2006/06/09

【Diary】燃費

◎かなり長い間更新をサボったが、RX-8燃費記録のページを更新した。 データ総数が85個になり、個々のデータで平均値が変動することもあまりなくなってきた。 ただ統計的には100個ぐらいサンプルが無いと偏差等の信頼性が取れないので、もう少し(あと2ヶ月ぐらい?)はかかりそうだ。

◎統計で見て8.133km/litre ±17%と、意外と変動幅がある。 しかも瞬間的な変動幅は2割を超える。 こんなデータは、統計を取ってみないと分からない。 「燃費いくら?」と聞かれても、大体感覚的な平均値を答えるのがせいぜいだし、普通それぐらいしかアタマの中にはインプットされていない。何がいいたいかというと、Typicalの状態でも2割変動する燃費に対して、やれボンディングワイヤーだのコンデンサチューンだのアースチューニングなどで「燃費が1割向上2割向上」などと言われてもなんら信頼性が無いし、1割程度の変動に優位差は無いということだ。

◎燃費グッズの無意味さについてはいろんなサイトで検証されているのでここでは割愛するが、そもそも燃費が向上するというのはどういう状態か考えてみよう。排気量が同一なら、ストイキ点での燃焼がもっとも効率が良い。 ガソリンの場合混合比が1:15.4だったかな。 ただ、常にストイキ点での燃焼を続けるということは、一定の出力を保つと言うことであり、それでは加減速を行う車の走行状態に対応できない。 このため、車のエンジンには必ず出力調整用のスロットル(吸気管の流入量調整弁)がついている。

◎出力を絞るためにスロットルを閉じると、吸入管の抵抗が増えるため空気吸入のためのピストン下降に要する負荷(ポンピングロス)が増える。(注射器の口を半分ふさいだ状態でピストンを引けば分かる) 当然スロットルが閉じていると流入空気量も少なく、エンジンは低回転状態だが、それでもポンピングロスに対抗するだけの爆発圧力を必要とするもしここで燃料供給量を1割も下げられたら、ポンピングロスに対抗できずにエンジンは止まってしまう。

◎また逆にスロットルが開くと、流入抵抗は減るが流入空気量が増えるためそれに応じた燃料を供給しないといけないし、冷却水~ラジエータだけではエンジン冷却が追いつかなくなるので、ガソリンの気化熱を利用したエンジン冷却を必要とし、冷却分も含めて余分に燃料を供給するために燃料供給量が増える。この部分の燃料供給量を1割も下げればオーバーヒートは必至だ。 実際チューニングエンジンがブローする最大の理由は燃調が薄すぎることだ。

◎では、そのテの燃費グッズが「燃料供給量を下げているのではなく、パワー効率を上げている」と言う仮定に立つとどうなるだろう。実はここでも矛盾が発生する。同一スロットル開度に対する発生パワーが上がると、そのままでは車は想定以上のスピードで走ってしまうためスロットルを戻す必要がある。 スロットルを戻せば先述したように吸気抵抗が増大するためその分燃料供給量を増やさないと出力が低下してしまう。 …ん? これでは燃費は良化しないじゃないか。

◎現実に存在する低燃費型エンジンというのは、 希薄燃焼(意図的に不完全燃焼させる)などでむしろスロットル開度に対する出力を下げ、吸気抵抗を減らすことでエンジン負荷を下げたり、実用的な回転数レンジにエンジン効率点を持ってくる(つまり全体としてはアンダーパワーとなる)ことで燃費を向上させている。一般的な燃費グッズが謳う「燃費向上!! 出力向上!!」とは逆の方向の技術開発をしているわけだ。 もちろん、「出力が下がりました」なんてことは車メーカは宣伝しないし、それはマイナス要因にしかならない。燃費グッズがつけいっているのはまさにこの領域で、メーカー側は「低燃費」しか謳わないが、燃費グッズが「低燃費・高出力」と謳えば、検証能力の無いユーザーはかならずそちらに飛びつくだろう。

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