2007/07/08

【Diary】今日の1冊:本当はヤバい!韓国経済(三橋貴明)

◎滅多に本など買わない私が珍しく書店で見つけて速攻でGetした本。 むちゃくちゃ面白く、速読傾向な私だが半日で読破してしまった。(勿論繰り返し、最低10回は読むと思う。 私はそういう本の読み方をする)

◎この本,実は2ch極東N板の名物スレ「韓国経済ワクテカスレ」の1コテハンが執筆したものである。 (このため恐らくは著者名もペンネーム)このスレ、もともとは東亜+板で時々立っていた経済関係関係のニューススレに三橋氏が降臨し、その圧倒的なデータと本職ならではの鋭い分析を披露、住人の圧倒的支持を受け、更に三橋氏同様の経済エキスパートも巻き込んでイナゴ化し、極東N板に舞台が移った後それまで議論されていたデータをもとに本の形として構成されたものである。
ちなみにワクテカスレのまとめサイトはここ

◎私は東亜+の時点から(しかも運が良い事に最初に降臨された時から)その動向を見て強い興味を惹かれ、まとめサイトに移行してからも定期的に読んでいたので、記載してある情報自体は掲示板で得られるものとそう大差は無い。 しかし掲示板(あるいはまとめサイト)と言う体系化されていない情報の羅列から概念的に理解するよりも、本と言う形で体系的にまとめられたほうが断然理解度が速い。 情報は画面で見れば良いので印刷物は不要なんて考えてるIT技術者もいるが、やはり活字の威力を思い知った次第。

◎さて、タイトルからして嫌韓・笑韓テイスト溢れる本に思えるがさにあらず。 韓国自身が発表している経済動向指数とマスメディア(新聞)から得られる情報をもとに分析をした上で、韓国の経済状況がどれほど深刻なものかを克明に示している。
もともとの掲示板の性格、そして何より著者の意地の悪さ(笑)もあって文章そのもののバイアス感は否めないが、事実をもとにした分析だけあって説得力があり、また理解促進と専門性(正確性)と言う相反する文章表現をいいレベルで落とし込んでいる。 よって内容はかなり専門的だが非常に読み易い。 強いて言うなら著者がハイパーリンク前提のHTML文書に慣れているせいか、「どこそこを参照」「どこそこにて解説」という言い回しが多い事位か。

◎内容については…ネタバレになるので内容は書かないが、経済指数や経済活動そのものとはある種「結果論」であり、それらは全て韓国が企業,政治,教育等の分野において「何をしてきたか」の集大成なんだ、と言う事を強く感じる。しかもそれは政治がワリーとか資本家がワリーとか会社経営がワリーとかそういう「マクロの側の失政」でなく、ミクロの側…つまり市井の一般人達が何を望み、政治や資本や経営や教育に「何をさせてきたか」という、一人一人のリテラシーの問題なんだということを痛感させられる。
(もちろんそれらの低リテラシー意見に仰合してしまう、左巻き的指向にとらわれるマクロ側にも問題があるのだが)

◎対して自分たちはどうか。 かろうじて安定政権、かつ資本主義社会の原則に忠実な思想とそれに基づく「官僚と言うブレーン」がマクロをコントロールする政治体制において、なんとか現在の経済状況を維持出来てはいるが、常々報じられる様々なモラル崩壊減少に見られる様なリテラシーの低下、そしてそれらを真に受けてビジョンも無いまま御旗に掲げ、政策論議もまともに出来ない政党の跋扈…要するにミクロでしか物事を捉えられない考え方が無視出来ない状況となってきている。
多くの企業が所謂個別最適から全体最適へと思想転換を行っているが、これは国家も同じ事で、かつての日本企業がそうだったように個別最適を優先化すれば組織には必ず綻びが来る。 そしてそれは今現在韓国が直面している問題,そしてこれからの日本そのものが直面しかねない問題である。
下を見て安心…ではないが、この本に書かれているような内容を反面教師として,自分たちは何をするべきか,何をしてはいけないか、を考えさせられる1冊である。

◎そして最後に一つだけ。
韓国が史上最悪の反日国家(笑)であるのは周知の事実だが、この本を読むと「そりゃ反日にもなるわな…」と、妙に納得してしまう。 それは所謂一般的な歴史認識問題とかそんな話でなく、経済レベル,しかも市井の生活レベルで、なおかつ「資本主義国家のあり方として実に真っ当な方法で、日本が韓国から「救いが無い程に」利益を得ている現実が見えてくる。
まあ、それに対する反抗のエネルギーを経済発展でなく思想活動やイデオロギーに費やすあたりが、真の「救いの無さ」なのだが。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

動向は追ってなかったので事情はよく知らなかったのですが、所謂「ワロス曲線」系統の本なのかな??
あたしゃ経済に関しては禿げしく門外漢ですが(しかも東亜+住人だけどどっちかっつーと新韓派だしw)、嫌韓流なんかよりもこういう本こそ一度読んでみたいですね。
(…といいつつ某ノムタンが表紙の本も「積み」に入ってる私orz)

Unknown さんのコメント...

>ワロス曲線の…
いや、もっと深刻な問題点を示しています。
と言うかウォン高やワロス曲線も韓国が陥る経済悪循環のうちの「要素の一つでしかない」と言う事が良くわかります。
ウォン高の要因が貿易活動に依る経常収支だけでなく、ダンピングとも取れる程の輸出品目の低利益率から来る膨大な財政赤字補填のためのこれまた膨大な短期外債にある事,
一度ウォン安に転じてしまえば短期外債の額面急騰が起こる為、トータルで見ればウォン高推移の方が望ましい事,
そしてウォン安への転落カードは日本が握っている事…
日本のマスコミは(そして本国のマスコミも)取り上げない、分析出来ない事実がそこにあります。