2005/11/03

【Diary】輝くもの

◎指輪を買った。 ありふれたアクセサリショップで、お世辞にも「プレゼント」とは呼べないような値段だった。 蒲鉾型の銀細工、アイビー模様をあしらい、薄桃色の貝殻がはめこまれていた。 「ふたりの象徴」と呼ぶにはあまりにもチープな代物。

◎それから3年が経った。 ヘビーデューティーな生活の中、傷と共に輝きは鈍くなり、貝殻は全て取れて真っ黒になった。 銀細工の宿命で、縁取りの銀は変色し、黒くなった。 私の指は太くなり、指輪の部分だけ、肉がくびれた。

◎それでもその指輪は、私の指で鈍く輝き続ける。 二人を繋ぎ続けた指輪。 「手」と言う普段から目にする部位に輝くそれは、距離や時間を飛び越え、二人の想いを結びつけ、二人の「繋がり」を証明し続けた。

そしてこの指輪は、私の宝物になった。 傷だらけの輝きに、今日までの日々がこもっている。 きっとこれからも、どこかで輝き続けるだろう。 宝箱の中で、あるいは私の指の中で。

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