【Diary】今日の1冊:「本当にヤバイ!中国経済」三橋貴明著
◎ヤバいシリーズ第二弾、神戸滞在中のヒマ潰しに購入。今度は中国経済である。前著もそうだったのだが、経済専門書を読んでもサッパリ判らない経済指標を判り易くブレークダウンし、分析し、再構築する事で、高度経済成長と言いつつ砂上の楼閣にある中国経済の危険性をバッサリ切っている 勿論 著者の意地悪さも健在だ。
前著と異なる点として、前著はあくまで韓国経済単体にスポットを当てた分析であったものが、今回はアメリカサブプライムローン問題に端を発する世界的な金融収縮や、日本その他の国際収支の面から中国経済を斬っている。 その理由は「中国の数値は信用ならない」からだそうだ。
◎無論、中国経済を題材にしている訳だから中国の国際収支、GDPといった数値に触れないわけにはいかない。 そのためどうしても、内容に眉唾モノ的な雰囲気が有るのも事実ではある。 勿論それだけ中国と言う国が国際的信用に足る国家では「ない」という事であり、そのような国に対する投資や事業展開がいかに危ういものか、と言う証左でもあるのだが。
そしてこの本自体が最大に訴えている事はまさにその点であり、日本において流行り廃りで投資先を彷徨い歩く二流投資家や、それらを先導するマスコミに対する警告こそがこの本の主題なのだ。
◎私は経済素人ではあるが、中国への投資・事業展開の「チャンス」など、数年前…少なくとも2003年前後には…終わっていて、あとは単なる「二匹目の泥鰌」に群がろうとしているに過ぎない、と考えている。
この本でも触れられている事だが、「中国13億人の市場!」と喧伝するのは良いが、果たして本当にそうなのだろうか。
中国人民13億人の平均購買力がアメリカや日本や欧州の様に高ければ…判り易く言えば、市井の民が先端工業製品を購入し、技術発展の恩恵に与れる立場にあるならばそれで良い。 ところが中国の場合 …もう、この統計を見るだけでオチは見えている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/国の国内総生産順リスト
◎なるほど国内総生産(GDP)の値は高い(それが信頼できるかどうかは置いといて)が、一人当たりとなるととたんに順位が落ちる。 つまり一人当たりの生産性や収入が低く、平均購買力が低いからだ。 これではいくら日本が消費財や資本財を輸出しようとも、それを購入してくれる市場は「一定の生産性・収入のボーダーラインを超えた人数」しかいない。 最大格差が13倍とも言われる中国市場でその人数は果たして何人なのだろうか? 少なくとも13億人でないことだけは確かだろう。
(別にこんな分析をしなくても、庶民の立場で中国に訪れた事が有れば、「13億人の市場」が嘘である事なんて、肌で判る)
◎まあ私の様な何の力も持たない市井の民には、中国経済の隆盛がどうなろうとそれに抗う術を持たない。 しかし最低限の権利として「経済」と直結する「政治」の舵取りを選択する権利…つまりは参政権・選挙権…は持っている。
そんな中でこの本は、自分たち(自分だけ、でなく、自分を含めた社会全体)が豊かになる為には何を選択するべきか、選択する為にどのような情報を得て、どのように分析し、何を見いだして行く必要があるのか、を考えさせられる一冊である。
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