2005/11/25

【Maldives】アイランド・ホッピング …11/24

◎午前中をネット等でのんびりと過ごした後、午後から「アイランド・ホッピング」なるエクスカーションに参加した。
これは「現地人の住む島を観光する」というもので、リゾートによってはその後(宿泊しているのとは違う)他のリゾートに行ってサンセット・パーティーを楽しんだりするものもあるが、我々が参加したのは純粋に島に住むモルディビアンの生活を見る、というものであった。
正直最初は現地人の生活を物見有山で見物すると言うのはあまり気乗りがしなかった。
「富めるものの特権」のような感じがしたからだ。

◎昨日とは一転穏やかになった海をスピードボートがひた走る。
15分程走ってたどり着いたのは、漁師達の住む島「クダフラ島」だ。
マーレで見た風景とは違い、岸壁の脇には荒れ地と、発展途上国独特の街の風景があった。
ふと見ると、船がついた岸壁の隣の護岸が崩れている。


ガイドが言うには、スマトラ沖で起こった地震による「Tsunami
Damage」とのことだ。
「津波」に相当する英語やディベヒ語が存在しないので、モルディブではあの大波の事を「Tsunami」と呼んでいる。
岸壁のコンクリートは無残に流されて土砂が流出していた。
自分とはまったく因果関係が無いにしても、「Tsunami」と言う言葉の響きに、胸の詰まるような思いがした。

◎この島の島民は漁業によって生計を立てており、週6日、早朝から深夜まで寮に赴くそうだ。
それでいて1回の漁の稼ぎは平均50US$。
ただしこれは決して安い収入でなく、十分生活を賄えるレベルとのこと。

街の風景は鮮やかに彩られた民家が立ち並ぶ。
かつてはサンゴで家を建てていたのでベッドルーム・リビングルーム・ダイニングルームetc…が別々の棟に構成されていたが、コンクリート建築が出来るようになって以後コンポーネントな住宅を作るようになったらしい。

◎珊瑚の隆起によって島が形成されているモルディブでは、掘っても掘っても真水が出ないので、水事情が苦しい。各家庭には「For
Drink」と書かれた黒い巨大なポリタンクと、家の雨どいに直結した大きなタンクが備えられている。
雨水を集めて生活用水に使うのだ。

またこの島には湖があり、雨季のスコールのような集中雨で湖の水が満たされ、それを次の雨季までに少しづつ水を消費して行くようだ。

リゾートで使用しているような海水の脱塩プラントのようなものは設置できないので、生活用水の半分ぐらいは海水、と言うのも珍しくない。

◎こちらは学校だ。

モルディブには義務教育の制度が無いが、教育を受けるとなると日本で言うところの義務教育カリキュラムが一つの学校で施される。
特にマーレの学校では学校教育は全て英語で行われる為、ほぼ公用語として英語の使用が可能だが、クダフラ島のような地方の学校では英語とディベヒ語を織り交ぜた教育を行っている。また学校の時間は午前中と午後で、ランチ・タイムは各児童は一度家に帰って食事を摂る。
国家予算では給食までカバーできないモルディブならではの事情だ。

◎やがて海沿いの公園に出ると、現地女性たちによるダンス・ショーが始まった。
現地の音楽は3拍子が基本らしく、ツー・ステップを織り交ぜながらエキゾチックな踊りを披露する。
勿論全員イスラム女性なのでケープをかぶったままだ。

ちなみにこのダンスでは、ダンサーに促されるままに妻がダンスに招かれた。
本人はついていくのに精一杯とのことだったが、我々を含めて見る側の人間は非常に楽しませてもらったし、踊っていた本人も「楽しかった」と笑っていた。



◎クダフラ島の風景は、まさに発展途上国のそれであり、リゾートで味わうような高級感・開放感とは全く違ったものだ。
島民たちは漁業によって生計を立て、イスラムの戒律の中、素朴に暮らしている。

今回子供や女性の写真を結構撮ったが、最初私は彼らは私たちを避けるのではないかと思っていた。しかし彼らは屈託の無い笑顔で僕らを迎え入れる。
しかしそれには理由があった。
ツアーの最後でショッピング街(お土産ショップ)に立ち寄るのだが、彼らは積極的に僕らに名産品を薦めてくる。勿論商売上の論理からだろうが、そこにはもっと重い事情がのしかかっていた。

◎観光ガイドは恥ずかしがる事もなく、僕らにこう伝えてきた。
「モルディブは貧しい国で、この島のように国民は皆質素に、素朴に暮らしている。
だから皆様には、是非モルディブのリゾートを訪れ、観光を楽しんで欲しい。
そうすることで、モルディブに経済効果と外貨がもたらされ、我々は着実に豊かになって行く事が出来る」
平たく言えば、富める者こそ、モルディブの観光を楽しむ事でたくさんのお金をモルディブにもたらして欲しい、と言う切実な願いなのだ。
「世界中の貧しい国を救いましょう」といった趣旨の活動や募金は山のようにあるが、彼らはもっと現実的で、奇麗事で無い直接的な手段を求めている。
モルディブの豊かな観光資源と言うリソースをフルに活用して、自分たちの国を少しでも良くしていきたい、そう願っているのだ。

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