2008/05/24

【Diary】PowerPoint(2)

ダイヤモンドオンライン:トヨタグループが「パワーポイント禁止令」?

「社内の意識はまだまだ甘い。昔は1枚の紙に(用件を)起承転結で内容をきちんとまとめたものだが、今は何でもパワーポイント。枚数も多いし、総天然色でカラーコピーも多用して無駄だ」と苦言を呈したのである。(中略)
かつて奥田碩取締役相談役は、「トヨタの敵はトヨタ」と語った。米GM(ゼネラルモーターズ)を抜き、世界一の販売台数獲得が目前に迫るなか、そのトヨタOBは「特に若い社員は、かつての苦労を知らない。何も考えずに慣例的、事務的に仕事を処理したり、部品メーカーなどの取引先に傲慢な態度を取るものも少なくない」と指摘する。
 別の幹部は「自ら範を垂れずに、サプライヤーにコストダウンを強要してもついてくるはずがない」という。月は満ちれば、欠けるもの。慢心や傲慢、油断、嫉妬。“世界一”になること自体が大きなリスクと感じるトヨタ首脳陣やOBは多い。
 「いまこそ、意識改革の絶好のチャンス」と渡辺社長は言う。その意識改革とは、原価低減という単なる“節約”に止まらない、もっと深い意味合いがありそうだ。


◎ここで取り上げられたPowerPoint利用の最大の問題点は「ただ見た目だけ」「中身が無い」「要点が見えない」「報告と言う行為だけが目的な」パワーポイントの作成、しいてはそういう資料の作成に時間を割く「無駄」を排除しろ、と言う事だろう。
特に技術屋の作るプレゼンなんてのは、データやグラフだけをバン、と貼付けて、そこからの分析プロセスは全く触れられずに一足飛びに「結論」の文字が踊り、それがそのまま「議事録」なんつってメールで回される始末。 その資料から何を読み取れと言うのだろうか。

◎「仕事」があるステージを超えてくると、その重点は「手段を行使する」ことから「目的を達成する」、「手段を設計する」ことへと変化して行く。その過程においては目的のブレークダウン、既存問題点の抽出と分析、アイデアの創出と選定、予測される効果…といった論理展開、そしてそれを誤解無く伝達して周囲を動かすプレゼンテーションが必ず必要になってくる。
私が今やっているのはまさにそういうステージの仕事なのだが(…ってこれ、管理職の仕事だよなw)、最近の私はそれらに取り組むにあたって、あるテーマに関する「漠然とした論理展開」を構成するエレメントを、短い文書でPowerPointに書き留めておく癖がついている。

◎具体的に言えば「目的」「実施案」「分析結果」「効果」…といった見出し別にテキストボックスを作り、それぞれの項目について要点を16ポイント2行程度のフレーズにまとめ、必要に応じてExcel等で作っている図表や帳簿をPowePointのグラフに清書(そのままは持ってこない)書き出しておくのだ。
こうしておくと、いざ資料作成という段になってそれらのエレメントを取捨選択するだけでプレゼンのひな形が出来上がるし、説明する相手が目上でなければ(担当者ベースであれば)、それをそのまま説明資料にも出来る。 要はノートやメモ帳の代わりにPowerpointを使う訳だ。

◎PowePointはそのソフトの構造上、1枚のスライドに詰め込める情報量には自ずと限界がある。よって書き留められる内容はどうしても「絶対量」を減らさざるを得なくなり、しかし要点を書き損じれば自分が困る。 何よりもそんなものをPowerPointで作っても意味が無い。
時分が得た情報をいつでもプレゼンテーションに転化できる形態にしておけば、その情報を加工・発信する際の手間が省けるのだ。
勿論このへんは人それぞれで、マインドマッピングソフトやアウトラインプロセッサー、中には(物理的な)メモ用紙を使って似た様な事をしている人は多い。

◎しかし一方で、大多数の人に取ってはPowerPointは「ろくに整理もされていない情報」をいきなり清書する場、にしかなっていないのだろう。 だからプレゼン作成でウンウンと悩む羽目になったり、文字だらけで要点が無い資料になったり、内容が無いのに枚数ばかりが多かったり、意味の無い色彩やイラストが躍ってみたり…と言う、中身の無いプレゼンテーションをバンバン量産する羽目になる。
この記事においてトヨタの社長が言いたかったのは、そういう意識の低さ、情報処理への認識欠如に対する警鐘だろう。
「上司は何も判ってくれない!」とお嘆きのサラリーマンは、一度そのプレゼンを「何も知らないバカになって」読み返してみてはどうだろうか。

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