2014/09/05

【Music Works】Notion for iPad

◎Appleが最近やっているiPadのプロモーションビデオのうち、エサ・ペッカ・サロネンのビデオを見た時から気になっていたのが譜面ワープロアプリのnotion。
音楽制作活動はすっかり疎遠になった(1曲作り上げるだけの気力が保たない)自分ではあるが、今でもたまに頭の中に浮かぶフレーズをGarageBandに留め置くようにはしている。
が、どこまで行っても「ピアノ上がり」な自分、フレーズを譜面という「ビジュアル」に書き留めておきたいなという欲求はずっとあって、notionのビデオを見たときに「お、コレ良いんじゃないか?」と思い立った訳だ。
1500円という価格は(iOSアプリとしては)決して安くはないが、競合する譜面ワープロアプリよりも音が良いということ、何より第一線のコンポーザーが使っているという事が決め手になってえいやっと購入してみた次第。

◎画像に出ているのは、自分の最近お気に入り曲でピアノで弾きたいと思っていたキリンジの「あたらしい友だち」を試しに書き込んでみたところである。(原曲よりキーを1度上げている)
譜面作成の手順は結構簡単で、緑色に表示されているトランスポートバー(で良いのかな)の位置を合わせてパレットからデュレーションを選び、鍵盤を押すと音符が入力される。
入力は単音かコードモード入力で、コードモードの時はノートオフされないので和音の修正が簡単に出来る。また入力中の和音のプレビューも可能。
この鍵盤はベロシティには対応しておらず、演奏の強弱は演奏記号の入力が必要だったり、タイをきちんと入力する必要があったり、トランスポートバーの絶対位置指定が出来ず休符をしっかり入力する必要があったりするのはいかにも「譜面ワープロ」といった風情だ。 Logicでの譜面入力に慣れてるとその融通の利かなさに「あれ?」と思うが、すぐ慣れる。本来譜面ってそういうもんだし。

◎プレイバック機能については、中身的にはMIDIシーケンサーの為、入力した譜面はちゃんと再生出来る。この再生のときに使う内蔵音源はロンドンフィルの音を使っているというだけあって(まだピアノぐらいしか鳴らしてないが)結構音は良い。
スラーやスタッカート、強弱記号や演奏記号にもちゃんと追従して再生するので、自分の演奏意図がちゃんと譜面に反映出来てるかのチェックに使える。
またLogic等DAWベースの譜面作成ではまず出来ない繰り返し記号やコーダへの追従もきちんと行ってくれる。

◎難点があるとすれば内蔵音源のレイテンシーがかなり大きく、書き込みモードをオフにしてもフレーズ演奏には(鍵盤の小ささもあって)まったく向いていないというところか。
(S90XSを接続してMIDIで弾いてみたが、とても演奏出来るレベルではない)
サロネンのティーザービデオでPianist Proとnotionを使い分けていたのもこれが理由であろう。
フレーズは手持ちの楽器や他の演奏系アプリで弾いて、気に入ったらnotionに書き込む。そういう意味でも「譜面ワープロに特化した」機能と言える。
またAudioBusやMIDI出力には対応していないため、内蔵音源しか鳴らす事が出来ない。ここはiGrandとか良い音源がiOSにも出て来ているので、是非とも対応して頂きたいところ。