2007/07/09

【Diary】値段

ITmedia News:「PS3の値下げなし」とソニー社長

PS3の価格を引き下げる「計画は現時点ではない」と中鉢良治社長はReutersの取材に応えて語った。
と言う報道が流れたのが7月6日。 しかしその3日後にはこうなった。

ITmedia News:[WSJ] PS3、米国で100ドル値下げ
ソニーはプレイステーション 3(PS3)への最大の批判の1つに応え、同製品の価格を100ドル値下げして売り上げ拡大を目指す。
 この値下げは米国で7月9日から実施され、PS3の価格は499ドルとなる。この値下げは業界内の各方面で予測されていたもので、ロサンゼルスで間もなく開催されるゲーム業界展示会の直前に行われた。(中略)
「多くの消費者にとって、価格が障壁になっていると聞いた」とソニーの米国ゲーム部門社長兼CEOジャック・トレットン氏は語る。「100ドルの値下げで、もっと多くの消費者がPS3を入手しやすくなると期待している
◎うーん、突っ込みどころはいろいろあるんだが、シロウト考えで行くと、海外販社(米国ソニー)に取ってみればソニー本体の事情なんぞ知った事か、と言う事か。 マニュファクチャラー(SCE)やブランドホルダー(ソニー本体)の収益性を犠牲にしてでもまず自分たちの売上高のテコ入れが必要な程、のっぴきならない状況に来ていると言う事か。 販売の収益は数売ってナンボ、だからね。

◎工場はとにかく「作って出せば」売上げが出る。 だからソニーは生産出荷台数を重視するし、販社は販社でとにかく「発注を絞りつつ売りさばく」ことができれば利益は出る。さらにSCEはマニュファクチャラーなので、売上げに関係なく開発費の回収が出来る…このためトータルで考えると、海外販社の値下げ分の利益減少は、そのままソニー本体(事業部)に帰ってしまうことになる。

以前のエントリで、ゲーム機における赤字先行ビジネスモデルと損益分岐点の話を書いたが、普通ゲーム機の値下げ(と言うよりコストダウンモデルチェンジ)は一応損益分岐点を通過してから行う。…っつーかゲーム機でなくてもそうか。
さてPS3は損益分岐点を通過したのだろうか? 世界レベルで見ればWii以上の売上げ台数を誇るXBOX360でさえ、モデルチェンジの噂は聞かない(エリートは上位機種だしねぇ)
つまり北米の値下げ宣言は、ソニー本体に対し「損益分岐は更に遠くなるけどよろしくね、うちはうちで儲けるから」と突きつけたようなものなのだろう。

◎そういった意味で中鉢社長のコメントは、ブランドホルダー、かつ事業コントロール部門としての必死の叫びだったのかもしれないが、事業部別独自会計を押し進める昨今の経営手法の歪みが、こういう形で現れてくるのか、と思う。
(そういえばソニー全体で見ると、事業部別の弊害が、これでもかと言う位社内競合が多いんだよなあ…)

◎そうそう、PS3の値段と言えば、やはりこれを忘れるワケには行かないな。
ITmedia +D:やっとすべてを発表できた——SCE久夛良木健氏プレスイベント直後インタビュー
「高級なレストランで食事をした時の代金と、社員食堂での食事の代金を比べるのはナンセンスですよね?

ええ、ナンセンスですね。 恒久レストランが値段に見合ったサービスを提供するものであればね。

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