2006/02/09

【Diary】珍客

◎その電話がかかってきたのは快適に睡魔さんが襲ってきた10時半ぐらいだった。 03から始まる見た事もない番号。
出ると、何故か大岡山の交番だった。
「あの~、Tさん(仮名)て方、ご存知デツカ?」
ええ知ってますよ。 それが何か?
「実はですね、Tさん飲み過ぎてウチの交番でブッ倒れて、ウワゴトのようにAmane(仮名)さんの名前を呼ぶのでお電話差し上げたんですが、身元引き受けのほうをご依頼できないかと…」
…逝けと? 俺に? この時間から大岡山に逝けと?
色々考えたが結局逝く事にした。 高速に乗る寸前に電話がかかってきて、身柄を田園調布の警察署に身柄を移しておくから、田園調布署に来て欲しいとのこと。
しかしウチから田園調布署。 ナビに計らせると距離は46kmほどある。
部屋を出るとき時計を見たら11時。 夜で道が空いているとはいえ果たして何分で着くか。
考えても仕方が無いのでとにかく車を走らせる。

◎車を走らせている間、T君のことを少し考えた。
少なくとも奴は呑み会の企画はやるが自分はそんな呑めんかったはずだし、酒で失敗したとかいう話は㌧と聞いた事が無い。
彼は人一倍長い学生生活を送っている(まぁ、博士号目指せばね…)のだが、何か研究室でイヤな事でもあったのだろうか。
…などと考えながら、RX-8は常軌を逸した速度で爆走。
とても速度は言えないが、 都心環状線に抜けた時点でまだ15分しか経過して居なかったと言うことだけは報告しておこう。
結果的に、田園調布に着いたのは11時35分。 40分を切ってしまった。
しかし私は考えた。
よく考えたらここは警察署だ。
なんぼなんでも茨城から田園調布40分以内は速すぎる。
少し知恵の働くお巡りさんなら、 私がどのような速度で走ってきたか悟られるかもしれない。

◎そんなことはどうでもよく(なら書くなよ)警察署に入ると、T君が確かに「潰れている」
しかも何故かゲタ履きだ。 この寒いのに。
所持品と身元引き受けの書類を書いて、声をかけるとムクリと起きてふらつきながらも立ち上がる。
一応意識はあるようだ。
「頼むから車ん中で吐くなよ」と念を押しながら車に押し込み、何はともあれ我が家に強制連行することに。

◎帰りは1時間程で到着。 あらかじめ妻に私のベッドを空けておいてもらったので、そこでとにかく寝てもらうことにした。
どうやら話を聞くと、研究室のコンパで学会発表が終わってハイになった大酒呑みの後輩に付き合ってたら自爆したらしい。
しきりに謝っていたが「ええからはよ寝ろ」と私の部屋に押し込み、私は妻と一緒に就寝。
今朝早くに私が起きると、別にええのに同じ時間に起きてくる。
しかも水分補給に、いうて置いといてやったアクエリアスも全然減ってないではないか。 遠慮せんでええと言うとるのに…
しかし汗によるアルコール分解は盛大に行われたらしく、私の部屋の酒臭い事酒臭い事。

◎にぎにぎと朝飯を食い、私は出勤の時間なのでとにかく風呂に入ってアルコールを抜けよと忠告して出社。
すると10時過ぎに妻からメールがあり、帰宅の連絡を受けた。
それにしても意外に長居していたんだな、と思ったら、どうやら妻と話し込んでいたらしい。
その中で判明したのは、履いていたゲタは自分のものではなく、店の下駄を拝借してきたそうな。
そりゃそうだろう。 この酷寒の中ゲタ履く奴はそうそうおるまい… ましてT君にそんな趣味は無かったはずだ。

◎しかしアトから考えて見ると、彼と私が共通で知っている知人が、実は溝ノ口に済んでいる。
最初からその人に振れば良かったのかもしれない。
とはいえ、なかなか楽しい体験をさせてもらった。 長話に付き合った妻はめっぽう疲れたらしいが…
珍しい経験と、珍しい客の一幕であった。

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