2008/10/12

【Diary】トップと大衆

◎ワシントンで開かれていたG7の共同声明が発表された。
ブルームバーグ:G7行動計画:公的資金による金融機関への資本注入を十分保証

1.金融システムの安定のために重要な金融機関の破たんを防ぐため、断固とし た措置を取り、利用できるあらゆる手段を講じる。
2.金融市場の凍結を解消し、金融機関が流動性と資金調達への幅広いアクセス を得られるよう保証する。
3.金融機関が信認を再構築し、家計や企業に融資を続けられるようにするのに 必要であれば、金融機関が民間の資本だけでなく公的資金による資本を十分得ら れるよう保証する。
4.預金者が預金の安全確保に信認を持ち続けられるよう、それぞれの国の預金 保険制度が頑健かつ国際的にも整合性のあるものとなるよう保証する。
5.モーゲージその他の証券化商品の取引市場を再開するために行動する。資産 の正確な価値と透明な情報開示、それに国際的に整合性のある高度な会計手法が 必要である。
このあたりの内容の解説は私みたいな素人より専門家のほうが良いので、リンクだけ貼っておく。
代表戸締役 ◆jJEom8Ii3Eの妄言:第378回 G7行動計画
確かに内容的に目新しい事は何も無く、市場織り込み済みの「当たり前の内容」ではあるが、まあ考えても見れば国毎に経済規模も構造も事情も異なるのに一貫性のある経済対策なんてなかなか出せるもんじゃないし、それ以上にこんな緊急のトップ会談で「具体的施策」まで踏み込んだ議論をしろというだけ酷と言うものだ。
しかし、実務者間の協議・調整の前提となる「トップとしての方向性」を発表・文書化するというのは非常に重要(でないと、実務者は何に基づいて動いて良いのか判断出来ない)だし、それが出来ただけでも十分な成果じゃないだろうか。

◎ブルームバーグ:中川財務相:世界全体で取り組むことを再確認-米大統領と会談
中川財務金融相からは「過去における経 験の共有という意味での協調も大事であり、日本の経験を大いに活用してもら いたい」と発言し、大統領はその通りだ、と答えたという。

中川さんもきちんと仕事をしている。 規模と波及範囲こそ違えど今回アメリカがやらかしたことはまさに10年前の日本のバブル崩壊と同じであって、日本の経験はまたとない教訓・拠り所になる。 それをアピールする事で世界経済の中での日本のポジションをより強固なものにしようというわけだ。 トップの仕事としては十分だろう。

◎しかし…国内メディア・政治家は、こんなものである。
毎日新聞
今回の金融対応はあくまでも一時的な危機管理であって、本格的な統治能力の発揮は、政権の正統性を付与されて初めて可能になる。その唯一の道が解散・総選挙により民意の審判を受けることであることに首相も異論はあるまい。いたずらな引き延ばしは日本政治を劣化させることを肝に銘じてほしい。
ゲンダイネット
国会では6日から、補正予算の衆院審議が始まった。「解散より、景気対策」なんて麻生首相は逃げているが、みみっちい補正に市場が何も期待していないのは明らか。国会がダラダラと時間を浪費している間に、日本の金融危機、株式市場も底抜けになりそうだ。ムダなことをやっていないで、国会はさっさと解散した方が賢明だ。
民主党
記者の解散・総選挙を行えば政治空白が生じ、さらに景気が悪化するのではとの質問に、鳩山幹事長は、「政権交代こそ最大の景気対策。明日が見えなくなっている。政治に対する信頼が回復したとき、その政策にも信頼が呼び戻ってくる。官僚の手のひらに乗った政策である限り、国民に支持されない。選挙で政府が空白になるわけではない。政治が機能していない状況こそ政治空白」と答えた。

…「衆愚」と言う言葉がこれほど当てはまる事例は、そうそう見ないと思います。

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