2006/05/14

【Diary】Dr.Strangelove or:How I learned stop worrying and love the bomb

◎近所のレンタルDVD屋で発見したので借りてきた。
ちなみに邦題として有名な「博士の異常な愛情」は根本的な誤訳である。
なぜって? 「Dr.Strangelove」は固有名詞であり、訳しようが無いからだ。

◎東西冷戦まっただ中に作成されたこの作品だが、当時の「冷戦」と言う緊迫した状況は、ある種の狂気の産物であることをアイロニカルに描いている。
特に登場人物が強烈だ。 個人的には強硬論を説きながら勢いあまって後ろに転び、それでもなお弁論を続けるタージドソン将軍が最高だ。
狂気の目を放ちながらソ連の陰謀論を語り、友軍に向けて機関銃を乱射するリッパー将軍、カウボーイよろしく核兵器に跨ってそのまま発射されていくキングコング少佐… もうすこしマトモな登場人物はいないのか? と言いたくなるほど狂った登場人物ばかりだ。

◎ストレンジラヴ博士自体の登場シーンは2回しかないのだがそれでも強烈だ。 大統領を何度も「総統」と呼び、自らの意思に反して右腕がナチス式敬礼をしようとする。 そして人類の終局の局面には、ヒトラーばりの選民思想を口にする。
このストレンジラヴ博士のモデルはジョン・フォン・ノイマン、ヴェルナー・フォン・ブラウン、エドワード・テラーと言われているが、作品を見てみるとストレンジラヴ博士自信にはそれほど(と言うよりもほとんど)政治的野心や主張を持ち合わせてはおらず、
政治プロセスが核戦争をするしないに関わらず、彼本人は純粋に核兵器(あるいは作品中に出てくる「皆殺し装置」)を作り上げることだけに関心があったようである。
このあたり、核戦争を積極的に推進していたノイマンとかとは違うようだ。(どちらかというとノイマンの性格は、リッパー・タージドソンの二人に反映されているようだ)

◎この作品が公開された当初、世界は冷戦のまっただ中で、キューバ危機による世界全面核戦争の危機も経験していた。
作品の冒頭にこそ「このような事態は起こりえない」と注意書きがされているが、人類が手にした最強の兵器「核」が持つもっとも強力な威力は、 実はこの映画に示されるような「人間の理性の破壊、 狂気の励起」にあるのではないだろうか、と
ちょっと思った。
まぁ、そんなムツカシイこと考えないで、普通に笑ってるだけでもよい作品なんだけど。

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