2013/11/28

【Gadget】 iPhoneの実勢価格を調べる

◎きっかけはツイッターで見かけたのこの記事だった。
新華経済:日本人はなぜ「サムスン」より「アップル」なのか?―中国メディア

記事中では日本における反韓感情や、Appleのブランド力(と日本人のブランド好き)によるもの、操作性の差によるiPhoneの優位性について触れ、
ツイッターではサムスンへの悪感情や日本人の同調圧力についての意見が出ていたが、
曲がりなりにも中国出張を繰り返しマーケットの状況を肌で見ていた身としては少し違う感想を持った。

「日本だと、iPhoneが安いからじゃないか?」

◎中国市場におけるiPhoneの販売価格は、かなり高い。
サムスンのGalaxy S4が中国移動通信版(TD-SCDMA)で4000元前後なのに対して、iPhone5cの16Gが4500元。5sとなればそれ以上だ。
香港でも似たようなもので、基本「iPhoneはトップブランド、次点がソニー、サムスンはそこまでの価格にはならないが機能的に同等で、背伸びをすれば買える値段設定」という所に落ち着いている。
では日本ではどうなのか。

◎私自身の感覚では「下手をすると日本ではiPhoneが一番安いんじゃないか?」と思っていたので、
この際なので2013年冬春モデルの販売価格を調査してみた。
が、日本はSIMロックでキャリアが実売価格を決定する上、回線契約のバーターとして端末代金の一部をキャリアが肩代わりする商習慣があるため、これを考慮した「実質負担金」で考える必要がある。
しかもこの実質負担金が契約形態によって違うため、それらすべてをマトリックスにする必要がある。
とりあえず、顧客が2年間で支払う端末代金を調べてみた。

◎で、調べた結果がこれだ。

トップモデルのiPhone5s 64Gを基準として、顧客の2年間の総支払額が基準を上回るものを赤く塗ってみたが…
なんと大半のモデルでiPhoneより高いという結果になってしまった。特にドコモの高さが際立つ。
一番高いモデル基準でこれなのだから、その他のiPhoneを選択する分にはさらに安くなる。
まさに日本は「iPhoneが一番安い」と言っても過言でない状況なのだ。

◎実はiPhoneやXperia Z1、Galaxy Note3といった「複数キャリアで販売されている端末」ですら、一括購入の価格がキャリアにより異なっている。 iPhoneの一括購入価格がとんでもない価格に設定されて市場から総スカンを食らったのは記憶に新しいところだ。
ただでさえ端末の価値に応じた価格設定がされていない上に、その価格がキャリア(売り手)の都合で決められているというのも、私が普段批判している「日本の携帯電話市場の歪み」の一つと言えるだろう。

◎更に言えば、多数の人が望む機能…端的には
・不必要な機能を搭載していない(その分安価な)端末
・操作が容易で解り易い端末
・コンパクトな端末
・安価な端末
…といった要求を、日本市場で満たしているのはiPhone5cなのである。
現状の端末仕様を比較してみると良い。ソニーが「コンパクト」と言い張るXperia Z1fですら、iPhoneより大きく分厚く重いのだ。
ブランド力だけでなく、多数の顧客が望む「必要な特性」を満たし、かつ最も安価な端末。これが売れない訳が無い。

◎逆の言い方をすれば日本におけるGalaxyはSBMがiPhoneの価格を破壊した上、ドコモにより「iPhoneへの当て馬」に仕立て上げられてしまった事が悲劇と言える。
ワンセグ搭載の為にシングルプロセサに換えられたり、誰が見るのか謎なNoTTVへの対応を強いられたり。
自社のセンスでの広告すら許されず、勧進帳のような製品紹介で何も伝わらない広告を強いられたり。

更にはプラダフォン山田やツートップ加藤といった無能経営陣、(直接関係ないが)ナントカ藤間のような無能マーケティング部隊により「iPhone対抗!」「サムスンとの蜜月関係!」ばかりが前面に出て、挙げ句の果てにはツートップ戦略により「日本の端末メーカを撤退に追いやった悪役」に仕立て上げられた為、完全に顧客にそっぽを向かれてしまった。 これは嫌韓感情というよりマーケティング戦略を完全に間違えたドコモの罪である。
(ついでに言えば、「価格の歪み」が最も大きいのもドコモである)

◎もし、中国市場のように、「iPhoneが高価」かつ「iPhoneより少し安い価格帯」で、「サムスンが本当に訴求したかった商品魅力をきちんと伝える」マーケティングが日本で展開されていたら、少し事情は違っただろう。

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