【Sound Works】信号レベル
◎私のAW4416に装着しているMY8-ADオプションカード、8chのTRSフォーン端子を備えたA/Dカードなんだが、これの最大入力レベルはデフォルトで+24dBu、スイッチで+4dBVに対応している。
もともとこのカードにはSC-8850やemi2|6といったRCAピン出力の機器を繋いでいて、スイッチを+4dBV側にしておかないとやたらに入力レベルが低かったので、とりあえずはそのまま利用していた。
◎ところが先日のスタジオレコーディングでAWを持ち出すにあたり、スタジオ卓のヘッドアンプから取り出した信号を受けるにあたってどっちにセッティングしておいた方が良いのか?が判らなくなった。
現場でカードを挿し直すわけにもいかない(そんな時間無い)ので、どちらかに決めうって置く必要が有るのだが、可変型ヘッドアンプを持たないこのカードでスイッチを切り替えた場合、スタジオレコーディングではどっちが適しているのか? 勿論両方試せば一発で判るのだが、いちいちカードの抜き差しをするのも面倒なので、計算で求めてみる事にする。
◎で、いきなりだがこの「+24dBu」と「+4dBV」、単位が違う。 このため元の入力レベル以前の問題で、これらを同一の土俵に換算してやらないと比較が出来ない。
この二つの単位だが、まずdBuのほうは業務用オーディオで一般的に用いられる単位で、入力信号の電圧が0.775Vrmsを0dBuとして扱う。 一方でdBVは民生用オーディオの規格で、これは1Vrmsを0dBVとして扱う。 なんで違いが有るかと言うと、本来電話電信技術から発展した業務用オーディオでは、600Ωのインピーダンスで1mWの電力を伝送した際に発生する電圧が0.775Vrmsだったからだ。
ただ、これだとキリが悪いし、民生用はもっとローインピーダンスの伝送が普通なので、キリ良く1Vrmsにしてしまおう、と言うのがdBVの考え方なわけだ。
◎ではこの二つを換算してみよう。
dBuにしろdBVにしろ、dB値から電圧を求めるには、その単位の基準電圧をV0として
V0×10(dB値/20)、で求まる。
これで換算すると、+24dBu=12.277V、+4dBV=1.585V。
この入力レベル信号をヘッドアンプで規定のレベルまで増幅するので、ヘッドアンプの増幅率は+4dBVのほうが高い、と言う事になる。
◎と、ここで「dBVは民生用機器の単位」と言うところから察するに、「+4dBV側のほうが増幅率が高い」ってことは、民生用機器のほうが伝送レベルが低い、と言う事ではないのか。
「+24dBu」「+4dBv」と言うのは最大入力レベルで、基準となる定格入力レベルはそこから20dBを引いた値になる。 するとそれぞれ+4dVu、-16dBVだ。
判り易くする為に換算すると-16dBV=-13.78dBu。 実際の民生用機器の定格出力レベルは-10dBV程度が多いが、それでも-7.78dBu。 民生用機器の出力レベルは,業務用機器の1/3近くも低いのだ。
◎とりあえず、当初の「スタジオミキサーの入力を受けるにはどちらが良いか」に関しては、スタジオミキサーの出力がラインレベル(定格:;4dBu)である限りは、+24dBu側にしておくのが正解である。 と言うか+4dBV側にしておくと、ミキサーからの出力を絞らないとAW側でクリップする可能性が非常に高い、と言うことになる。
幸い先日のレコーディングはミキサー側のヘッドアンプ利息をかなり絞ったので事なきを得たが、次回以後はスイッチのセッティングを変えておこう…
0 件のコメント:
コメントを投稿