2005/12/01

【Traffic】鉄道雑感

◎「陸の孤島」茨城県南西部を貫くつくばエクスプレスが開通して3ヶ月が経過した。 普段通勤の足に使っているわけではないので「便利さ」以外の面を感じた事はあまりないが、果たして利用者数は確保できているのだろうか。
つくばエクスプレスが他の鉄道事業と大きく異なる点は「住宅開発事業とリンクしている」と言う点だ。 東急田園都市線も似たような経緯を持って敷設された。 つくばエクスプレスが今後採算ベースに乗るかどうかは、実はこの住宅開発関連事業とリンクしている。

◎関東近辺でここ10年程度の間に整備された第三セクター鉄道の大半は、実は大赤字だ。 顕著な例は埼玉高速鉄道と北総鉄道で、前者は沿線インフラの整備に力を注がなかったこと、後者は千葉ニュータウン建設の規模縮小のアオリを食らった形となっている。
つくばエクスプレスにしても、開通による経済効果をアテにしているのは東京都と茨城県で、通過県である千葉と埼玉は比較的慎重な姿勢を取っている。(それでも埼玉は沿線が「陸の孤島」だったので、エクスプレスの開通による通勤需要や、新線近辺の住宅開発効果をある程度見こんではいるが…)

◎鉄道の利点を上げると、輸送効率の高さと定時運行性の他に、環境保全性の高さがある。 鉄レールの上を鉄輪で走る鉄道は、転がり抵抗が少ない為一度加速してしまえば、勾配区間が無い限り惰性で走行する。 このため発電所にかける負荷や、ディーゼルカーの場合での燃料消費が少ない為結果的に二酸化炭素排出量等をかなり抑制できる。
ただ、この利点はそのままブレーキ性能の弱さや勾配特性の弱さに繋がる。 この点を改善する手段として一つ有効なのが鉄道のリニアモータ化だ。
リニアモータの場合、加減速に摩擦を利用しない(ブレーキ系統は、摩擦ブレーキとリニアモータの回生ブレーキを併用する)ので、制動特性や勾配特性を改善できる(実際、最近のミニ地下鉄でリニアモータの採用が多いのは、新線程深い位置に掘る関係上急勾配が多いのと、トンネル断面を可能な限り小さくするためである)。 地上側設備を電磁石でなく非磁性導体とし、車両側電磁石の磁力による誘導電流(渦電流)を利用した誘導モータ構成とすれば建設費も比較的安価で済む。

◎この方法の欠点は既存の鉄道インフラとの共用が出来ないことだ。 と言うか、「既存の鉄道」がリニアモータ線に乗り入れる事は可能だが逆が出来ない。 つくばエクスプレスはJRと同じ規格の鉄道だが、これは将来的な東京地下・京葉線ホームへの乗り入れを考慮しての事だろう。
それでなくても現存するリニア地下鉄は軒並み赤字だ。(まぁ、リニアが悪いと言うより新線計画に問題があるのだが)印象は良くあるまい。
未来型鉄道と呼ばれるつくばエクスプレスも、何かと既存の技術・旧来の価値観にガチガチに縛られて出来た鉄道と言うことも出来るだろう。

◎リニア鉄道に関しては他にも書きたい事があるので、それはまた次回。

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