2010/04/22

【Sound Works】s90XSインプレ2:MIDIまわりの仕様について

◎さて、インプレ第2回はエディター周りやリモート周りをインプレする予定でいたのだが、実際書き始めた所MIDI周りの設定だけで結構な情報量になったので分割することにした。 と言う訳で今回はS90XSのMIDI周りの仕様とセットアップについて。

◎まずs90XSとPCの接続についてだが、これはほとんど「USB接続専用」の仕様と考えたほうがいい。 と言うのも、S90XSは単体では音色やリモートテンプレートのエディットが出来ず、それらを行う為のPCエディターがマルチポート通信前提になっているからだ。
どういう事かというと… S90XSとPCをUSB接続・ドライバインストールすると、5つのポート作られる。 これらはそれぞれ、
Port1:内蔵音源部とのMIDI信号のやりとり
Port2:フィジカルコントローラーとしての信号のやりとり
Port3:s90XSのMIDI In・Out信号へのスルー出力
Port4:音色エディターソフトの通信ポート
Port5:リモートテンプレートエディターソフトの通信ポート
…と言う役割になっている。 勿論普通にPC→MIDIインターフェース→MIDIケーブルで接続、という事は可能(※1)なのだが、この場合Port1だけが使用されることになるため、他の機能は使えなくなり、DTM音源よろしくMIDIでの音源ドライブとコントロールチェンジを介しての音色調節しか出来なくなる。

◎困った仕様だなーと最初思ったが、エディターを使用すると何故この仕様になったか解る。 通信速度やエディターの反応速度がやったら速い上に、全ての機能を同時に使用できる。 特にSoundDiverやMOTIF Voice Editorでその遅さに悩まされた身としては通信速度の速さは驚かされた。 なるほどこの反応速度なら本体側のエディット機能はメリットないよなー。 PCのほうが解り易いし。(このへんは次回)

◎それともう一つ触れておきたいのがリモートコントロールの仕様。 DAW Remoteモードに入った時、初代MOTIFはMIDIコントローラとして複数チャンネルのコントロールチェンジを送信、MOTIF XSはフィジカルコントローラの動作プロトコルを送信する(ESは知らん)が、s90XSはその中間的な動作となる。 具体的に言うと、トランスポートやジョグダイヤル、カーソルや数値等の各種キーはフィジカルコントローラのプロトコルをPort2から送信するが、4つあるノブとスライダーはPort1から鍵盤と同一チャンネルのコントロールチェンジを送信する。

◎この仕様が、ノブ・スライダーの機能の違いとして出てくる。MOTIF系ではノブ・スライダの操作を複数チャンネルのコントロールチェンジやフィジカルコントロールプロトコルとして送信する事で、ある特定のパラメータ(トラックボリューム、パン、EQ等)を複数トラック同時にコントロールできる。 ただしノブ・スライダがコントロールできるパラメータは一種類なので、異なるパラメータを操作するときはキー操作でパラメータを切り替える必要がある。
一方S90XSのノブ・スライダが送出するコントロールチェンジは全て同一MIDIチャンネルで、「現在アクティブになっているトラック」に対するもののみとなるため、他のトラックを同時に操作する事は出来ない。 が、複数あるノブやスライダーに全て異なるコントロールチェンジを割り当てられる(※2)ので、今選んでいるトラックの様々なパラメータを最小限の切り替え操作(※3)でコントロールすることができる。

◎言わば、「MIDI鍵盤付きフィジカルコントローラ」のMOTIF XSと、「フィジコンプロトコルを一部利用するMIDIマスターキーボード」のS90XS、と捉える事ができる。 どっちがいい悪いは良く判らないが、MOTIF XSのようにミキサーのフィジコンとして動くんだったらムービングフェーダーじゃないと意味なくね?とか思う(※4)し、「マスターキーボード」として考えると、 操作対象がS90XS自身・ソフトシンセ・外部音源・オーディオトラックのいずれでも、同一の感覚で作り込んで行けるのが、いかにも「シンセサイザーを操作してる感」があっていいと思う。 最初は初代MOTIFとの仕様の違いに戸惑ったけど、解ってしまえばすんなり使えるからね。

◎ところで、このPort2のフィジコンプロトコルだが、DAW自体はCubase・Soner・Logic・DPに対応しているが、Cubase以外のDAWで使用する際にどの機種として動作するのか、マニュアル探したが発見できないw
こちらのBlog等を参考にさせて頂きながらやってみたところ…
結論を言うと、LogicではS90XSはMackie Controlとして認識される。 コントロールサーフェスセットアップでMackie Controlを手動インストールし、通信ポートをPort2にすれば動作してくれる。 参照先のBlogはポートの設定で躓いたらしいが、ウチは素直に動いた。

◎ただしこれだけではノブ・スライダーは動作してくれないので、送出されるコントロールチェンジに対応するパラメータをLogic側で指定する必要がある。 これのやり方に関してはこちらの記事でMOTIFの設定をやったのと同じく、コントロールサーフェス→コントローラアサインメントで設定する。 MOTIFと違うのは、コントロール対象が「被選択」であることのみで、やり方は全く同じで良い。
具体的な設定例は次回公開予定。

◎…と言う前提を踏まえた上で、次回こそエディターとリモートモードの使い勝手についてインプレする予定。 お楽しみに(誰が?)

※1:UtilityのMIDIでMIDI In/Outを「MIDI」にする必要がある
※2:この「操作するコントロールチェンジ」を設定するのがリモートエディタの仕事。
※3:ノブファンクションが2種類あるため、その切り替えは必要。
※4:コントロール対象のトラックを変える度にフェーダの同期操作が必要になるため。

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