【Sound Works】古典的作業
◎手持ちのシンセサイザーの波形サンプリング作業が続いている。 買ったばかりのカメラを弄るのもいいだろうが、いかんせん平日の夜では何も出来ない。 三脚でも買ってきて夜景撮影でもするか? しかし外は雪が降り兼ねないほど寒い。 よってこんな日は自室にこもってサンプリング作業を続けるのである。
◎今やっているのはドラム系ワンショット・サンプルのサンプリングだが、ワンショットといいつつもディケイの長い波形(シンバル等)の場合ループが設定されているものがあり、やはり録音後ループ探しの作業が入る。
よくよく考えて見ると音源からオーディオI/Oまでに最低1回D/A変換され、かつオーディオI/O内でレートコンバートまで行われているので波形の再現性が良いとは到底思えず、実際波形の形状だけでループを設定すると必ずプツプツと歪みが発生してしまう。
昔も今も、ハードウェアシンセサイザーのサウンドプログラマー達はこんな地道な作業を日夜続けているのだろう。
◎ループを設定するにあたってはまずループの範囲を波形単位でつかむ必要がある。 音量のうねり、低域のうねりが大きいものは比較的周期を見つけやすいが、高周波が高速でうねる波形はかなりしんどい。 シンバルで何回投げ出そうと思ったことか。
この時点でループポイントを設定してループOn/Offを切り替えながら再生し、まずはうねる周期性がループのOn/Offで変化が無いかどうかをチェックする。 この時点でループ折り返しの歪みが出ていてもかまわない。
◎次に波形表示倍率を上げて、同一の波形形状となっている部分を探す。 これはループポイントに設定しようとしている位置から前後5周期ぐらいの波形を見て、それらの形やレベルの相似性を確認して行く。
最後にループポイントの最終決定だが、ゼロクロスポイントを取るというのは勿論として、そのゼロクロスする際の信号の起点と終点、この位置が合って居ないとプツプツとした歪みの原因になってしまう。
◎逆に完全なワンショット波形だと、ループ設定の必要はないがエンドポイント7の設定が難しい。 ゼロクロスポイントで取れば良いじゃないか、と思うかもしれないが、無音を録音して波形表示の縦軸倍率を上げると必ずノイズが乗っている。 耳には無音(と言うより再生機器のフロアノイズレベルを下回るレベル)ではあっても、デジタル伝送では必ずジッターも乗って居る。ワンショット波形の終端部分には、ほとんどの場合このジッターに影響されたひずんだ部分があるのだ。 別に残したままでもレベルが非常に低いので聴感上問題ないが、ハードウェアサンプラーで使う関係上1バイトでも軽くしたい。しかしむやみにきると余韻が無くなる。 このサジ加減も、頭を悩ませるところだ。
◎今時サンプラーといえばハードディスク・ストリーミングによるソフトウェアサンプラーが当たり前で、容量にモノを言わせた良質のサンプリングCDが星の数ほど売られている。ハードサンプラーにしたってフレーズやビートの取り込み→切り刻んでのリミックス、と言うのが普通の使い方だが、今時楽器音の再現のためにハードサンプラーを使おうなどと考える古典的な奴は、おそらく私しかいないだろう。 わっはっは。 笑わば笑いなさい。
◎さて、今やっている器材は発表されたのは8年近く前のモデル、音源機構事態は10年以上前のPCM音源であるから、フィルター等の影響を全て取り払った状態でFFTに通すと16kHz以上の高音がスパーンと切れている。 つまり32kHz/16Bitサンプリングだ。(もしかしたら12BItかも…それはないか) しかし、それでも魅力的な音を出す音源である。。
スペックや数値では語れない魅力がある、それが【楽器】なのだなぁ…と、しみじみ思うのであった。
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