」と、とにかくばーちゃんええ味出しすぎ。
奥ではステテコ姿のじーさんが黙々と新聞読みながらうどんを食っている。 そこに存在するだけで味を出すじーさんだ。 なんかもう、ここは、「田舎の老人の空気」のあふれた桃源郷だ。
ちなみにばーちゃんの人柄に惹かれた相方は「うどん注文しようかな」言うてました。
全国発送しとんかの? でも注文したら、ばーちゃん、熨斗つけて送ってきそうな感じもしますねw


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【Journey】さぬきうどんツアー2004・その6「中北」

◎さて本日ラストを飾るのは中北。 あの「麺通団」発祥の地であり、僕が「行った事があった」数少ない店のひとつ。 ここは絶対に発見できない立地で、僕らは一度たむらの前の道を北に取って旧国道を通っていったんですが、僕が通ったルートは判りにくいのと、よく紹介されてる道で逝くと大変な目にあうので別の道を紹介しますね。(ちなみに国分寺あたりの旧国道、「ジャンボ」があるあたりを走っていると、大中小3つの山が仲良く並んでいる地点があります。 風景が面白いですよ)

◎判りやすい道とは、高松市内の国道11号沿い、勅使の交差点にあるセガワールドを目指し、円座方向に取ります。高松からなら西ハゼ経由のルートを通れば勝手に交差点に出ます。交差点から直ぐの十字路(信号なし。 セガワールドの裏手に入る。 角は工場)を左→セガワールド裏の道を通って突き当たりを右→郵便局駐車場脇のめちゃくちゃ細い路地を入って行きます。
「ほんまにこんなとこにうどん屋があるんやろか…いや、それ以前に、カラブリだったとして帰れんやないか…」という不安を打ち消しながらセディア号をコンクリート壁ギリギリで時速数センチで走らせていくと、突然目の前が広がってうどん屋が出現してきます。 うおー、この立地は偶然には絶対発見できん!!
ちなみに陵南町側から32号線経由のルートを通る場合、香東側の手前、円座の交差点を勅使方向に取ってその道をずーっといくと、香東川を越え、西村ジョイを越え、高松南郵便局の奥の工場の角を右に取る事になります。

◎行くとわかりますが、とにかくここは絶対に発見できないと断言してもいい。 何せ住宅街の真ん中というか、集落のド真ん中。観光客に「来い」というのがどだい無理な話。ちなみにこの道、自転車が来ても対向できません。更に言うと、「恐るべき…」などで紹介されている国道11号沿いのサンクス・玉木商事からのルートを取ると、目印が無い上になかむら級のとんでもなくシビアな角が待っています。セディアでも行く自身がありません。
しかし、発見さえしてしまえば一撃でうどん屋だと判ります。昔は無かったそうですが、今は「中北」と白とオレンジの看板がでーん。 でも看板があると言ってもどう見ても家にくっついた納屋から湯気が出て人が出入りしうどんを食う光景。他県民が見たら「なんじゃこりゃ?」と思うでしょう。 相方はなかむらとたむらのロケーションで慣れたみたいでしたがw

◎中に入ると右側がカウンターとその奥に製麺スペース。 奥のほうではじいさんがいわしフライを揚げている。(このいわしフライがうまい!! 値段は「時価」ってなってますが、高くても170円w)おもむろにおばちゃんが「何すんな?」と訊くので「小ちょうだい」と。 ココから先は自分でやります。 一応麺のゆがきスペースがあって、麺をぬくめたい人はここでゆがく。 よくある大衆セルフと同じやり方ですが、セルフの文化を知らない相方はまごついてました。 ポリタンクに入ったダシをかけ、カウンターの反対側の席に着くと、小さいポスターや昔の新聞記事などが貼ってある。 真後ろのスペースでは、今風のねーちゃんが昼飯代わりにいわしフライとおにぎりとうどんを食っている。 奥では真昼からサラリーマン軍団が酒盛りやっとる。 完璧に「近所の寄り合い」状態。

◎んでうどんですが、まぁ温めたこともあって、固さはなく、コシもそこそこ(強コシ店を巡ってきたのでかなり弱く感じるが、十分なレベル)透き通ったダシも味は控えめで、とにかく全体的に「安心して食える」。 間違いなくうまいんですが、「うーまーいー!!」と口から怪光線を噴出す(@味皇)ようなことはなく、「普通の気持ちでうまいうどんを普通にズルズル食える」と言った感覚。 なるほど、この味なら近所のおっちゃんおばちゃんねーちゃんにーちゃんが寄って来て寄り合い状態になるわけだ。なんかこう、店の「やさしさ」を感じるうどんです。
仕事の合間の昼飯にフラっと寄っておにぎりや天ぷらと一緒に食いたい、そんな店。

◎ちなみに中北の天ぷらですが、地元の連中が結構いろいろ持ち込んで揚げてもらっているというのがあるらしく、話に聴くとアスパラを揚げてもらって自分で食ったツワモノもいるそうです。
でもそーいう「なんでもあり」があたりまえに通用しそうな雰囲気の漂う、店も客も麺も「田舎のぬるい空間」なうどん屋ですな。


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※2008年11月追記:2006年夏に店主が亡くなり、それ以後休業されているそうです。
 中北を愛するものとして、再度の開店を心より希望致します。

【Journey】さぬきうどんツアー2004・その5「たむら」

◎さてここまで3軒回ってだいぶ腹もおきてきましたがツアーは続行。ここまではメジャー3軒を回りましたが次は僕がいろいろ調べて前評判が実に良い「たむら」。 もうここまで来れば土地勘は働くのでナビも必要ない(というか登録されて無い。 つまりメジャーな店じゃないんです)。 山越を出て国道32号に合流。(以前は旧32号で切れていたんですが、32号バイパスまでの道ができてました)。 高松方向に走って陶の交差点を北へ取る。この道をずーっと行くと坂出市に入り、府中湖の脇を抜けて国道11号の府中の立体の近くに出るんですが、目指す「たむら」は陵南町の中の交差点のカド。

◎と言うか「この道の交差点のカド」と言う情報だけを頭の中に入れていたので、とりあえず交差点がわからず適当な道を右に取る…けど、無い。 仕方がなく脇の田んぼ道を突っ切り、もう1本奥の筋に出て県道を目指す。生コン工場を左に見ながら、店があるはず…という地域を探すが、見当たらない。 自販機コーナーを交差点のカドに見ながら直進し、「これは違うな」と車をUターンさせ、もういちどその交差点に着くと…あらー、ありました!! 民家としか思えない建物の正面にごく小さくコカコーラの看板と「たむら」の文字。 これ、看板見落としたら通過します!!
ちなみに自販機コーナーはたむらの店の向い側にあることになり、要するに僕が筋を勘違いしていただけなんですが… これを相方が曰く、「道端に自販機コーナーがある時点で怪しかった」とのこと。 先言ってくれーw

◎さてそんなたむらですが、ここまで巡った店の中ではかなり強烈な部類のロケーション。確かに看板は出てるし、山越で出くわした観光タクシーの連中(僕らが迷っている間に着いたらしい)もいるのでうどん屋だとわかるんですが、もしこのタクシーがいなければ、観光客は絶対素通りするような…一言で言えば「つぶれかけたこ汚い大衆食堂」みたいな店構え。 いや、実際僕もこの道は在学中何度も通ってるんですが、完全に素通りしてました。 だって怪しすぎて(しかも店だとわかるが故に)近づきづらかったんだもーん。
自販機コーナーに車を止めて店に近づくと、先程の観光タクシーが次の店へと出発準備中。よく見ると、「◎◎株式会社ご一行様」…こいつら、平日に社員旅行でうどん屋回ってるのか!!

◎店に入ると4畳半程のスペースにカウンターが取り囲まれており、奥のうどん場でおばちゃんがうどんを洗っている。どないして注文するのかわからずまごついていると常連っぽいおっちゃん登場。ついていけば手順が判るだろうと思ったら、おっちゃん、厨房に乱入!!で、おばちゃん、振り返りもせずに一言。
おば「何すんな」
おっ「小ちょうだい 冷たいんな」
おば「へぇ」言うて、おばちゃんこれまた振り返りもせずサッと小を出してくる。
これはすごい所にキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!。 完璧に製麺所マインドだ。 僕も真似して「小ちょうだい」言うたら、おばちゃんまた振り返りもせず「ぬくいんな、冷たいんな?」いうて訊く。 勿論冷たいほうだ。「つめたいんちょうだい」言うたら後ろ手に「へぇ」言うてステンレス台にうどんを置く。 ええなええなー。 うどんが入っているのはプラスチック製の安っぽい器だ。 ええなええなー この「間に合わせ」な田舎の状況。 こういうの大好き。
さてネギを入れて…あれ? ダシはどこや? と思ったらおばちゃん、僕がまごついているのに気がついたのか「ダシこれな~」いうて振り返って教えてくれた。 なんや、おばちゃん、実はええ人やんw

◎さてうどんを片手にカウンターを抜けて外へ。 立ったままズルっと一口入れると…「!!!」
えー、頭の中、電流が走りました。 固麺系で、角は少し取れているんですが、ピチピチ感というか、鮮度を感じる。 そして舌にも胃にもズシンと来るコシ。宮武をさらに強烈にしたような、ダシが珠玉!! 口にすると、最初はイリコの風味、 そしてほわぁ~んと口の中にカツオの風味が広がる!! すげぇバランス!! 食っていくごとにダシが濁っていくのも、田舎麺の象徴!! うおーこれはすごいもんを食った!! 胃袋が許すなら2~3回はおかわりして食いたい!! マジでうまいです。
ロケーション的にも、日当たり最高の軒先の向こうの自販機コーナーの向こうは完璧に田園風景。 府中湖の山の向こうには、讃岐富士をはじめとした飯山あたりの山々も見える。ええ景色を見ながら珠玉のうどんを食う。 店の怪しさに物怖じしていたら絶対に体験できない。一撃で今回のマイフェイバリット登録。 うおー、俺はこんな店を見逃していたのか~と、ちょっと後悔。

◎さて余韻さめやらぬまま車に戻ろうとすると、常連客らしいおっさんが、人の車の真横で立ちションしよる…こらーおっさん!! 何すんやー!! ま、このおっさんは冷害にしても、ここに来るのは店の周囲の工場のトラックの運ちゃんとか、近所のじーさん、玉売りを買いに来たおばちゃんなど、完全に「周囲の生活文化に溶け込んだ店」なんですわ。 だからこそ逆に一見の観光客が素通りするわけだ…
絵に描いたようなてんとう虫が迎えてくれたりと、ともかく「香川の田舎の風景」がぐぐっと凝縮されたような、桃源郷よろしくの空間でした。


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【Journey】さぬきうどんツアー2004・その4「山越」

◎さてお次は山越。 ここから陵南町エリアです。僕の学生時代の行動範囲は高松市街地の中央通から西側、坂出、宇多津、綾南、綾上、といった範囲なので、陵南町に入ってしまえば道も判るというもの。
なかむらを土手側から出て再度県道善通寺府中線に入り、飯山町役場の先の角(もうすこし進むと「木村」のあるとこ)を右にとって南下。栗熊に入り、「前場」の角を曲がれば国道32号。それを高松方向にドンドコ走ってバイパスに合流、合流してすぐ、右側にことでんを越える陸橋(国道337号への分岐)があるのでそれを右に取って羽床上を目指して走ります。 綾上の山をバックに道の右側を注視していると山越の駐車場が目に入るはずなのでその角を曲がればOK。
高松側からのアプローチの場合、国道32号をドンドコ走って陶の交差点を南に取り、綾上町方向へ向かって綾川を渡ったところのT字路を左にとって走っていけばOK。 この道沿いには、「池内」もあります。

◎さぬきうどんブームの中心地的存在であり、「釜玉うどん」を知らしめた山越。 もちろん人気もNo1で、マスコミへの登場回数も多い。 昼間には行列が出来る程の盛況ぶりですが、我々が向かったのは昼前ラッシュの直前。 行列にも巻き込まれずあっさりと店内へ。 店に入るとおばちゃんが威勢良く「何するんな~?」県外人や観光客が多いことへの配慮か、店内での動きがイラスト入りでちゃんと説明されてる。 もちろん、ここは釜玉だ。(ちなみに以前の日記で水締めのほうが好みと書きましたが、今回は釜玉を。) するとゆで担当のにーちゃんが熱々の釜あげうどんに卵をからめて出してくれます。 これにネギとつけだし(かけすぎ注意!! とちゃんと書いてある)をかけて、店の軒先(と言うか家の玄関)で食するわけです。

◎釜揚麺は評価が難しい。 麺のコシが無い分、麺そのものの存在感と言うのはそれほど強くないんです。モチモチとした食感を楽しむと言うのが釜揚のウリだし、腹にズシンと来ないから、結果として熱々麺をガバガバと大量に食うのが釜揚麺の醍醐味なのでしょう。
そういう意味で行くとやはり山越の釜揚麺はモチモチ感がしっかりしてるし、固さが無い分県外人でも抵抗無く受け入れられる。 肩肘張らずに気軽に食える(まぁ実際は行列がすごいので結構肩肘張りますが…)のが印象的です。 この気軽さが、人気の秘密なのかな。 水締め麺を食うと飛び上がるんですけどねw
あ、あと、ダシに関しては「かけすぎ注意」の表示にビビらずそれなりの量を入れたほうが良いです。私は麺通団で釜玉食うときも、少しだけダシを足しますからねぇ

◎さて山越と言えばそんな県外人人気もあってか、最近店舗拡張が激しい。以前店の目の前の駐車場だったスペースは大きく改築されて庭園風のつくりがされており(といっても全然高級感ないんですが)、ベンチが置いてあってそこでも食える。 奥には天ぷら小屋があり、天ぷらや半生麺、ソフトクリーム(自分で作る!!)を売ってたりします。 うどん店自体は昔ながらの製麺所の流儀を守りながら、観光客を意識した店作りをうまく融合させてる。 しかも店の敷地から1歩出ればそこは綾上の田舎のド真ん中。 南に目線をやれば、山に向けて一直線に伸びる坂道と田んぼが広がっています。 まさにここは田舎のうどんテーマパークだw
ただ、そこに小ネタというファクターが欠落しないのがさすが「さぬきうどんワールド」。店とは直接関係ないんですが、隣の羽床上小学校が設置している交通安全人形は朽ち果てかけて見た目に恐ろしいですw。

◎とにかくここは県外人の来訪が多い。 駐車場に止まっている車のナンバーを見るだけでも北九州だの京都だのなにわだの… 長野からタクシーで遠征したと言うツワモノの話も聴くし、次から次から車が押し寄せてくる。 単車も押し寄せてくる。 観光タクシー(ワンボックス)も押し寄せてくる。(ちなみにこのワンボックスタクシー、あとで意外な事実が判明)綾上の田んぼのどまん中に、人が集まる異様な空間が楽しめますw


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【Journey】さぬきうどんツアー2004・その3「なかむら」

◎さてお次はなかむら。 誰がどう見てもホッタテ小屋のなかむら。裏の畑でねぎが鳴くなかむら。あの「客にネギを切らせる店」で、ウチの会社の社内報にも記事が載りましたw 僕は一度行ったことがあるので行けば道は判るんですが、そこまでの路線に自信が無いので一応ナビをセット。(見て無いけど…)

◎宮武を出発して丸亀方向に走り、土器川沿いを北上。県道善通寺府中線(額坂を越える道)の角を右に取り、土器川の橋を渡ってすぐの細い路地を右にとって放置コンテナ目指して走る・・・はずが、細い路地に入った途端に工事のおっちゃんが!! なんとなかむらへの道を通行止めにされているではないか!! 僕はこっちからのアクセスしか知らんぞ~!!(ちなみにこの道、相当シビアでしかもなかむらの敷地に入るときに信じられないような悪条件の角があるので、自信の無い人はこのあとの道を行く事をお勧めします)
ちなみに高松から来る場合は、国道11号線の府中の陸橋を降りて県道33号(旧国道11号)を少し西に走り、飯山町への分岐を左にとってドンドコ行くか、坂出インターを降りて高松方面に出て、国道438号を南下、高速を超えて県道善通寺府中線の角を右に取ればOK。 同じ場所に出ます。

◎おっちゃん「うどん屋いくんな?」と声をかけてくる。 どう見ても地元民ではない「さいあがり」の二人とレンタカーのナンバーを見て気がついたのだろう。「へぇ」と返すと、「ほしたらなー、一回土手の道上がってな、こいのぼりの立てっとる道から降りたら着くけん」 おお、そういえばなかむらの奥には土手に上がる坂道があったような無かった様な。言われるがままに土手に上がり、土手の道をゆっくり南下。前方に目を凝らし、こいのぼりを探す…でもこの時期にこいのぼりかぁ? と思っていると・・・
相方「あ、あれ!!」
見ると半分腐りかけたようなボロキレがポールからぶら下がっている。 あれはこいのぼりとは言わない。 のぼりとも言えない… ともかくボロキレポールを目印に、スレートの工場に降りるような坂道を下ると、そこがなかむらの駐車スペース。 横にはねぎ畑が広がっています。

◎数年ぶりに来たなかむらは、あのホッタテ小屋の外装をやり直したのか少し綺麗になってました。ま、見た目はやっぱりホッタテ小屋なんですが。
中に入ると、大将はじいさんから若い人(おっちゃん)に変わってました。当時とは少し段取りが違って、セイロのところにちゃんとお姉さんがいて、玉数を告げると器に入れて渡してくれます。昔は自分でセイロから取ったんですがw ただ、「自分でネギを切る」と言うなかむら独特のローカルルールはしっかり生きていました。 ネギも自分、しょうがも自分、ダシも自分。 さすがなかむら。

◎で、うどんですが、やはり予想を裏切らないズルズル入る麺。固さはないです。 このあたりのうどん屋としては珍しいタイプで、固さと言うよりもうどんそのものの弾力が生きています。かみ締めた時の食感がぐみぐみと、なんとも言えない味。 ダシは味が結構強い印象。 強いといっても強すぎるわけでなく、直前に食った宮武がおとなしいダシだったのでそう感じただけかもしれません。 材料のどれかが出っ張っているわけではなく、全体が前に出てきた感じ。ダシの風味と独特の麺の食感が合わさってのバランスを楽しめます。

◎ちなみに食うロケーションはもちろん「外」。 ホッタテ小屋の横に「田舎の駅の待合室」みたいな小屋が一応あって、そこでも食えるしホッタテ小屋そのものにも椅子はいくつかあるんですが、やはり表のブロックに座って食うのが基本でしょうw なかむらに限らず、「外で食う」「立って食う」と言う店は結構あります。
ねぎ畑も含めた小屋一体のスペースはもう「なかむら空間」とでも言えばいいのでしょうか。 開放感があるわけではないのですが(土手と工場で囲まれてるので)天気がよければ実に充実した空間を楽しめると思います。


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【Journey】さぬきうどんツアー2004・その2「宮武」

◎さて翌朝。 朝飯も食わず気体で胃袋を膨らませながらw うどんツアーの1日目スタート。 ホテルのロビーに下りるとレンタカーの兄ちゃんが待っていました。 兄ちゃん口下手なのか何なのかえらく説明にまごつきながらも車を引き渡してもらうと、今話題の三菱のセディアワゴン。 一応車にはDVDポータブルナビがついていましたが、僕としてはコルトとかヴィッツとかのスモールカーにして欲しかった… 理由は、そのうち判ります。

◎そんなこんなで宿を出発。 時刻は8時をちょっと回ったぐらい。 宮武の開店時間は8時半なので開店直後を狙う事は不可能になりましたが、まぁ仕方が無い。
室陣町の角をとって西ハゼ経由で国道11号、檀紙で曲がって高松西インターから高速へ。 その途中、何気にナビの登録地をいじっていたら「宮武うどん」の文字がw さすがうどん処讃岐。 レンタカーにもデフォでうどん情報登録済みでつかw 店の場所は調べてあるけど、自信が無いのでナビだけはセット。

◎慣れない上に僕が基本的に嫌いな「1.5リッター以下のセダンタイプ」と言うセディア号は善通寺インターを目指して西へ。 アップダウンが激しい高松自動車道ではぬあわkmのキープも難しい。 アクセル踏んでもうるさいだけでさっぱり走らーん!! 気がついたんですが、GDIエンジンってディーゼルみたいな音するんですね。
途中推定ぬえわkmと思われる㌧でもない車に煽られたりしながらも、意外とさっさと善通寺インターに到着。料金700円。…って、明らかに距離走ってるのに、三郷~谷和原より安いってどういうことよ? とか思いつつもインターを出て右に折れて国道319号を道沿いに南下。土讃線が右から合流してきて、尽誠学園を過ぎて、如意山のわきを過ぎた頃の目印の三菱石油(だったと思う)の交差点に到達。 ナビが何か喋っていますが、音量が小さくて聞き取れない&DVDナビなのでレスポンス極悪&そもそも風景しか見ておらず地図を見ていない&地図が見づらい(道路以外のオブジェクトに色をつけるな!!)ので、ナビはあまり役に立たず。 コレは結局最後まで続きました。

◎さて角を左に取るといきなり田園風景に。田んぼと民家が微妙な比率で入り乱れ、バックには「頭の悪い小学生が画用紙に書いたような丸い山」があるのは中讃の田園風景の特徴。象郷橋を越えて琴平町の看板が目に入る頃、正面にでっかい駐車場があります。 ここが駐車場なのですが、店の前にも何台か路駐の車が。 駐車場に止めると、横の車もレンタカー。ははーん。こいつらも平日に休みを取ってうどんツアーに来て、開店時間が早いから1軒目に宮武を選んだわけやな。 みんな考えることは同じやな。

◎駐車場からてふてふ100m程歩いたところが宮武の店。 中に入ると、左手にうどん場、奥には居間としか思えない(でもテーブルは置いてある)座敷が一つ。今まさにうどんを茹でている状況で、おばちゃんに「注文書いて座っとってよ~」といわれ、とりあえずひやひやの小を紙に書き、店内を目で観察していると、うどん場の手前に怪しいダンボールが。なんじゃこりゃ? と思って開けると、あらー、こんなところに天ぷらが!! 「さぬきうどん3大トッピング」といわれている(らしい)「宮武のゲソ天」もありましたが、僕はイカが食えないのでちくわ天をチョイス。 僕らより前に来た人は食ってるけど、僕らは今まさにゆでている状況なので辛抱しきれずちくわ天を先にいただきまーす… ( ゚д゚)ウマー。 ふんわりしっとり衣に包まれ、衣自体にも味が染みてる。(何の味だろう? カレーを連想したんですが…) 何もつけずにはむはむとちくわ天をほおばっているとひやひや小到着。

◎いただきまーす… ふむ。 ふむふむ。えー、西の大将といわれている(らしい)だけあって、相当の固麺で、太さも固さも一定しない田舎麺。 クリアな印象のダシは比較的おとなしめで、イリコもカツオもそれほど自己主張してこない。 でも味はしっかりしてる。 固さ以外の面でまっさきに思いついたのは「透明感のあるうどんだ」ってとこでしょーか。え、判りにくい? えーとね、固麺なのにね、めちゃめちゃ食べやすいんですよ。ダンプの運ちゃん御用達みたいなとこ行くと固さが際立ちすぎて1杯食うのにえらい労力を費やすんですが、宮武のはそういうのがない。 とにかく食べやすい。小だったということもありますが、バフバフ一気に食っちゃいました。


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【Journey】さぬきうどんツアー2004・その1「五右衛門」

◎私と相方の2名が高松駅に降り立ったのは夜10時半。相方の仕事が終わってから直行したので、どうしてもこんな時間になり、しかも二人ともロクに飯を食っていない。 僕自身は微妙に晩飯の食う量を減らしているし、相方はいつも仕事が遅いので新幹線の移動時間中に晩飯を食う習慣が無い。 さりとてこの時間になれば流石に少しは腹が減るし、宿までは距離があるので散歩と相方の目覚まし(移動中ずっと寝ていたので降りても頭が動いていない)の為にトボトボ歩いていたのです。

◎改装後こぎれいになったサンポートから中央通を南下。ボチボチ歩きながら美術館通りを過ぎる頃「そういえばライオン通りに五右衛門って夜専門のうどん屋があったな…」と思いつく。 相方も腹が減っていたので、そこからライオン通りへ。
この時間帯のライオン通り、と言うか古馬場のあたりは高松屈指の飲み屋街。客引きのにーちゃんや水商売のねーちゃん軍団をかきわけながらライオン通りを南下。 確か茶寮の奥にあったような…と思いつつライオン通りを交差する筋をキョロキョロ眺めていると、茶房の1筋手前、化粧品店の角(北古馬場)に「五右衛門」の文字が…でもあれ? こんな手前だっけ? 僕が記憶していたマップは南古馬場だったと思うんだけど…

◎後から調べたんですが、古馬場には「五右衛門」なるうどん屋が2軒あることが判明。僕が目的としていたのは南古馬場沿いの「饂飩屋 五右衛門」のほうで、北古馬場のほうは「饂飩屋 五右衛門」が移転した跡地に出来たうどん屋だそーです。(麺聖HPより) 移転したというのは知ってましたが、まさか跡地に同じ名前の店があるとわw とりあえず目的外なので北古馬場の五右衛門は通過し、茶寮の角をフェリー通り方向に取って右側。するといかにも一般店な店構えの「饂飩屋 五右衛門」がそこにありました。

◎店に入るとさっきまで飲み屋でクダを巻いていた風のおっちゃんであふれ、2軒目にしちゃってるてる客もいる。 カウンターに席を取ると注文を取りに来てくれる。 一般店なので、私は卵冷ぶっかけ、相方はおろし冷ぶっかけを注文。 ちなみにカウンターの奥では、大将らしき人がうどんを打っています。 やや待たされるな~と思ってたら、あら、ゆでてる真っ最中じゃないの!! もしかしてイイタイミングで来た?
真相は違いました。イイタイミング云々と言うより、回転率がいいこともあるんでしょうが、大将、ドカドカ打たないみたいなんです。セイロも小さめ。 よーするに大量にドカドカうどんを打たず、少量適量を回転よく打つことで、「うどんの過時劣化」を最小限に防ぐ努力があるみたい。 とにかく大量に打ちまくって鮮度の落ちたうどんの白骨死体を平然と出すセルフ・一般店が多い中で、このシステムはすばらしい

◎なーんて事を考えていると出てきました。 見た目は角張った感じのあるやや細麺。 ぶっかけダシと卵を絡めて食うと…
「おおっ!」 麺は割と固めの部類で、コシが腹に来る。 カドの生きた麺は口の中で「麺の活力」を感じさせます。ぶっかけの具に生姜が多いのは好みが分かれるかもしれませんが、「夜に食えて」、「しかも一般店で」このクオリティは一級品でしょう。 ダシも勿論よろし。 まー普通ダシの話をするとなるとかけだしが基本なのでこれと言ってコメントはできませんが…うまかったとだけ言っておきます。香川初来訪の相方は固麺が好きらしく、暫く一心不乱でうどんを食いまくる。いやー、これはしょっぱなからええもんを食うた!!
ちなみに流石に夜仕様&飲み屋街の経済概念で動いている店なので少し値段はします。 つっても500円しませんけどねw

◎ちなみに、特に評判のいい「カレーうどん」は、横浜カレーミュージアムに出品しているそうです。 香川県は遠くていけないけどうまいカレーうどんが食いたい人は是非。 僕もそのうち行こう。
ええ思いをした帰り道、ここからさらに宿までは1km程あるのでタクシーを止めたら、タクシーの運ちゃん、人が溢れる南古馬場を少し走ったかと思うと、普通は車で絶対入らないような、シロウトなら絶対電柱や壁にミラーを当てこするような路地を爆走して国道11号に出る。 宿までの道のりで運ちゃんといろいろ話をしました。
「高松もきれいんなったけんの~ 税金よーけ使ての」というコメントが印象的ですた。


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