2006/08/11

【Diary】日航機墜落事故

◎日本航空123便が「御巣鷹の尾根」に墜落し、520名が犠牲となった事故から21年が経過した。
21年前、私は家族旅行に出かけており、淡路島の宿泊所でこのニュースを聞いていた。
なにせ幼少の時分なのでそれ以外はほとんど記憶が無いが、連日連夜のニュースと、奇跡的に4名生還したニュースがセンセーショナルだったことは覚えている。

◎数年前、それまで公になることのなかった「事故時のボイスレコーダー音声」がテレビで放送され、それと前後してインターネットにて事故調査報告書から書き起こされたボイスレコーダ全会話内容録や、飛行経過図とあわせたFlashが公開された。

ボイスレコーダーと事故調査報告書を基にした123便墜落までの軌跡Flash
ボイスレコーダー音声/ACC交信記録
そしてそれより以前から、この事故に関しては様々な疑惑が持ち上がっている。 事故調査委員会によれば、墜落原因は過去に起こしたしりもち事故の修理ミスにより後部圧力隔壁に欠陥があり、金属疲労によって圧力隔壁が破壊され、機内の与圧空気が尾翼に集中した結果尾翼が破裂し、操縦不能に陥った、とされる。
ここで疑惑の中心となっているのが、「圧力隔壁の破損に伴う機内の急減圧を証明する物証が乏しく、むしろ急減圧は発生していないという物証のほうが多い」と言う点だ。

◎事故機は事故発生時に高度24000フィート、その後も所謂「大月大旋回」にいたる18分間はほぼ20000フィート台の高度を飛行している。この高度における外気圧は機内の40%程度しかない。
この状態で機体に穴が開いて急減圧が起これば、空気は2倍以上に膨張し、なおかつ50度を超える温度下降、そして秒速数十メートルにも及ぶ暴風が機内を吹き荒れる。 もちろん酸素濃度も40%しかないので、乗客のみならずパイロットも酸素マスクを着用しなければ、いつ酸欠症になるか判らない。

◎しかし、少なくともボイスレコーダ音声ではかなり後半になるまで酸素マスクに関する言及は無いし、事故発生時の警報音(客室高度警報音もしくは離陸警報音)も1秒間しか鳴動していない。(客室高度が下がっているなら鳴動し続ける)
また、客室乗務員の音声に風の音は入っていない。 そして何より生存者の証言で急激な温度下降や突風の発生は否定されている。
一方で異常事態発生直後の機体で現厚地に発生する白い雲(霧)が短時間発生していたり、酸素マスクが下降していたり、微弱ではあるが耳のつまりを訴える生存証言があるため、減圧現象そのものも否定できるものではない。

◎はっきりしていることは「尾翼が破壊された結果、操縦系統を全て喪失した」ことだが、事故調査委員会の調査報告はこれを「急減圧が起こったために尾翼が破壊された」と言う結論に持ってきている。 しかしこれを「尾翼が破壊されたために減圧が発生した」と考えるとある程度つじつまは合う。
つまり「尾翼を破壊するほどでもない緩やかな減圧」が発生したことによって霧や耳のつまりと言った症状が発生した、と考えたほうがある程度自然である。 酸素マスクの下降や警報音の鳴動は、尾翼破壊の衝撃に起因する(衝撃によってマスクが下降し、機体主脚の位置がずれて離陸警報音が発生した)としても説明がついてしまうのだ。

◎…と、このようにドシロウトの私でも少し考えると一般的に知られる事故原因が不可解なものであると言うことが容易に納得できてしまう。 ならば本当の墜落原因は何なのか? また公の事故原因はどのような経緯で公表されたものなのか? といった疑問や疑惑が出てくる。 今でも様々なところで議論を呼んでいるが、まぁ永遠に答えは出ないだろうし、まして自衛隊機がぶつかったとか生存者救助をわざと遅らせたとかの陰謀論まで持ち出して無茶な検証をするのはナンセンスだ。
事故原因が何であれ、520名の命が失われたことには代わりがなく、生き残った人、残された人がするべきことは、二度とこのような事故が起こらないよう、そして風化させることの無いように、この事故を伝え続けることである。
しかし日本航空は昨年、まさに事故発生20年と言うその節目の日に部品落下事故を起こしたりしている。
頼りにならない印象はあるが、どうか安全な空のたびを提供し続けてほしいものである。

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