2010/12/04

【Sound Works】MOTU UltraLite mk3 hybrid

◎今回のワークルーム模様替えで、長年ウチのセンターコンソールだったAW4416及びオーディオI/Fのemiちゃん26歳を代替すべく購入。 emiちゃん26歳を購入したのが2002年の年末だったので、8年経過していた訳だ。 まあ、2002年頃というと、DAWの「可能性は凄いけど実力が全然ダメ」な時代だったので、あまりemiちゃんも有効活用出来たとは言い難いんだけど…。

◎その点このUltraLiteは「DSP搭載、USBで使用可、Tigerで使用可、10イン、ヘンに廉価じゃない」と、私の探していた条件にパッコリハマった訳だ。 M-AudioとかRolandとかそのあたりのメーカーならもっと廉価なインターフェースもあるが、そういうのはえてしてD/A・A/Dがダメ過ぎる。(※1)その点UltraLiteなら腐ってもMOTU。 ネット上の評判も悪くない。最後の最後まで828と悩んだのだが、最終的に「USBで使える」と言う点が決め手になった。

◎で、UltraLiteである。 早速S90XSを繋いで弾いてみたところ、やたらと元気な音がする。 特にヘッドフォンアウトの音質が全然違う。 44.1kHz駆動時でもダイナミクスの解像度が高く、ピアノでは命となる「ダイナミクス変動による演奏表現」がハンドリングしやすい。 スピーカー出力は(環境的に大音量を出せない為)そこまでの差は感じないが、それでもこの音を聞くと、「AWって以外と高域曇ってたんだなぁ」と感じる。 勿論AWが悪い音だった訳ではないのだが。
またプリアンプも悪くない。 ソースが無いため音質評価は出来ないが、S/NはAWのそれより全然良い。(というかAWが悪過ぎる)。ただゲインがAW程上げられない為、とりあえず今は「夜のひとりスナフキンごっこ」用マイクは引き続きS90XSに繋いでいる。

◎そしてUltraLiteのキモとなるDSPミキサー…CueMix。 マニュアルにブロックダイヤグラムが無いので把握するのに一苦労したが、YAMAHA的な言い方をすれば「本線を持たない、8ステレオAUXのモニ卓」だと思えば良い。 その各AUXの出力先をUltraLiteの各種出力端子にアサイン出来る、という寸法だ。
数年前書いたコラムでDAWにはモニ卓が最適、と書いたが、本当にモニ卓だった、と言う訳だ。w
このため、例えばMix1をメインアウトにアサインして本線扱いにして、他のMixを使ってアナログアウトから演奏者へのモニター返しミックスを作って返すとか、アウトボードへの送りを作ったりとか出来る。
(本線が無い構造上、ポストフェーダ位置での信号取り出し、という概念は無いが、モニミキとしての使用なら問題ない)

◎各入出力にはEQ・HPF・LPF・コンプを持っているので、レコーディング時点でのローカット等やコンプかけ録り等もちゃんと出来る。センドリターン式のリバーブも持っているが、リターン先が出力端子単位かmix線単位なので、このリバーブは単純に「演奏者に気持ちよく弾いてもらうため」の付加的なリバーブと思っておけば良い。 ちなみにこのリバーブ、出力が妙に小さい。

◎特徴的なのはモニター周りで、各出力のモニタートグルを選択すると、ヘッドフォン及びメインアウト端子から、選択した出力のモニター信号が出力され(→モニターアウトとしての機能)、何も選ばない状態だとモニター設定を無視してメインアウトの信号をメインアウト端子からノミナルで出力する(→2tr Outとしての機能)。 このため何か選んでいないとマスター音量の設定を無視してモニタースピーカーから音が出る、という仕様なのだ。(ヘッドフォンの音量調節は独立しているので、そちらの調節はできる)
私自身純粋なモニ卓には触れた事が無かったので、本線が無い、ということが多少難しく感じたが、むしろミックスダウン前に使用する卓の構成としてはこれのほうが合理的そうだ。
近いうちに「擬似的なレコーディング作業」をやって、その使い勝手を検証してみようと思う。

◎とりあえず普段の使用は単純に「入力を纏めて2trでモニタとヘッドフォンに返すだけ」という、別の意味でのモニ卓としての使い方がメインになるので、mix1を本線見立てでメインアウト、mix8をS/P DIF経由でM|Oneへのセンド送りとして使用している。
プリセットを記録出来る(確か16個)ので、自宅で使用する時、スタジオに持ち込むときの仕込み、といったシーン別の基本セッティングを記憶しておける。 やろうと思えば、こいつをキーボードミキサー的にライブで使う事も出来そうだ。

◎全体的には、「ハーフラックのUSB機で、ここまで出来るならむしろ安い」と思える程高機能かつ便利だ。単純に入力をまとめる為のミキサーと捉えても、この入力数とデジタルミキサーの「いつでもリファレンスをリコール」というアドバンテージが大きい。これだけ入力数があればちょっとしたアマチュアバンドの自主CD制作とかにも充分使える。(外部マイクプリアンプを用意出来れば)AWの代替機としては充分満足出来る。
勿論音もいいので、ヘタに廉価な2in2OutとかのUSBインターフェースを買うぐらいなら、多少高くてもこいつをオススメしたい。

◎一方で一応不満点も。 ひとつは電源がラッチ出来ない事。 せっかくパワーディストリビュータから給電してるのに、電源が一括管理出来ないんだよな…(実は、828と迷った要因はこれもある。 828はハードスイッチなのでラッチ可能)ま、これは利用環境の問題だから、良い悪いは人によりけりかな。

※1:廉価機の作りが酷い、の筆頭は恐らくRolandだろうなぁ…別にI/Fに限らず、とにかく廉価機種・エントリ機種・コストダウン機種の作りの雑さが目立つ。それでいてカタログスペックだけは上位機種に匹敵するから余計にタチが悪い。

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