2006/05/07

【Sound Works】Logicの入力お作法

裏庭コロニアルにてSONAR5の人柱報告があり、Ver5における「MIDI入力まわりの強化」の内容が明らかになった。
それによると

ステップ入力については、デフォルト状態でテンキーがショートカットに対応しており、[0]と[Enter]でステップ位置を前後移動、[1]で全音符、[4]で4分音符に変更できるなど、かなり痒いところに手が届く仕様です。ノリとしては、入力対象のトラックをピアノロール画面で立ち上げ、テンキーと鍵盤を駆使してカチカチとMIDIノート情報を打ち込んでいくといった感じでしょうか。

…とのことだ。 なるほどマウスでしか操作が出来なかった前バージョンまでに比べるとずいぶん改善されたんだなぁ。

◎Logicではこのあたりはどうなのか?
まず最初にやらなければならないこととして、環境設定で「ダブルクリック時にマトリックスウィンドウを開く」を選択しておくことと、キーコマンドで「A」「S」「D」「Q 」「W」「E」「R 」「N」「M」およびタブキー、スペースキーに割り当てられたキーコマンドを全て解除することだ。
特にキーコマンドに関しては、「S」にソロだったりと初期設定で既にキーが割り当てられているが、ここらのキーはMIDI INアクティブにした時の専用キー(変更不可)が既に割り当てられているので全部解除しないと、キーの競合が起こってよくわからない動作をしてしまう。 なんで最初から専用キーにダブったキーが割り当てられているのかは…不明。
(Windows Ver5はキーボードウィンドウによるステップ入力が実装されているが、こいつも他キーとの競合を起こしやすいので「ステップを進める」「ステップを戻す」以外のキーは全て削除してしまう)

◎初期設定が済んだら実際の打ち込みだが、Logic基本のお作法として「オブジェクトを作成し、編集する」と言うのがあり、当然アレンジウィンドウ(所謂オーバービュー)上にもまずシーケンスオブジェクトを作ってやる。 鉛筆ツールでアレンジウィンドウ上をクリックすると1小節分のシーケンスが作られるのでそれを適当な長さに伸ばし、ダブルクリックするとマトリックスウィンドウ(所謂ピアノロール)が開かれる。

◎さてここからが実際の入力だが、先程アサイン解除したキーには以下の分解能/機能が割り当てられている。
「A」…四分音符
「S」…八分音符
「D」…十六分音符
「Q」…三十二分音符
「W」…六十四分音符
「E」…現在の分解能より一段階高い3連符に設定(8→12、16→24 など)
「R」…現在の分解能より一段階低い3連符に設定「8→6、16→12など)
「N」…休符入力
「M」…次の小節へジャンプ
「B」…ノートを消去して1ステップ戻る
ゲート・タイムはステップ・タイムと同じ(実際の演奏は、シーケンス・オブジェクトの設定に依存する これは後述。)になるので、とりあえずマウスで入力するのであれば分解能だけ選んでコチコチとおきたい音符を置いていけばよい。
ベロシティはあとから設定しても良いが、Ver5のキーボード・ウィンドウのベロシティ選択を使うと手早く入力していける。
(キーボード・ウィンドウの強弱記号キーでベロシティを設定して、マトリックス上にノートを置いていく)

◎で、それよりも速くて実用的なのが所謂タイ入力だ。
MIDI入力をオンにして、分解能を選んでMIDIキーボードからノートを入力する。 鍵盤を押している状態でスペースキー/タブキーを押すか、サスティンペダルを踏む(ここ重要)と、1ステップ分音符が伸びる。 ベロシティは鍵盤を押した際のベロシティが入力されるので、テンポ良くタイを入力すると、「リアルタイムにフレーズを弾きながらステップ入力」という、タイ入力ならではの直感的な高速入力が可能になる。
…と、ここまではMusicatorでも同様のことが出来たが、Logicの特徴として
1)ノートオフを感知するまではあとから鍵盤を押しても、先の鍵盤と同じ位置に置かれる→Musicatorはノートオンを検知すると勝手にステップが進むため、和音入力時に「完全に同時に」和音を入力しないと開始タイミングがズレたりする。 特にウェイテッド鍵盤で入力していると起こりやすい現象だった。
2)サスティンベダルでもタイが入力できる→ピアノの入力など、両手のふさがった状態でもタイを入力できる。
3)入力中間違えてステップを戻しても、ノートが入力される→Musicatorはハングアップしてしまっていた(!!)
4)「消去してステップを戻す」をやると、同一タイミングにあるノートが全て消去される→ここはちょっと困った点。 直前に入れたノートだけを消去したいのに、和音が全部消えたりする。 一度MIDI INアクティブを切って、マウスで選択→消去とやれば問題ない。
…ってな感じで、Musicatorとは若干仕様が違う点はあるものの実用的なタイ入力としては何ら不自由が無く、むしろ「サスティンペダルでタイ入力」と言うのは、従来右手パートと左手パートを別々に入力していた手間から開放され、非常に便利だ。 難点は、連続して入力していると右足が吊りそうになってくることか?w

◎リアルタイム入力の場合はシーケンス・オブジェクトを作る必要も無く、ロケータを録音開始したい位置に合わせてレコーディングスタートすれば、あらかじめ設定したプリロール(デフォルトは2小節)分さかのぼってシーケンサーがスタートし、録音終了後は自動的にシーケンスが生成される。
また、リアルタイム入力と言えばつきものなのがクオンタイズ等によるタイミング修正だが、ここではシーケンス・パラメータが非常に役に立つ。

◎シーケンス・パラメータはシーケンスの内容を保持したままリアルタイムに再生結果を変更するもので、以下のパラメータを変更できる。
・クオンタイズ…八分、十六分など基本的なものからスウィング(6段階)、16+24等応用的なものまである。
・ベロシティシフト…入力されているベロシティ値に一定の値を加算/減算する。
・ダイナミクス(ベロシティコンプレッション/エクスプレッション)…64を基準としてベロシティ値のバラツキを大きく/小さくする。
・ゲートタイム…ステップタイムに対する割合を一括で変更。 固定値に設定することもできる。
・トランスポーズ…ノートの高低に一定値を加算/減算する。
・ディレイ…ノートの再生タイミングをティック単位orミリ秒単位で前後に移動する。
これらのパラメータはどんなMIDIシーケンサでもかならず実装される基本的な編集機能だが、たいがいは破壊編集だ。 しかしLogicは非破壊編集のため、そもそも「Undo」の必要がないし、結果が気に入らなければいつでも変更できる。

◎入力方法から話はそれるがLogicの「エイリアス」「ループ」の概念も強力で、これらを駆使するとリズムトラック等繰り返しの多いトラックもあっという間に作っていける。
エイリアスは親シーケンスの分身(エイリアス)に相当し、いくらでも作成可能な上親シーケンスを変更すればエイリアスも追従する。 またエイリアスの再生範囲(終了位置)は任意に設定できる(伸ばしても意味は無いけど)
またループは「次に置かれたシーケンスやエイリアス」に接するまで延々再生を繰り返す。 これらを利用すると、
「最初の1小節はシーケンス→6小節ループ→8小節目にリフのシーケンス→9小節目は1小節目のエイリアス→それをループ…」といった感じで、リズムループやアルペジオループをあっという間に組んで行ける。
Musicatorがいちいち小節単位(あるいはリージョン単位)のコピペを繰り返していたことを考えると雲泥の差だ。

◎とりあえずLogicにおいては、「最小限のフレーズ入力」さえすれば、あとはアレンジウィンドウでのトラック構築次第でいくらでもオーケストレーションを形成していくことができる上、その「フレーズの入力」の速度も速い。
フレーズさえ思いついてしまえば、ものすごい速度でオケを形成していけるのだ。

◎なお余禄として瑞田氏が指摘しているSONARの特徴についてのLogicでの状況(Ver5ベース)を列挙しよう。
・インラインピアノロール…ピアノロールではないが、シーケンスオブジェクトに簡易的なスコアが表示される。
・VST…もちろん対応。 Mac版はAU対応。 DXiは非対応。
・入出力ルーティング…Logic初心者が一番つまづくところ。 EnvironmentでオーディオやMIDIのオブジェクトを設定し、それをアレンジに貼るという「お作法」を理解すればわかりやすいのだが、そもそもその概念が理解しづらい。
・ステップ入力時の画面占拠…マトリックスウィンドウがバンと開くだけ。 ただしMusicatorとかSSWのような「ペイン式」の画面構成での作業に慣れてるとやはり邪魔かも。 ただ実際のところマトリックスとアレンジを同時に開いておく必要がある状況があまり無いので関係ない。
・マウスホイールの対応…ホイールによる表示領域の移動や、CTRL+ホイールによる倍率変更など、一通りホイール動作は追従する。 Mac最新版+Mighty Mouseではボールによる縦横自由自在のスクロールも可能。
こんなところかな。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

Win-LOGICが帰らぬ人となってからずいぶんと経ちますが、
正直最近のApple-LOGICのキラーアプリっぷりは、もはやキラーと言うよりジェノサイドと言いたいくらい脳天クラクラきますな。
少なくともソフトシンセ等でトラック作りに勤しんでる段階までなら、
恐らく最強の1つだろうかと。
(ま、そっから先は、本業な方々にゃ鵺とかツールズなんだろうが…)

嗚呼…LOGIC7…そこに痺れる憧れる…が新OS怖い。
今更マカー鞍替えムリポつーかINTELは逝ってるAMD萌えな私はひたすらハンカチーフを噛むしかないんです。・゚・(ノ∀`)・゚・。