2007/01/16

【Diary】プロの現場と、労働価値観

◎この3日間、訳あって某港湾地帯の倉庫にお邪魔していた。
この倉庫には工場から出荷された製品が一度入庫され、小売店や海外拠点からの出庫要求に応じて出庫されていく、いわゆる「中間倉庫」だ。
私の勤める会社の商品も当然出入りする(だからこそ私が行くわけ)だが、ウチの商品はモノがでかいし重いし個装だし入庫数量が少なくて在庫期間は長いしで、えらく迷惑をかけている(と思う)。

◎倉庫と言えば当然、屋内屋外とわずフォークリフトが走り回っているわけだが、なにせ流通の中間地点なので荷物の出入りが激しく、入庫はほぼ毎日だし、出庫は海外便ともなると相当まとまった数量(国際コンテナ数個分、とか)が出て行くため、非常にせわしくフォークが動き回る…というよりさながら戦争である。

◎何が凄いって彼らの荷捌きだ。 フォークの動きに一切無駄が無く走行中は常にトップスピード、それでいて切り返しも無く一発で荷をさばいて行き、箱に置かれた層別表だけを頼りに正確に荷を積んでいく。
私も(実は)フォークリフトの免許は持っているが、はっきりいってあんな調子で荷捌きしたら落とすかぶつけるか爪を突き刺すか…
また「倉庫」と言う業種は面積の有効活用ができてナンボ。 こーいう物流倉庫は大体天井高は5mぐらいあるが、5mの一番上に荷積みするのは並大抵のことではないし、だからといって慎重にやっている時間は無い。
隙間無く荷物を詰め込み、通路はフォーク1台分。 それすら埋まるかと思ったら、通路にすらなっていない荷物と荷物の間をこれまた全速でフォークがすり抜けていく。 ド迫力である。

◎また、結局この3日間同じフロアを行き来していたのだが、たとえ同じ商品であったとしても見に行く度に置いてある場所が違うではないか。 随時在庫確認をするのに、毎回商品を探して歩き回る羽目になったが、彼らからしてみれば次々と入庫する商品の置き場所確保のための整理・最適化を文字通り「常に」行っているのだ。 あの戦争のような入庫と出庫の合間を縫って。
当然最適化に手間取るとトラックや入庫・出庫口の職員を待たせることになるから、リフターが上がってくるまでには必ずリフターに戻ってくる。
仕事の速さ、正確さ、無駄の無さ…これぞまさにプロの仕事。 私は思わず仕事の手を止め、見入ってしまった。

◎10時と3時の休憩時には、従業員の皆様は皆喫煙所で休憩している。 普通に喋っている姿だけを見ていると、そこらへんの競馬場やら競艇場やらにたむろするオジサン達となんら変わることは無い。 しかし仕事となれば一変、目つきも手さばきもまるで違っている。 しかもこの時期の倉庫は寒く、防寒装備をしても風は冷たく息は白い。
私のようにオフィスでぬくぬく書類仕事をやる、「自称ホワイトカラー」は、彼らの働き振りを見ると自分がいかにラクして給料貰ってるか、ということを考えさせられる。

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◎ホワイトカラー・エグザンプション、所謂裁量労働と残業枠撤廃の動きが、サラリーマンの労働価値観の転換を迫っている。 確かに労働時間に応じた給料が支払われないと言う可能性を帯びるこの制度は反対の声は高いのも理解できる。
しかし考えてみると、「時間の対価で給料を払う」のは所謂ブルーカラー…「技能職」の人達の労働形態であり、ホワイトカラーを名乗るなら、重要なのは時間ではなく、その時間で何を達成したか、どんな役割を勤め上げたか、ではないだろうか。

◎「目標が何か」「その達成度は何か」「どのような成果が出ているか」を定義できないまま、オフィスでパソコンを叩き続ける仕事にどれだけの付加価値があり、企業として対価を払う価値があるか… 答えは明白であろう。
私は経営者でも何でもないしがない雇われだが、雇う側…企業が慈善行為でなく、給与の原資がどこから来るか、ぐらい理解しているつもりだ。
さしたる技能も体力も無い私が出来ることは、利益を生み出す彼らがさらに手早くスムーズに、気持ちよく仕事をして、さらなる利益を生み出せるようなモノを提供していくことなのだろう。

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