2006/11/15

【Diary】景気拡大のお金はどこに行った?

日経BP:国民が「いざなぎ越え」景気を実感できない理由

>今回の景気拡大が始まった2002年1~3月期から、2006年4~6月期まで、名目GDP(年率換算)は21兆円増えた計算になる。ところが、その間、サラリーマンの所得は4兆円も減っているのだ。
 これはどういうことか。つまり、資本家はこの景気拡大期に25兆円も所得を増やしたのである。サラリーマンに分配する報酬を減らして、自分たちだけが景気拡大の甘い汁を吸っているというわけだ。
◎最初、日刊ゲンダイの記者が書いたのかと思ったら、立派な評論家先生らしく、心底あきれた。
資本家の肩を持つつもりは無いが、「25兆円も所得を増やし」て「甘い汁を吸っている」と言う論拠がどこにあるのか全く理解できない…
ちょっと調べると判るが、こんなデータがある。
経済産業省:経済産業省設備投資計画調査(全産業) グラフ ※要AdobeReader

◎特に表を見ると一目瞭然だが、平成14年度(2002年度)でほとんどの業種が設備投資費が大幅減少し、今年になってやっと大幅な拡大…と言うか「モトに戻そうとする」動きが加速してきているのがわかる。
ここを読めば一撃で理解できると思うが、一定の設備投資費の伸びは、企業が(発展的でなかったとしても)継続的に利益を出し続けるのに不可欠な要素であり、設備投資の停滞はそのまま企業活動の足踏み、取り残されの要因となる。
つまりこのデータだけ見ても、バブル景気の後遺症で続いていた設備投資の後退を、企業が必死になって取り戻そうとしているのが判ると思う。

◎企業だって馬鹿ではない。 社員を食わせるためには利益が必要で、利益を生むためには投資が必要になる。
サラリーマンの給料はどこから出ていて、その原資を生むためにどういう活動が行われているのか…
確かに今の景気拡大は消費層への影響がまだ小規模にとどまっている。 「需要と供給」の関係において、利益率を重視した高価格・高収益製品に重点を置いた「供給主導の景気拡大」である以上、末端の消費を刺激するにはまだ時間がかかるはずだ。
そういった時系列的流れを無視した、大衆係合的と言うか、ヘンに「庶民の視点」バイアスのかかった記事を読むより、過去数年分の貸借対照表(バランスシート)や経済産業省の各種統計を読んだほうが、よっぽど「景気動向」を正確に読め、予測できると思うんですけどね。

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