2010/04/23

【Sound Works】S90XSインプレ3:使えるエディター・リモートモード

◎と言うコトで予告通り(今度こそ)エディターソフト及びリモートモード周りを見て行くことにする。
やや繰り返し気味になるが、これまでのシンセサイザーの付属ソフトはあくまでも「付属品」の扱いだったが、S90XSはスタンドアロンではコモンパラメータ以上の音色エディット等は出来ず、S90XSの持つ全機能を引き出すにはUSB接続されたPCが必須である。言い換えればエディターソフトまでを含めてS90XSとしてのコンポーネントを形成すると言って良い。
「えー、そんなのめんどくさいよー」と言う無かれ。 また従来までのエディターソフトで痛い目を見てアレルギーが有る(私自身も…)人も、そこらへんに投げ売りされてるネットブック1台買ってこよう。 それ位の価値はある。 つまり、出来が良いのだ。

◎セットアップに関しては前回を見てもらうとして、s90XSエディターはStudioManager経由での起動となる. 勿論DAWを起動したまま使用する事も可能で、Cubaseから直接起動させる事も出来る。
このエディターだが,パラメータがグループ毎に整理され,EGやスケーリング等数値だけでは感覚をつかみにくいものはちゃんとグラフィカル表示してくれる。ソフトシンセのエディット画面と似た様なもので、かなり出来が良い。
特に気に入ったのがEGで、ピッチ・フィルタ・アンプの各EGが重ねて表示される。この3つのEGの関係を把握するのが従来は難しかったが、こうしてくれるとお互いの関係を把握しやすい.

◎また、画像がそうであるようにマルチモードエディットから直接音色をエディット出来る点も大きい。音色エディット時にボイスモードに戻る必要がないので、曲作りと音色作りの作業を切り分ける必要が無くなる。
S90XS側でストア作業をしない限り音色やマルチはストアされないので、音色はS90XS側にストア、マルチはエディターで保存して楽曲呼び出し時に読み込んで音源リコール、といった事も出来る。
…Logicって、何故かファイル読み込み時にMIDIデバイスのリコールを行わないのよ…(一度でもトラック選択すればリコールするんだけど)
ていうかCubaseならこんな面倒な事する必要ないんだけどねw

◎操作性に関しても,よくある妙な「ツマミの再現」とかいう余計な仕掛けは無く,以外に素直. 勿論ロータリエンコーダやスライダ風のパラメータ表示ではあるが、, ポインタを乗せるとパラメータが拡大表示され,結構大きなストロークで操作できる. 勿論直接数値入力も可能で,少なくとも私が知る限り初代MOTIFのエディターよりずっと解り易く、使い易い.
そして何より通信速度・反応速度が非常に速い。まったくストレスが無く、マルチティンバーのソフトシンセをいじっているのと勘違いする程。今まで使ってきたMIDI経由のエディタソフトが悉く通信が遅かった(特にSoundDiverは酷かった…)のとは雲泥の差.

◎とりあえずまとめると、これまでの音色エディターが「まあしょうがねー、PCでも音色エディットできるようにはしといてやるよ」的なオマケ扱いだった(私が知る中で最悪だったのがローランドのXVエディター… あれホント最悪。)のに対しS90XSはそれ自体が必須の機能ということもあって、操作感覚・操作性、機能性、DAWとの親和性(同時使用含む)等の面でかなり作り込まれているのが良く判る。パネルデザインには賛否両論あるかもしれないが、私はそれほど気にならない。

〜〜〜
◎さてお次にリモートモードだ。リモートの仕様は前回書いた通りで、Port2から送出されるMackie Control互換プロトコルでのトランスポートコントロールと、Port1から送出される鍵盤・ノブ・スライダーでのMIDIコントロールが混在した仕様になっている。 このノブ・スライダーが送出するコントロールチェンジを割り当てるのがリモートエディターの仕事になる。

◎と、ここで。 LogicではMIDIコントローラから送出されるコントロールチェンジを、Logic内の任意のパラメータに割り当てる機能(コントロールサーフェス→アサインメント)がある。 これを利用すれば、ソフトシンセに限らずS90XSからLogicのトラックパラメータを操作する事が可能になる。
ともう一つ、Logic標準装備のソフトシンセは,外部コントロールチェンジでパラメータを操作する機能が設定されてない. KXシリーズにしてもs90XSにしてもLogic用ソフトシンセのコントロールテンプレートが存在しないのはこのためで,パラメータをコントロールするための設定はs90XS側でなくLogic側で定義する必要があるのだ.

◎…と言うことでまずはs90XSリモートエディターを使ってLogic用のコントロールテンプレートを作成する. もちろんこいつもDAWと同時使用可能で、パラメータ設定の為にDAWとエディターを開いたり閉じたりする必要は無い。
ノブとスライダーから何番のCCを送出するかは自由だが,とりあえず以下にした。
ノブファンクション1(Tone):CC74(カットオフ),71(レゾナンス),16,17
ノブファンクション2(Mic):CC7(ボリューム),11(パン),93(コーラス),91(リバーブ)
スライダ:CC73(アタック),71(ディケイ),79,75(リリース)
16と17は使用するソフトシンセによって割り当てを換える。 EXS24ではフィルタードライブとアウトプットボリュームに割り当てる事にした。

◎ちなみにこの割り当てにした理由だが、
・S90XSのパネルに書いてある機能(ToneとMicの欄)に合わせた
・Micのコントロール対象をトラックパラメータにする事で相手側がソフトシンセ・オーディオ・MIDIのいずれでも操作できるようにした
・スライダーがフェーダに使えないならスライダにADSRを割り当てたほうが判り易い、という判断。
・ソフトシンセ毎にテンプレートを換えるのがめんどくさいので共通化した
…といったところだ。人によって違うだろうが、一つの参考にどうぞ。
で、あとは以前ここで書いたのと同じ手順で、コントローラアサインメントを呼び出し、コントロールしたいパラメータ画面をクリック→ノブ・スライダ操作で割り当てて行く。前回と違うのは、「トラック」を「被選択」にすること。

◎…と、ここまでやった上での使い勝手だが…一言で「これはいい」。Mackie Controlで送られる機能が特に使い易く、カーソルキーでトラック選択できたり、A〜Hキーでスクリーンセットを変えられたり、ジョグダイヤルでトランスポートバーの位置を動かせるのは感動的。 うわー、MOTIFの時にハードウェアシーケンサーの操作性を思い出したと書いたが、それ以上w 主客転倒気味だが、S90XSにLogicが内蔵されてるんじゃないか? と思える使い心地。(私はもともとW5から打ち込みに入った人間だしね…)

◎そいでもってノブとスライダだが、初代MOTIFの時のように「どのスライダーがどのチャンネルに対応してるか」考えなくていいのがイイ。考えても見れば、たとえフィジコンのフェーダが8本あろうが10本あろうが、人間が1回にコントロールできるパラメータは一つなんだし、俯瞰して状態を確認するならミキサー画面で十分だ。 それよりも今アクティブなトラックに対して最小限の切り替え操作で様々なパラメータにアクセス出来るS90XSのリモート仕様のほうが合理的っちゃ合理的だ。
おそらくはKXもこの仕様なのだろうが、KXよりもファンクションが多い分、トラックパラメータに割り当てて「どのトラックでも同じ操作で同じパラメータを調節できる」のが物凄く便利だ。 いやーこれは使える!!

〜〜〜
◎ああ、分割したのにとんでもなく長くなってしまった… さて次回は、ステージパフォーマーから自宅スナフキンごっこ野郎(私)まで幅広く遊べるパフォーマンスモードとA/Dインプットについて見てみよう。

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