2007/07/30

【Diary】近況報告

◎会社行って帰ってきて寝て×6→妻の実家行って帰ってきて,以上!

◎…いや冗談抜きでこの1週間,やったことってこれだけ。先週頭から仕事が「山越えモード」に入ってしまい、連日帰宅が12時過ぎ→飯食って風呂入って2時頃就寝→6時に起きて出社、というだけの生活を1週間続けた上、土曜日も出勤でしたw
ネタらしいネタと言えば…平行で走っている(私は絡んでいない)テーマも山越えモードの為人員余裕が全くない…と言うより人員数よりテーマ数のほうが多いと言う大惨事になってしまっていることぐらいか。 …景気のいい話がないなぁ。

◎極秘裏にはプロジェクトもあるのだけれど、とりあえず盆が過ぎるまでは何も動けませ〜ん。

2007/07/27

【Diary】報道の裏表

朝鮮日報:ソニー好調、4-6月期営業利益993億円

ソニーの4-6月期の営業利益は993億円で1-3月期の営業損失1134億円から黒字転換した。(中略)
 1-3月期の純利益は前年対比で2倍以上となる664億円、また売上高は前年対比13.3%増加となる1兆9800億円を記録した。
 野心作PS3が任天堂のゲーム機「Wii」に苦戦しているが、デジタルカメラ「サイバーショット」の需要が急増し、損失分を挽回した。また円安傾向も実績を支えたとみられる。

◎相変わらず微妙な利益率だなー、と思いつつこのニュースを眺めていたが、家に帰って新聞を開いてみるとこんな記事が。
Yomiuri Online:ソニー、テレビ事業の赤字拡大…価格下落で収益悪化
ソニーは26日に発表した2007年4〜6月期の連結決算の中で、テレビ事業の営業利益の赤字幅が前年同期の110億円から280億円増え、390億円に上ったことを明らかにした。液晶テレビの売上高は約2000億円と、前年同期より約20%増えたが、価格下落が想定以上に進み、収益が悪化した。


◎実は読売の記事はこのあと朝鮮日報と同じ様な記事となり、一方で朝鮮日報のほうにはテレビ事業のことは一切書かれていない。
朝鮮日報の記事はロイターの記事をもとに書いているのだが、ロイターのほうにはちゃんとテレビ事業の事が書かれている。
読売はおそらく自分で記事を起こしたものと思われ,順序の違いはあれ概ねロイターと内容を一にする。 勿論ニュースのお題目に持ってくる内容に依って,どうとでも印象が変わってしまうのだが。

◎そしてなにより朝鮮日報。 ロイターも読売も、そして他の新聞社・ニュースサイトが同じ様に「双方を報道」している中で、朝鮮日報はテレビ事業の赤字には触れない。 ソニーのテレビがどういうものか、サムスンがどういう状況に置かれているかを考えると…何をいわんや、と言った所か。

2007/07/22

【Diary】衝撃の真実(ってほどでもないが)

◎なんとなくYoutubeを巡っていて見つけたモノ…

◎じつはこれ、丁度去年の蘇州出張の際、工場の始業前に毎回これが流れていたのだ。 社内ローカルな体操だとてっきり思っていたのだが、どうやら一般的なモノらしい。

◎始業前に流れるので、当然我々もこれを「やる」わけだが、…実際やっていただくと判るが、非常に動きが複雑な上「1拍で二つの動き」が兵器で入っているので体操しづらいことこの上ない。 と言っても律動体操よりはマシだと思うけど。

◎ああ、これ見てたらまた中国出張行きたくなったな。 あくまで出張ね、出張。

2007/07/09

【Diary】品質保証

ITPro:マイクロソフトが新経営方針、「品質向上に最優先で取り組む」

マイクロソフト自身も「現状は製品やサービスの担当部署ごとに品質保証部門が分散している」。これを改めるため、組織横断的に品質保証を手がける「バーチャル組織」を設けるという。

◎今まで無かったのかよ! と突っ込みを入れてしまった… M$程多角経営、かつそのいずれもにブランドイメージを強固に持つ企業もそう多く無いと思うのだが…
顧客に取ってみればOSが飛ぼうが鯖がいかれようがOfficeが言う事聞かなかろうが「MSに対する負のイメージ」を抱く。 ブランド価値が大きな企業程、その点を重要視して、横断的な「ブランド保護としての品質保証の事業化」をするものだと思ってたのだが。 私が理想主義的過ぎたのだろうか。

◎とはいえこれは喜ぶべき事…かと思っていたが、
具体的な活動としては、製品のバグを開発段階で米本社にフィードバックする体制の強化、マイクロソフト製品を使ったミッションクリティカル・システムの構築に関するガイドラインの整備や技術トレーニング、稼働後に品質問題が見つかった場合の対応を迅速化すること、などを挙げた。
うーん、どうもどれも顧客の側に向いた指標に見えない上、「稼働後の品質問題対応の迅速化」が記事の最後に来ているのがど〜にも気になる。去年の各種パッチにまつわるグダグダっぷりを見ていると、いの一番にやるべきは「品質問題対応の迅速化、及び確実性の向上」、そして何より「稼働前開発段階での信頼性向上」じゃないのかな。 特に記事全体を見回しても「信頼性向上」に関する記載が見当たらないのが気になった。(プレス自体を見てないので、断定はできないけど)

◎また、M$の謳う「品質」が、どのレベルに向いたものなのかもちょっと気になる。 何せM$の手がける事業はフロントエンド端末から、総合的なカスタマイズソリューションまで幅広い。 そしてそれぞれの分野において、求められる「品質の定義」は明らかに違う。
カスタマー自身の保守管理が前提で、かつ商品自身にも品質維持の為のプログラムが「込み」で商売となるソリューションビジネスの場合、信頼性よりも重視すべきは対応の迅速性と正確性、そして種々の変化に対応出来るアフターサービス柔軟性で、製品そのものの信頼性は「冗長処理等の手段を講じている限り」それほど重要視はされない。
一方でフロントエンドの場合、何よりもまず重要視されるのは「製品出荷段階での信頼性・堅牢性」である。 と言うよりアフターサービスは付加的なものでしかない。 勿論「種々の変化に対応する」製品の柔軟性は求められるが、それをユーザーに意識させず、専門知識も必要とされないレベルのものでなければならない…本来は。

◎手がける製品の範囲が手広ければ手広いほど、製品に求められる「品質」は多種になり、またそのプライオリティも顧客レベルに応じて変化してくる。 一方でそれらは全て「M$のブランドイメージ」と言う単一のものに集約される。
M$の品質統括組織が、この「相反する二つの品質指標」をどう両立させるか、ちょっと興味のわく所である。

【Diary】値段

ITmedia News:「PS3の値下げなし」とソニー社長

PS3の価格を引き下げる「計画は現時点ではない」と中鉢良治社長はReutersの取材に応えて語った。
と言う報道が流れたのが7月6日。 しかしその3日後にはこうなった。

ITmedia News:[WSJ] PS3、米国で100ドル値下げ
ソニーはプレイステーション 3(PS3)への最大の批判の1つに応え、同製品の価格を100ドル値下げして売り上げ拡大を目指す。
 この値下げは米国で7月9日から実施され、PS3の価格は499ドルとなる。この値下げは業界内の各方面で予測されていたもので、ロサンゼルスで間もなく開催されるゲーム業界展示会の直前に行われた。(中略)
「多くの消費者にとって、価格が障壁になっていると聞いた」とソニーの米国ゲーム部門社長兼CEOジャック・トレットン氏は語る。「100ドルの値下げで、もっと多くの消費者がPS3を入手しやすくなると期待している
◎うーん、突っ込みどころはいろいろあるんだが、シロウト考えで行くと、海外販社(米国ソニー)に取ってみればソニー本体の事情なんぞ知った事か、と言う事か。 マニュファクチャラー(SCE)やブランドホルダー(ソニー本体)の収益性を犠牲にしてでもまず自分たちの売上高のテコ入れが必要な程、のっぴきならない状況に来ていると言う事か。 販売の収益は数売ってナンボ、だからね。

◎工場はとにかく「作って出せば」売上げが出る。 だからソニーは生産出荷台数を重視するし、販社は販社でとにかく「発注を絞りつつ売りさばく」ことができれば利益は出る。さらにSCEはマニュファクチャラーなので、売上げに関係なく開発費の回収が出来る…このためトータルで考えると、海外販社の値下げ分の利益減少は、そのままソニー本体(事業部)に帰ってしまうことになる。

以前のエントリで、ゲーム機における赤字先行ビジネスモデルと損益分岐点の話を書いたが、普通ゲーム機の値下げ(と言うよりコストダウンモデルチェンジ)は一応損益分岐点を通過してから行う。…っつーかゲーム機でなくてもそうか。
さてPS3は損益分岐点を通過したのだろうか? 世界レベルで見ればWii以上の売上げ台数を誇るXBOX360でさえ、モデルチェンジの噂は聞かない(エリートは上位機種だしねぇ)
つまり北米の値下げ宣言は、ソニー本体に対し「損益分岐は更に遠くなるけどよろしくね、うちはうちで儲けるから」と突きつけたようなものなのだろう。

◎そういった意味で中鉢社長のコメントは、ブランドホルダー、かつ事業コントロール部門としての必死の叫びだったのかもしれないが、事業部別独自会計を押し進める昨今の経営手法の歪みが、こういう形で現れてくるのか、と思う。
(そういえばソニー全体で見ると、事業部別の弊害が、これでもかと言う位社内競合が多いんだよなあ…)

◎そうそう、PS3の値段と言えば、やはりこれを忘れるワケには行かないな。
ITmedia +D:やっとすべてを発表できた——SCE久夛良木健氏プレスイベント直後インタビュー
「高級なレストランで食事をした時の代金と、社員食堂での食事の代金を比べるのはナンセンスですよね?

ええ、ナンセンスですね。 恒久レストランが値段に見合ったサービスを提供するものであればね。

2007/07/08

【Diary】今日の1冊:本当はヤバい!韓国経済(三橋貴明)

◎滅多に本など買わない私が珍しく書店で見つけて速攻でGetした本。 むちゃくちゃ面白く、速読傾向な私だが半日で読破してしまった。(勿論繰り返し、最低10回は読むと思う。 私はそういう本の読み方をする)

◎この本,実は2ch極東N板の名物スレ「韓国経済ワクテカスレ」の1コテハンが執筆したものである。 (このため恐らくは著者名もペンネーム)このスレ、もともとは東亜+板で時々立っていた経済関係関係のニューススレに三橋氏が降臨し、その圧倒的なデータと本職ならではの鋭い分析を披露、住人の圧倒的支持を受け、更に三橋氏同様の経済エキスパートも巻き込んでイナゴ化し、極東N板に舞台が移った後それまで議論されていたデータをもとに本の形として構成されたものである。
ちなみにワクテカスレのまとめサイトはここ

◎私は東亜+の時点から(しかも運が良い事に最初に降臨された時から)その動向を見て強い興味を惹かれ、まとめサイトに移行してからも定期的に読んでいたので、記載してある情報自体は掲示板で得られるものとそう大差は無い。 しかし掲示板(あるいはまとめサイト)と言う体系化されていない情報の羅列から概念的に理解するよりも、本と言う形で体系的にまとめられたほうが断然理解度が速い。 情報は画面で見れば良いので印刷物は不要なんて考えてるIT技術者もいるが、やはり活字の威力を思い知った次第。

◎さて、タイトルからして嫌韓・笑韓テイスト溢れる本に思えるがさにあらず。 韓国自身が発表している経済動向指数とマスメディア(新聞)から得られる情報をもとに分析をした上で、韓国の経済状況がどれほど深刻なものかを克明に示している。
もともとの掲示板の性格、そして何より著者の意地の悪さ(笑)もあって文章そのもののバイアス感は否めないが、事実をもとにした分析だけあって説得力があり、また理解促進と専門性(正確性)と言う相反する文章表現をいいレベルで落とし込んでいる。 よって内容はかなり専門的だが非常に読み易い。 強いて言うなら著者がハイパーリンク前提のHTML文書に慣れているせいか、「どこそこを参照」「どこそこにて解説」という言い回しが多い事位か。

◎内容については…ネタバレになるので内容は書かないが、経済指数や経済活動そのものとはある種「結果論」であり、それらは全て韓国が企業,政治,教育等の分野において「何をしてきたか」の集大成なんだ、と言う事を強く感じる。しかもそれは政治がワリーとか資本家がワリーとか会社経営がワリーとかそういう「マクロの側の失政」でなく、ミクロの側…つまり市井の一般人達が何を望み、政治や資本や経営や教育に「何をさせてきたか」という、一人一人のリテラシーの問題なんだということを痛感させられる。
(もちろんそれらの低リテラシー意見に仰合してしまう、左巻き的指向にとらわれるマクロ側にも問題があるのだが)

◎対して自分たちはどうか。 かろうじて安定政権、かつ資本主義社会の原則に忠実な思想とそれに基づく「官僚と言うブレーン」がマクロをコントロールする政治体制において、なんとか現在の経済状況を維持出来てはいるが、常々報じられる様々なモラル崩壊減少に見られる様なリテラシーの低下、そしてそれらを真に受けてビジョンも無いまま御旗に掲げ、政策論議もまともに出来ない政党の跋扈…要するにミクロでしか物事を捉えられない考え方が無視出来ない状況となってきている。
多くの企業が所謂個別最適から全体最適へと思想転換を行っているが、これは国家も同じ事で、かつての日本企業がそうだったように個別最適を優先化すれば組織には必ず綻びが来る。 そしてそれは今現在韓国が直面している問題,そしてこれからの日本そのものが直面しかねない問題である。
下を見て安心…ではないが、この本に書かれているような内容を反面教師として,自分たちは何をするべきか,何をしてはいけないか、を考えさせられる1冊である。

◎そして最後に一つだけ。
韓国が史上最悪の反日国家(笑)であるのは周知の事実だが、この本を読むと「そりゃ反日にもなるわな…」と、妙に納得してしまう。 それは所謂一般的な歴史認識問題とかそんな話でなく、経済レベル,しかも市井の生活レベルで、なおかつ「資本主義国家のあり方として実に真っ当な方法で、日本が韓国から「救いが無い程に」利益を得ている現実が見えてくる。
まあ、それに対する反抗のエネルギーを経済発展でなく思想活動やイデオロギーに費やすあたりが、真の「救いの無さ」なのだが。

2007/07/04

【Diary】長時間労働

◎今日の話題はかなりカタいので、「面白くな〜い」という人は読み飛ばして下さい …って書いたら余計読まれそうだなw

◎会社でとある案内が回ってきたので見ると、
「残業を無くす為にどのような取り組みが考えられるかまとめて提出してください」
どうもこれ、各部署の超過残業常習者に当てて、某経営陣のヒトが直々に始めたモノらしい。
たまたま私はその日外出していたので担当を外れたのだが…

◎もうこのテーマ、テーマからしておかしいと言う事に何で気がつかないのか疑問。
問題点とするべきは「長時間労働をしなくても会社の業績を維持する、あるいは向上させるにはどうすればいいか」ではないのだろうか。
残業は単なる結果であり、「残業を減らす」のは手段でしか無く、「目的」ではない。
「残業を減らす,無くす」ことが目的なら,残業禁止にして、残業手当廃止して、定時を回ったら建物の電源を落とせばよろしい。
バカでも出来る話である。

◎テーマからしておかしいから、回答もどんどんおかしくなる。 別ルートで入手した他部署の回答を見てみると
「毎日残業申請書の提出を義務づける」
「上司が率先して先に帰る」
挙句の果てには「残業をしなければ行けないと言う職場の空気を改める」 …そうじゃないだろうと。
残業申請を義務化しようが上司が帰ろうがやる人はやるしやらない人はやらない。 職場の空気を改めようったって、自分の意志で残業している人には何の効果もないし、「雰囲気」とか「風土」とか、そんなシステム化もルール化もされない概念で職場が左右されるなら苦労はしない。そして何よりこれらの考え方は「残業をやる人は悪,やらせる管理側も悪」という考え方から全く脱していない,実に情緒的な発想でしかない。

◎私が何を言っても残業常習者の言い訳なのだろうが、ある種「残業」はその人の責任感の現れであると思う。 少なくとも、連日大残業を重ねる人は、好き好んで残業してる訳でも、無駄に時間を過ごしている訳でもない…と思う。
おそらくは殆どの場合、案件の納期が迫っているパターンだろう。 それを放棄せず残業と言う形で穴埋めするのは、とりあえず「責任感から来る行動」として評価されてしかるべきだろうし、それを杓子定規にマクロ視点から「悪」と断ずるのはちょっと違うだろう。

◎ましてや家庭がどうだとか人生の楽しみがどうだとか、そういう次元の話になってくるともう空いた口が塞がらない。
残業を減らすっつー話自体,別に会社は従業員の生活がどうとか尊厳がどうとかじゃなくて、単に経費を減らしたいだけ。
残業を減らすことを目的として,それに対する手段を講じて,結果的に組織としてのアウトプットの質や量が低下したら、それこそその手段は組織…少なくとも会社レベルとしては明らかなる失政でしょ。
「組織に属する以上、組織の目標や信念は個人のそれより優先される」と言うのが組織の第一義じゃないのかと。
そんな事も判らないテーマ選定と,それに対する回答の数々… 心底呆れてしまった。

◎どうせやるなら、例えば
1)トップダウンの視点から「その組織が生み出す付加価値や売上・利益」のうち、属する個々人ごとの分布と残業時間の相関を指数化して、それを平滑化するようにバランシングする
2)ボトムアップの視点から今自分が抱えている業務をテーマ→手段→アウトプット、の順で視覚化(でかい模造紙にポストイットで項目を並べて行くとか)して、それを全員分ズラッと並べて検証や再配置を行いながら最終的なアウトプットが変化がないこと、あるいは新しいアウトプット(=付加価値)が生み出せているかを確認して行く
…とかいう方法があるんじゃないんですかね。
アウトプットを落とさず,あるいは増やしながら業務を最適化する、というテーマなら,こういう「バランシング」の視点が必要不可欠だと思うんですが、冒頭の様な表題ではこういう意見は多分出てこないでしょ。

◎もちろんこれは「私が経験した職種の中で通用する手段の一つ」でしかなく、同じ会社の中でも種々の業務形態があるし、まして私がしらない業界ならもっとやれる事の可能性も手段も違ってくる筈。
そういう事を一切考えないまま、ただ「残業を減らすには…」なんてな、目的と手段を混同したアホなテーマを立てても何ら意味が無いと私は思う訳です。
まあ、経営がアホなのではなく、そこから中間管理職を伝言ゲームしているうちにそうなったんだと思いたいんですが…

2007/07/01

【Diary】楽器屋レポ

◎かなり久しぶりに都心の楽器屋に繰り出したので,触った機材のレポ。

◎KORG M3…パッと見「へっ?」と声に出そうな安っぽい作りなのと、本来筐体全体に振り分けられる操作子を全てモジュール内に収めた事に依るパネルの窮屈さが気になった。 サウンドは善くも悪くもKORGの音。 と言うかこないだのMOTIF XSでもそうなのだが、前世代のフラッグシップモデル(MOTIF、TRITON)でPCM音源としては完成域に達してしまっているので、数年前の様な「モデルチェンジ毎に目の覚める様な感動」はなかなか味わいにくくなったと思う。

◎YAMAHA MOTIF XS8…改めてもう一度ピアノ鍵盤で弾き倒し、その上でS90ESと弾き比べて、なるほど確かにS90ESよりもダンパーレゾナンスをはじめとした細かなリアリティは圧倒的にXSなのだが、果たしてそこまでの機能の為に30万を出す価値があるか?というのが正直な所。 特にMOTIF XSはステップシーケンサーも無いので尚更「フラッグシップモデルとしての価値」以外がなかなか見いだせずにいる。
寧ろ期待をするべきはおそらくはXSをベースとして開発され、かつ価格が下げられるであろう次期Sシリーズなのだろうか。

◎KORG Kontrol49…デカイ! 奥行きがあるので非常にデカく感じる。 ただデカイだけあって各操作子の間隔が適度に開いていて使い易いし、鍵盤タッチも悪く無い。(YAMAHAのFS鍵盤を流用しているのだろうか?) モノとして悪く無いがとりあえずこのデカさと、3万円近いと言うその値段がちょっと購入を躊躇させる。

◎KORG microKontrol…ぶっ壊れたPCRに変わるMIDIコンの第一候補。 やはり奥行きはあるのでそこそこモノは大きいが、パッド等も含めて考えればやはりコンパクトにまとまっている。 ミニ鍵盤は演奏性は無いに等しいがデータ入力用と割り切れば十分。
何よりもシーン切り替えが簡単(シーンボタン→パッドで選ぶ)なのが良い。 トランスポーズは持たないが、私はオクターブシフトさえ出来れば問題ない(トランスポーズはソフト側でやってしまう)。

◎KORG Legacy Collection DIGITAL EDITION・WaveStation…20年近く前の音源なのに全く色あせない…と言うよりも今だからこそ余計に輝く超デジタル臭な変態シンセ。 ベクタースティックを弄っているだけでもダイナミックに音色が変化し、レゾナンスがついたフィルターで更にえぐい音に化けて行く。 いやあ、噂には聞いてたけどWaveStationってこんなに変態だったのね。
んでもってこのプリセットの多さと来たら。 音色を弾き倒しているだけで1日終わりそうな勢い。 音色作りは複雑過ぎてできそうにはとても思えないけど、プリセットを選び,それを弄り回すのがWaveStationの正しい使い方(なのか?)と考えれば,これほど楽しめそうなシンセもなかなか無さそうだ。 これは「買い」か?

【Sound Works】前後の定位

◎たまには音響関係の話題でもやるか… というかLogic弄ってて久しぶりに思い出したネタだけども。
Mixをやっていて一番頭を悩ませる「定位」、まぁ左右定位はパンで簡単に出せるけれども前後定位の演出は結構難しい。 パッと思いつく所ではフェーダに依る音量の調節だが、これだけだと音量の差は出るが定位感は出ない。

◎ではどうすればいいか? 理屈を述べても良いのだが書くのが面倒なので簡単に言ってしまおう。
音源の距離が離れると直接音成分が減り、初期反射音(ER)成分が増す(=音像がボケる)ので、これをコンプを使って表現するのだ。
アタック最速、リリース長めでアタック成分を潰し、スレッショルドを深くして行くと残響成分が持ち上がって「遠くで鳴っている感じ」が演出出来る。 ソースの残響成分が足りないなら、ERをかけて、Dry?WetをWet寄りにしてやれば良い。

◎合わせて、EQをハイ落ちにセッティングする。 音の距離減衰は高域程大きく減衰するので、それを表現するのだ。 また100Hzを下回る様な超低域も距離減衰がある(→このへんの帯域は空気より物質伝導のほうが大きいため)ので、極端に遠くするならローも少し落として、ラジオボイス気味にしてやると良い。

◎ポイントとなるのはこれらをセットで行う事。 EQだけでもコンプだけでも距離感は出ず,これらをセットで行って初めて距離感が出てくる。 また勘違いし易いのだが「リバーブを深くかけるだけでは音像は遠くならない」と言う点だ。 殆どの場合残響の広がりが大きくなるだけで,リバーブタイムやセンド量を調整しても音像は遠くならない。
重要なのは「直接音と反射音の比率」なので、リバーブを使って距離感を出す場合はフェーダを絞り、センドを多く送る(場合によってはプリフェーダで、直接音より多くリバーブに送ってやる)ことで、反響音の比率を増してやろう。

◎また、私がよくやる方法で「ソースとの距離を計算して、その分サンプルディレイをかけてタイミングをずらす」と言うのもある。
音は常温常圧では340m/secの速度で空気中を伝わる。 つまり音源が1mずれると、2.94msecのズレが生じる。 これを利用するのだ。
最前列にいる音源(ヴォーカルとか)を0msecとして、遠い音源にサンプルディレイをかけて発音を遅らせると、「距離に依る発音遅れ」を表現出来る。
ちなみにこの「1m=2.94msec」は、リバーブやEQのプリディレイ計算にも使えるので、覚えておくと便利。

◎まとめると

近い  ←  距離  →  遠い
ドンシャリ  EQ     ハイ落ち(更に遠ければローも落とす)
強い    アタック    弱い
速い    リリース    遅い
大きい    音量     小さい
少ない   ER成分    多い
殆ど無い   ディレイ  大きい 
といった所。 勿論これは「方向性」の話で、こうすれば前奥定位が出る!というものではない。(まして具体的な数値ではね…)
何処をどうすれば良いと言うのはイロイロ弄くり回してみるのと、「前奥定位がちゃんとしている」CDをいろいろ聞きあさって見る事だ。 最近自分が聞いた中ではBlueNote。 大昔の録音とは思えない定位感で、なおかつこれはモノミックス…つまり左右の定位は無い。
楽器もそれほど「想像がつかないもの」は無いので、例えばピアノが本来どういう音で,それがBluenoteでどういう音になっているかをじっくり分析すれば、自ずと答えが見えてくると思う。