2013/09/23

【iPhone】ドコモがiPhoneを売る理由

○iPhone3Gが日本に上陸してから5年、やっとドコモからもiPhoneがリリースされた。 元々長年のドコモユーザーで、4Sを買うまで悔しい思いをした結果「妥協の産物として」SBMの回線を購入した私としては、本来手放しで喜ぶべき事象である。
しかし実際は、ドコモ回線をiPhone化するどころか、長年使ったドコモ回線を解約しようかと思う位に、「ドコモのiPhone」に興味が示せず、むしろ嫌悪感すらある。何故だろうか。あれほど焦がれていたのに。

○実のところ、今回のiPhoneリリース前に私はこんなことを言っていた。
https://twitter.com/pianist_danna/status/122247850078904320

天文学的確率でiPhoneがドコモで使用可能になったとしても、ガラスマの倍近い金額を吹っかけられる可能性が。 それぐらい信用できないし、そうしたとしても驚かない
https://twitter.com/pianist_danna/status/142060759009067008
仮に出るにしても初期のBlackBerryやHTC端末のような色物扱いされても驚かない。MMS非対応とか。
これらは1年以上前のツイートだが、実際その通りになってしまった。販売価格はハネ上げられ、サービスは中途半端な状態からスタート(これは他キャリアもそうだったが)
そして何より驚いたのが今回扱うショップを限定している事だ。 山手線内側の地下鉄駅前という立地条件にも関わらず、ウチの最寄りのドコモショップはiPhoneは予約含めて取り扱いを行っていない。お陰で他キャリアショップが盛況な中、完全な閑古鳥だ。
このような事が今までドコモが取り扱ってきた「自社ファミリーの新製品」…まして先日のツートップ戦略(笑)で、極論サムスン端末であっただろうか?
一方、この売り方には既視感がある。先のツイートでも指摘している、HTCやBlackBerry、 ガラケ時代の「pro」シリーズでやってきたことだ。

○これだけでも、ドコモが如何にiPhoneを「売りたくないか」が判る。
それはそうだろう。 他社より高いARPUを設定してもツートップや月サポという過剰経費に食われて増収減益決算が続くドコモにとって、今や収益のカギはコンテンツ・サービス収入しか無い。一方でiPhoneはそれらのコンテンツビジネスについては、ドコモに何ら利益をもたらさない。
未だにiモードの成功体験から抜けられず「土管屋としてのビジネススタイル」が確立出来ていないドコモに取って、iPhoneを取り扱うという行為は自分の首を絞めるのだ。
特に(恐らくは政治的な側面から)余りにも大規模な設備投資により「始まる前から失敗が確定している」NoTTVなどは風前の灯火であろう。

○さらにもう一つの危険性として、「ドコモの要求仕様に何ら合致しない」iPhoneという端末が売れてしまった場合、ドコモ要求仕様に合わせる事が端末メーカの利益にならないという証左となってしまう。こうなると、最早ドコモが持っていた「端末メーカへの政治力」は失われる。
それでなくてもツートップという愚策によってファミリー企業に冷や水をぶっかけた上、ドコモ自らが自社の要求仕様に価値がなかった事を証明してしまったら、ドコモに追随を余儀なくされていたメーカー…特にソニモバが黙っていないだろう。
今回ソニモバが海外モデルと同じ「Z1」という型番でキャリアの発売前から国内プロモーションを始めたのはその布石と見ている。

○だからこそ、ドコモは本音ではiPhoneを売りたくないのだ。
では何故今回iPhoneを取り扱う事にしたのか。 キーになるのは、ツートップ策以後の、親会社NTTの動きである。

NTT社長「『さみしい』が率直な気持ち」 国内電機スマホ断念
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL050PE_V00C13A8000000/
国内電機メーカーにスマートフォン(スマホ)の開発を断念する動きが出ていることを「『さみしい』、『残念』が率直な気持ち」と述べた。7月31日にはNTTグループとともに携帯事業を伸ばしてきたNEC(6701)がスマホ事業から撤退すると発表している。
NTTからしてみれば、ドコモがツートップでやったこと、そしてその責任を「メーカの品質」に責任転嫁したことは、親会社NTTが育ててきた「電電公社ファミリー」に泥を塗る行為でしかなく、下手をすればNTT本体のビジネスにすら影響を及ぼしかねない、政治的には軽率な行為であった。
この報道の後NTTは自社のドコモMVNOを利用したiPhoneパックを発売したり、副社長がドコモでの取り扱いについてコメントを出したりと外部からプレッシャーをかけていた。
ツートップ戦略は増収減益によるドコモ本体へのダメージの他、親会社NTTを怒らせるという政治的ダメージをも負わせたと私は見ている。

○そしてこれらの迷走ぶりと、「殿様商売」という単語に揶揄されるドコモの身の程知らずなビジネス戦略が、私に嫌悪感と失望感を負わせていたのだろう。
ともあれiPhoneの発売は現実として始まった。
ドコモとしては意図的に売らない事で「たいして売れなかったのでやっぱ撤退します」ぐらいの軟着陸を目指しているのではないかな、と勘ぐっているが、
私は逆に徹底的に売れて、ドコモが日本の携帯電話市場を歪めてきた「仕様の押しつけ」「望まないサービスの押しつけ」という呪いを解放させて欲しい。
判で押したような同じデザイン・同じサービスの端末を横並びで売るのではなく、メーカが各々のフィロソフィを持って製品を作り出して競争する、その方が確実に市場は面白くなり、製品の魅力は増して行く。(Xperiaはグローバル市場を相手にする事で自社のフィロソフィを確立した)

【iPhone】iPhone5S/5Cに思った事


○なんだかんだで順当に発表されたiPhone5sと、結局はリーク情報通りに出てしまったiPhone5c。そしてその急激な変化がユーザを動揺させたiOS7。京は銀座に出かけてこれらの変化がいかようなものかを見てきた。

○まず5S。基本的なデザインはiPhone5から変更が無いが、全体的に5よりさらに金属感が増し、前回私がちょっと不満だったブラック(グレー)モデルの質感が大幅に変わった。「スペースグレー」という名前の通り黒というよりグレー主体の色合いになり、光沢を持つフィレット部はよりメタリックな光沢を放つようになった。
iPhone5の頃にAppleは自社製品の能書きに「腕時計のような」「工芸品のような」という表現を使っていたが、5sのデザインモチーフはまさに腕時計のそれであろう。
今回新たに加わったシャンパンゴールドも最初は違和感しか無かったが、金の腕時計をモチーフにしたと考えれば納得は行く。まあ、金時計程「うるさく」はなく、嫌みな感じはしない。

○そして今回新型の5c。最初はプラスチック(ポリカーボネート)ボディということで安っぽさを懸念して居たが、実際触ってみると「触感」としては安っぽさは全く感じない。恐らく内部フレームとポリカボボディを密着させているのだろう。既存のプラボディ端末にある、「触って判る中の空洞感」が全く無く、見た目にも触った感じにも「ソリッドな」質感を持っている。
見た目の安っぽさはどうしようもないが…
5sより重いとして批判の対象になっている重量についてだが、4sユーザーからすれば軽いもの、というか、特に重さが気になるような重量ではない。
中身については完全にiPhone5なので今更語る事も無い。

○iOS7については、私のiPhone4Sには既に導入済み。
まあなんというか…旧来のiOSからすると完全に「別物」である。デザインのみならず、操作系も結構変わっているので、iOS6基準で考えてしまうと「使い難い」と思うかもしれない。
が、頭を一度リセットして、これが初めてのiOSだと思えば、 ーMicrosoft Officeが2007で操作性を完全に刷新したときと同じようにー 操作性を一から見直した上で、初めて使う人も使いこなしている人も「フラットに」使いこなせる操作性である事に気づく。
Officeの時もそうだったが、ヘビーユーザーにとっての操作性が必ずしも万人に、殊にエントリユーザにとっても使い易い物ではなく、むしろエントリユーザを基準に置くならばヘビーユーザーが好んで使う「効率の良い操作性」は、「多少効率が落ちてでも、判り易くシンプルな使い方」に収束して行くという考え方を見る事が出来る。

○全体を通している事は、Appleは今回のiPhone/iOSでまたひとつファッションブランドへの方向性を進み始めたな、という印象。5Sの目指している物は高級な工芸品、5cはサブブランド的な「ポップな」製品、そしてiOSは恐らく今まで誰もアプローチしようとしなかった「工芸品的側面を持つオpレーションシステム」、という方向性を持ったんだな、というのが私の感想。
スティーブ・ジョブス時代から、マーケティング手法の面でアパレル・ブランドを意識した取り組みはあったが、現体制になってそれを製品にも生かして行こうという「方向性」が、ジョブスの死から2年経って、やっと見えてきたか、というところだ。
勿論ジョブス時代の常に刺激的かつ革新的な製品の出し方も良かったが、今Appleが進んでいる方向性も私は嫌いではない。何故ならコンピュータというものそのものが、ある種進化の行き詰まりに直面してきているからだ。

○携帯電話というデバイスは、種々に存在していたスタンドアロンのデバイスをどんどんと吸収し、PCが持ち合わせていた「情報を受ける・発信する」という側面をも取り込んだ事で今のスマートフォンという形に落ち着いた。携帯電話がその途上にあるうちは何か別の物を取り込む…「別のもの(例えばカメラ)のあり方が変わる」という形での革新性を示していたが、正直もう取り込むべき概念が品切れになってきている。
ソフトウェアを活用しての「デマンドの取り込み」…例えばPassbook等の変化はあろうが、それは見え難く、また使ってみないと判らない。
人は何だ彼んだ言いつつも目に見える「ハードウェアの革新」を無意識に求めており、Appleはその潮流に「必要充分なリソースを持ったハードウェア」を持って乗る事で革新性を示してきた。
(概念の革新性だけなら、日本のガラケのほうが余程革新的だ ガラケに足りなかったのは、概念を実現するに足りる信頼性のあるハードウェアリソースである)

○もう取り込むネタが無い以上、次にやって来る革新はGoogle Glassに代表されるような「デバイスそのもののあり方の変化」だが、残念ながら今はまだウェアラブル・コンピュータを実現出来る程にはハードウェアの技術革新が進んでいない。
ラボラトリーで実現可能でも、それで世の中を変えるには「ビジネスとして成り立つ実用性」が無ければ意味が無い。
私はまだGoogle Glassはその段階に達していないと見ている。(あくまで今の所は、だ)
ならば、と今Appleがやろうとしていることはビジネスの強化である。 具体的には「技術の革新性に頼らない、自社ビジネスの付加価値の向上」である。これはこれで評価したいし、元々「技術だけで付加価値を示してきたわけではない」Appleだからこそできるビジネススタイルだ。

○とりあえず早く11月が来て欲しい所である。(11月に買い替え予定)

2013/08/28

【Music Works】Logic Pro X

◎人が中国出張してる間に何気にバージョンアップしたLogic Pro X。 帰国してさっそくアップデートしてみた。(MainStageも)
今回は恐らくVer8でのシングルウィンドウ導入以来の大幅な変更となる。というかLogicって基本的に偶数バージョンで大きく変わるのだが、今回はスキンを初めとした操作性に関する部分での変更が大きく、より「Appleのソフトウェア」という側面が強くなり、Appleが他に開発してきたソフトウェアの操作・概念を大きく取り込んだものになった。
今回大幅に変更されたスキン関係は、よく見るとそのレイアウトはGaragebandのそれがベースになっていることが判るし、
SmartControlは、MainStageのコントローラアサインメントをほぼそのままLogicに移植したものとなっている。
まだ触っていないが、Remote Logicを使う事で、iOS版Garagebandの操作性までも取り込んでいる。
Ver8でシングルウィンドウスキンが導入された際も、当時のiLife/iWorkの概念を大きく取り入れていたが、今回は更に踏み込んでAppleプロダクト化↓と言って良いだろう。


◎スキン絡みでもう一つ大きく変わったのがミキサー。ミキサー周りはVer7の頃から殆ど変更がなかったが、パーツのレイアウトこそ変わらないものの、それぞれのパーツは写実的な、モダンなものに変更された。特にレベルメータは従来のニキシー管風のものから通常のLCDタイプに、レベル(数値)表示も見やすくなった。
また今回小さいけれどうれしい変更がゲインリダクションインジケータの追加。前からあったEQのカーブ表示と合わせて、ミキサーセッティングの監視がより楽になった。
またプラグインのオンオフ/セッティング/タイプ変更がマウスオーバーで選べるようになり、並べ替えもドラッグだけで行えるようになったため飛躍的に操作性が上がっている。

◎その他の新機能の能書きについては公式ページに譲るとして、個人的に最大の変更点は今回新音源のDrumkit Designer。
中身は最近流行のドラム音源をまるごと入れたようなもので、通常のステレオミックスダウン音源の他、一つ一つのマイク(スネアの裏表、オーバートップ、アンビエント等)を個別に調整したり、
ドラムキットを構成する打楽器のピッチ/共鳴調整、果ては打楽器そのものを入れ替えてオリジナルのドラムキットを作る事も可能。
特にオーバートップやアンビエントマイクは、従来のサンプル音源ドラムにはなかった空気感を簡単に再現してくれる。(各打楽器マイクへのカブリまで再現する芸の細かさ!)
アンビエントマイクのルームタイプがステレオ/モノラルしか選べないとか、ドラムの種類そのものがそれほど多くないという難点はあるものの、
カブリやアンビエントを含めたマルチマイクドラムをMIDIベースで、追加音源無しで扱えること、そしてそのクオリティの高さは脱帽モノ。
正直これだけのためにバージョンアップをしても良いぐらいだ。

◎あともう一つ地味に大きな変更点がTrack Stack。従来からあった「フォルダ」の拡張で、従来の「フォルダ」は複数トラックのリージョンを見かけ上一つのトラックにまとめるものだったが、今回のTrack Stackは、言うなればグループバスの導入である。
内部的には集約対象のトラックの出力を全て特定のAUXにまとめた上で、見かけ上「集約先のAUX」にトラックを集約させるというものだが、
従来のフォルダと違う点として、集約先のトラック自体をオーディオトラックとしてプラグインを使用出来る事、
集約先のトラック自体にMIDIリージョンを持たせられる点だ。
特に後者はDrumkit DesignerのProducer kitや、UltraBeatのマルチ出力をこれによって実現している。

◎そしてもう一つ、Flex Pitch。 ロクなピッチ補正プラグインを持たなかった事が従来のLogicの弱点だったが、プラグインではなく編集機能としてピッチ編集が出来るようになった。
Flex Pitchをオンにするとオーディオトラックのピッチ解析が行われ、解析結果がピアノロールの形で波形の上に重ねて表示される。あとはピアノロール上で基準ピッチの補正の他、アタック/リリース部のピッチドリフト補正/ビブラート(同一母音内のピッチの揺れ)等を補正できる。
これらは「歌い手のクセ」を残したまま、音ハズレを許容範囲に収めるという芸当が出来るという事だ。
また「Pitch」と名前がついているが、タイミング補正も出来る。
ちなみにビブラート/ピッチドリフトを「0%」に設定すると、初音ミクごっこができるし、アタック側のピッチドリフトを極端な値に設定すればPerfumeごっこ(中田ヤスタカごっこ)も出来る。

2013/08/09

【Maclife】Apple TV

◎前から買おうかどうしようかずーっと考えていたApple TVをついに購入。
というのも6月に新居のエアコンを新調したらヨドバシのポイントが10%も還元され、ほとんど追加料金無しで買えるぐらいのポイントになったので、これ幸いと購入…
…と思ったらここんところの円安差損でケーブル代含め3000円程発生。
まあ、3000円で買えれば安いもんか。

◎日本ではあまり有効なコンテンツがないApple TVを何故態々買ったのか?
それはAirPlayのためである。
ウチにはリビングオーディオと呼べる環境は既に無く、普段はTVに接続してあるZinoからTVで音声を出すか、Mac/iPhoneからの音声をJANBOXで鳴らしていたのだが、これもある意味妥協の産物。
最初にiPodに移行してからずっとやろうと思っていた「手元のiPodライブラリの楽曲をリビングで鳴らす」がやっと実現出来るようになった訳だ。
…Airmac Expressを買えばすぐ実現出来た事ではあるが、流石にAirPlayのレシーバとしてだけに8000円は高過ぎるだろ…と。
その点Apple TVはさらに2000円程高いが、ポイントで買ってるし、AirmacExpressにはない付加機能がいろいろあるのでお得ちゃお得である。

◎さてこのApple TV、NFLやWSJといったネットワークブロードキャストを除くと、アクセス出来るコンテンツは基本iCloudのそれになる。具体的には
・iTunesで購入し、iCloudの同期対象になっている音楽・ビデオ・ポッドキャスト等
・フォトストリーム
…となる。初代Apple TVは本体に膨大なストレージを持ち、母艦iTunesのデータを片っ端から吸い上げて再生する仕様だったが、今回の奴はデータの実体はiCloud側にあるというわけだ。
(Appleは仕様を公開していないが、Apple TV側のローカルストレージはかなり小さいものだろう)

◎単体ではこれだけだが、ホームシェアリングが設定されたiTunesが起動していれば、iTunes側のコンテンツをリアルタイムにネットで吸い上げて再生してくれる。
また、iOSデバイス/Mac側のAirPlay出力先をApple TVに設定すれば、デバイスの音楽/動画を再生してくれる。
面白いのは「ミラーリング」も含めたAirPlay時の挙動で、これがローカルコンテンツ再生時の挙動と差異がほぼ無いこと。
唯一違うのはApple Remoteでのコントロールが出来ない事だが、ここでApple Remoteの代わりにiPhoneに「Remote」アプリを組み込むと、本当に挙動に差異が無くなってしまうw

◎音楽再生だと再生元がどこであろうとアルバムアートワークや曲名・プログレスバーが同じように表示され、手元のiPhoneで曲コントロールが可能。
写真や動画のミラーリング再生ではTVに映し出された写真や動画をiPhoneで選択・コントロールするなど、使っている状況だけを見ると完全にiPhoneがリモコンになっている。
…実際はiPhoneからデータは再生されているのだが。
ヤマハだったかが自社技術でiPhoneを事実上のリモコン化させるAVレシーバーを開発していたと思うが、それどころの比ではない。 見た目だけは完全にiPhoneがリモコンだ。
iPhone自体がコンテンツ再生・データ送信をしているので電池が減って行くという難点はあるものの、「完全なシームレス環境」を実現してるのは凄いの一言。
下手にAirPlayで外部スピーカに再生させるよりも俄然使い易い。

◎もう一つ、Mountain Lionの機能である「MacのAirPlayミラーリング」だが、こちらでミラーリングされるのは画面情報のみで、その状態ではApple TV側のコンテンツ再生は全て停止される。(音声も)
私は今の所これの有効な使い道が見当たらないが、これもiPhotoやApertureで写真編集をやる人等には重宝されるだろう。感覚的には液プロへの画面表示をワイヤレスでやるようなもんだ。
個人的にはミラーリングでなく拡張デスクトップとして機能してくれると非常に有り難いのだが…

◎そんなわけで購入前には半信半疑だったApple TV、いざ導入してみると超絶便利なデバイスであることが判った訳だが、お陰でウチのサブ機であるinspiron Zinoの出番が無くなってしまったw
まあ、Zino自体購入してもうそろそろ3年になるわけで、そろそろ次の環境構築を検討せねばならん時期に来ているので、丁度良い切欠かもしれない。
…ああ、また金が飛ぶなぁ…

2013/05/09

【Music Works】 久々の新曲「僕の知らない誰かが」


◎何年振りの新曲だろう… と言うか、この曲自体Garageband for iOSをダウンロードした直後に作り始めて、気がつけば2年近くが経過していたという…

確かこの曲を思いついたのは2年程前、三社祭に向かう電車の中でのことだった。
頭の中がどういうスイッチングしたのかは判らないが
「僕の知らない誰かが君を連れ去って行く それでも僕は生きて行こう 泣きながら 笑いながら」
こんな感じの言葉のフレーズが頭を過って、それを膨らませて作ったのがコレ。
Garageband for iOSの「あまり多様なコードを使えない」という制約がかえって良い方向に働いて、結果的にかなりシンプルな曲になった。

◎しかしPC使用のDTMではReal Guitarを使用しないとなかなか表現できないアコースティックギターの表情が簡単に出せてしまう(特に今回はオートプレイをそのまま使用)のは驚き。基本ピアノ弾きでギターを生で演奏する事が出来ない私にとってこのアコギのクオリティは有り難い。先のエントリで書いたがこれでも22.05kHzのサンプルなのだ。

◎この曲作成したのは間違いなくGarageband for iOSなのだが、一応今回アップロードするにあたって一度Logicに書き出し、メロディラインの音色の変更のみ行った。元曲は良くわからないシンセの音色で鳴っているのだが、やはり私の曲はメロディラインがこの音色でないとw

2013/05/04

【Music Works】Garageband for iOSに見るソフトシンセの構造

◎技術の進歩というものはありがたいもので、今やスマートフォンで作曲が出来る時代である。しかも、内臓音源のクオリティもなかなか悪くない。
最近使い倒している中で、Garageband for iOSのスマートギターが、ギターの音域外だとパワーコードストラミング音が出たり、ベロシティによるマルチサンプル再生に対応していたりと、音色クオリティや表現力と言った意味では既にかつての「DTM音源」を凌駕するレベルに有る事に気がついたのだが、これをモバイルデバイスで実現させるカラクリに少し興味を持ち、波形解析をしてみる事にした。


◎波形解析と言っても別に難しい事は何も無く、SmartGuitarを含んだ曲ファイルを書き出してLogic Proで読み込み→音源をEXS24に切り替えてEXS上にサンプルを展開→EXSのエディタでゾーンやマッピングを確認するだけのことだ。
が、ここで面白い事実に気がついた。波形ファイルが一つしか無いのだ。その波形がこれ。

SmartGuitarにおいてこの単一のサンプルファイルの鍵盤やベロシティによって波形の読み出し位置を変えることでマルチサンプル発音を実現しているわけだ。確かにこの方法だとファイルを細分化するよりもストレージメモリの使用量を削減出来る。
ちなみにサンプルレートは22.05kHzと意外に低いが、サンプル数が多いため容量としては26Mにも及ぶ。

◎ここで興味深いのは、一つ一つのサンプルは発音から消音まで収録されていること。PCMシンセサイザーでは一般的なループ処理がない。EXSエディタで確認してみたが、サンプルの再生でループは行っていないのだ。当然そんなことをすれば26Mもの波形容量を食ってしまうのも理解できる。ちなみにピアノは100M近くに及び、こちらもノンループ。(ただしダンパーオン音色はない)
サウンドクオリティをそこまで高くする必要がないはずのソフトにしてはかなり贅沢な仕様だが、何故このような仕様にしているかを考えてみるとスマートデバイスアプリならではの苦労が分かる。サンプルのループ処理を行うと、確かに波形容量が減らせるが、発音エンジンにエンベロープを組み込む事が必須となる。メモリの負荷が減る代わりに、プロセサの負荷が増えてしまうのだ。

◎ただでさえ電池駆動時間という制約のあるスマートデバイスでプロセサ負荷を増やすのは好ましくない。一方でワークメモリの負荷に関しては、ソフトシンセでは一般的な技術であるストレージからのストリーミング再生を行う事で負荷分散を図れる。(GarageBand for iOS起動直後に曲を再生すると、ストリーミングが追いつかず音色のアタック部分だけが再生される)。
通常のソフトシンセはHDD等のストレージメディアからストリーミングを行うためそちらの負荷がかなり高いが、基本フラッシュストレージのiOSにおいてはストリーミングによるリード負荷はそこまで高くない。
GarageBand for iOSはこう言った事を行う事で、決して能力が高いとは言えないモバイルプロセサでのDTM環境を実現しているわけだ。

◎この「プロセサの制約を波形容量で解決する」手法は、GarageBand for iOSに限らずソフトシンセでは一般的に使用されている。ハードシンセのように高速な読み出しメモリや発音処理専用のプロセサを持てず、ワークメモリの容量制限と限られたプロセサリソースを有効に活用するために、ハードシンセ程制約がないストレージを活用して発音処理にかかる処理を引き下げている。
別の言い方をすれば、ハードシンセが音声処理で表現している部分を、ソフトシンセでは波形容量で表現しているのだ。
一般的なソフトシンセではこの波形容量による音色の切替は「演奏時の不自然さ」として現れやすいのだが、もともと高度な演奏を要求出来ないGarageband for iOSが(多少ストレージを食う事になっても)この仕様としたのはプロセサ処理の効率利用という意味では非常に合理的な設計思想だと思う。

2013/04/16

【Music Works】Garageband for iOS

◎先日通勤途中にふっと音楽のネタが思いつき、随分前にダウンロードしていながらあまり使っていなかったGarageband for IOSでネタを作り込み始めた所、意外にハマり込んでしまい、気がついたら曲の骨格が出来上がってしまっていた。



曲の善し悪しというより、このレベルの音楽がスマートフォンで作れてしまうという事に隔世の感を覚える。
(まあ、元々はGarageband for iPadでiPad専用アプリケーションだったのだが…)

◎作りかたはそう難しくない。メロディを適当にピアノで打ち込んだ後、コード決め(そのまま白玉になっている)をエレピで行い、他のパートをSmartInstrumentsでコードをなぞって行っただけだ。
Garagebandで一番面倒なのがドラムの打ち込みだが、これはドラム画面で指二本タップ(一定のリズムでタイコを叩き続ける)で使用する楽器をドカドカと打ち込んだ後、ピアノロール画面で不要な音の消去/ベロシティ調整をやる。パーカッションはSmartDrumを使用。
頭と途中に入って来る民族楽器風のフレーズのみ、Mac版GaragebandのApple Loops(cafファイル)を読み込んだものだ。
今回は内臓音源とApple Loopsのみ使用したが、本来Garagebandは簡易的なDAWである。であるからして、手持ちのギターをオーディオインターフェース経由で録音したり、鼻歌を直接Garagebandに録音して、オケを作り込んでいくことで作曲する事も可能だ。

◎しかしまあ冷静になって考えてみれば、十数年前の音楽制作環境と言えば大掛かりなPCで外部音源を鳴らし、不安定なシステムと格闘しながら録音したりして作ったものだった。あの頃の環境が、スマートフォンの中に収まる。しかも内臓音源のクオリティは、当時の外部音源のそれより遥かに高く、そのインターフェースは当時のそれよりも遥かに直感的・音楽的だ。

◎また、この音楽製作は、「iOSでなければ」出来ない事だ。AndroidやWindows(Windows8におけるmodern UI含む)は、あろうことかMIDIを「レガシーなもの」として切り捨てた。しかし、コンピュータ・ミュージックとMIDIは不可分なものであるし、MIDI自体がレガシーであっても、その実装次第ではここまでクールなアプリケーションを作る事が出来るのだ。

◎仕事だなんだでなかなかゆっくり音楽を作る時間も気力も取れないが、これなら手持ちのスマートフォンで、電車の中や、ベッドで寝転がって音楽が作れる。これも時代の、テクノロジーの進化である。