【Favorites】プロが要求するもの
◎会社の同僚が単身赴任で音楽再生環境が要ると言うので、SMS-1Pを譲ったところ、「サイズからは想像できない高域/低域の再現性と、定位の明瞭性に驚いた」と言うコメントを頂いた。
ここにも書いたことだが、民生用の機器はそれほど定位や帯域の分離性を重視せず、むしろ全体をミックスした際の響きを重視したものが多く、その耳に慣れていると、モニターが出す「混ざり合わない音のイメージ」は驚くに値するものなのだろう。
◎さて、その同僚とスピーカ談義をしている中で、こんな記事を見つけた。
まぁ…何というか、かなりの電波系であることだけは間違いなさそうだ。
文脈を要約するとスモールモニターの火付け役であるNS-10Mを徹底的にコキ下ろし、「本当のプロならばラージモニターを設置して、「本当の音」でモニタリングし、レコーディングエンジニアは、市場の要求に屈することなく、常に最高の音質を刻み込め」と言うことを書いている(と、私は解釈した)
◎>「ムダ」、「ムラ」、「ムリ」、トヨタ生産方式で言えば、仕事の三大悪であり、絶対に許されない考え方
トヨタ生産正式を引き合いに出してまで、この筆者は「正確な音をハンドリングすれば一流、市場の要求に応じたモノを作るのは2流、と言いたいらしいが
それならば、目に見えない部分の車の性能や機能をとことん削り、パフォーマンスや実効性を重視した「80点主義」がトヨタの基本の考え方であり、少なくとも、小規模では絶対設置できないようなラージモニターのようなものは絶対に作らないトヨタの姿勢は社会悪なのだろうか。 社会悪を唱えるトヨタが社会悪を犯す。 豪快な矛盾ですね。
実効性や有意差を客観的・数値的に判定できない「効果」をウリにしているオーディオケーブル屋ごときにトヨタ生産正式を語られては、
トヨタの生産現場の人は怒るだろうな。きっと。
◎この筆者が完璧に勘違いしているのは、「プロフェッショナル」と言うものを取り違えていると言うことだ。
プロフェッショナル、とは本来「何かを極めた者」ではなく、「何かで対価を得る者」であり、その評価は得られた収入(利益)によって判断される。
仮定の話だが、SSLの卓、アルテックのラージモニター、そして大規模な工事を経て作られたレコーディングスタジオでマスターを作成したものと、02RとNS-10Mを持ち、そこらのホームセンターで買ってきた材料でルーム・アコースティックを改善したプライベート・スタジオで作成されたマスター、これらからCDを作り出し、同じような売り上げを記録したとしたら、プロフェッショナルとして「良い仕事」をしたのはどちらなのか?
私は後者だと断言する。対費用効果の薄い仕事しか出来ないプロに存在価値は無く、それはただの「自己満足」「自慰行為」 でしかなく、突っ込んだコストに見合う収入が得られないのことこそ本当の「無理」「ムラ」「無駄」…つまり社会悪だ。
◎この筆者が主張するように、NS-10Mが「ラジカセやiPodで再生した音をチェックするためのモノだったとすれば、それはまさにプロフェッショナルの機材の条件を満たしている。 少なくとも、どこにもNS-10Mが貶められる理由は無い。
ラージで形成される音場を、市場が必要としなかっただけだ。
何度も言うが市場の要求にこたえられないプロフェッショナルや「プロ用機材」は失格であり経費の無駄であり、社会悪だ。
「正確なモノこそがプロフェッショナルの正しい姿だ」と言う持論をトヨタの前で披露したら、笑いものになるだろう。
◎音楽でも写真でも絵画でも映像でも何でもそうだが、「プロフェッショナル」の領域の下に「趣味」の領域がある。そして、「趣味」の為に「プロフェッショナル」のための機材を導入する分野がある。しかし、「趣味」は基本的にノーリターンで、自己(もっと言えば「自己だけが」)満足すればそれで済む。 よって、それらの機材は、ユーザ自身が満足するための機能を備える。一方でプロフェッショナル機材は、それを使うユーザのためではなく、「それを用いることによって生み出されるものを得る人」が満足するための機能を持っていなければならない。
よって、それらを「趣味」で手にする人は、常にそのことを意識…「ユーザが気に入るために作られているわけではない」と言うことを意識しなければならない。
勿論、それらを踏まえたうえで「自分が気に入るかどうか」と言うファクターが入ることはなんら悪いことではないが、少なくとも「プロ用機材」で定番になるにはそれなりの「合理的かつ自己満足にならない」理由があるのだ。 それを「世間の評判を鼻で笑い、自分の主張が一番である」という論調で貶めるというのは、自分の自慰行為を世間に知らしめるのと同次元であり、愚かしい行為だ。
◎私自身プロでも何でもないのに、「分かったように」ちょっと強い口調でチラシの裏を書いてしまったが、自分も「趣味でプロ用機材を持つもの」として、あまりにもこの文章が許せなかったので記してみた次第。
5 件のコメント:
うーん…件のモニターNS-10M云々については、実際どういういう機材なのか知識が無いので議論の蚊帳の外な俺ですが(←音の出口にはあまり興味が無い人w)、
自分の得意分野の業界が見渡せるようになった(とガチガチに思い込んでる)ヲタが陥りやすい連鎖にはまっちゃってるなーという印象はあるな。
というか、ある種の領域を超えた高音質なんてあまり理解したくも無いというのが本音。
オカルトの世界と紙一重だもんよ。
音師失格か俺。・゚・(ノ∀`)・゚・。
10Mが使い物にならんのは当然のことだと思うが。昔はアルテック612Aでミックスダウンしてました。雲泥の違いであることは本当。最近のスタジオが堕落してるのは本当のこと。なんなら612A手にいれてみて、いかに凄いか、また、素人に使いこなせるはずもないことを理解されたらいかがかな。他人にこうして公に意見を言うのはそれからでいいと思うがどうか。想像でもの言っちゃぁいかん。あのサイトの圧勝です。
(・∀・)
(・∀・)ニヤニヤ
この本文の内容って良く見るけど、テンプレでもあるの?
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