2005/11/25

【Maldives】マーレ・エクスカーション…11/23

◎モルディブ共和国の首都マーレ(マレ、とも記載する)は、東西2.5km、南北1.5km、ほぼ長方形の形の小さな島だ。モルディブ総人口28万人のうちの1/4にあたる7万人以上が居住する、世界でもトップクラスの人口密度を誇る過密都市である。
過去には隣国スリランカの影響を受け仏教国であったが、現在の国教はイスラム教である。
しかしリゾートにおいてはそれを感じる事は殆どない。
アルコールは自由に飲めるし、肉類も種類を選ばず何でも食べられる。
唯一あるのは、スパ以外で女性スタッフを見かけないことだ。

◎我々はそんなマーレの街を市内観光するエクスカーションに参加することとなった。
勿論、イスラム教圏に立ち入るのだから、リゾート客と言えども服装には気を使う。
男性はスマートカジュアル、女性は肩/膝をカバーしたカジュアルルックが基本となるが、中にはそのへんの事情に気がつかないリゾート客もいる。(特にアジア系に多い)
少し悲しい気分になった。
我々と、隣のイフル島(アンサナ・スパ・リゾート)からの観光客を乗せたスピードボートは、スコール明けで低気圧の直下で荒れた海をマーレめがけてひた走る。

◎20分程でマーレに着く。
港はドーニ・タクシーや漁船、軍艦(!!)等がひしめいている。桟橋を降りるといきなり海岸沿いの大通り、「ボドゥタクルファヌ・マグ」に出くわす。



カブ風のミニバイクと、型遅れの日本車がひっきりなしに走っていて、一瞬東南アジアかと思うが、周囲の建物や人々はイスラミック独特の雰囲気を持っており、ここがイスラム教国であることを教えてくれる。

◎桟橋で日本語ガイド(なにやら怪しいオジサン)に引き連れられ、最初はイスラミック・センターに通される。
ここは1984年に完成したモルディブ最大のモスクで、5000人以上の巡礼者を収容できる。
真っ白に塗られ、屋上の金色のドームがひときわ目立つ。


イスラム教徒以外でも内部の見学が可能だが、上記の衣服規定が守られていないリゾート客は入場を断られ、それがOKだとしても靴は脱がされる。(靴下はOK)
内部の巡礼場も撮影はできないが、豪奢なアラビック模様の施された美しい礼拝場を見ることが出来る。
ちなみにこのモスク(現地語ではミスキー)の隣は警察署だが、ここを撮影してしまうと問答無用で逮捕され、カメラを没収されてしまうので注意。

◎次に通されたのはサルタン・パーク。かつてモルディブを平定していたサルタン王朝の王宮をそのまま公園化したもので、宮殿の一部が国立博物館となっている。



モルディブの歴史はイスラムへの改宗、中世の列強国との戦争、そして保護領としての歴史である。
この博物館はその中でも11世紀~19世紀、イスラム改宗から独立までの記念品を数多く飾っている。
サルタン王朝の玉座や装飾品、貨幣、衣服、武器、等も数多く展示されているが、意外に日本等の東洋文化を取り入れたものが多い事に気がつく。



特に王宮でのお茶会に使用されていたと言う陶磁器は日本の伊万里焼そのもので、お猪口などもあり、それには「寿」の文字が入っていた。

◎サルタン・パークは現在公園になっており、中にはレモングラス、ハイビスカスといった花が咲き乱れ、バンヤンツリー(菩提樹)が公園の真ん中に植えられている。



宮崎駿好きならバンヤンツリーを見てラピュタを連想するかもしれない。

◎その後、魚市場/果物市場を回る。
水産業がメインの産業であるため、非常に活気がある。
各島からドーニでマーレの魚市場までやってきて、ここで買って帰るのだ。
そのため買った魚をそのすぐ横で裁いており、新鮮な切り身(と言う表現もヘンか?)となって消費者に行きわたる。


一方農耕面積が確保できないため果物市場はその殆どが輸入品だ。物価はかなり安く、モンキーバナナが1房(50個以上はあろうか?)で数$程度だ。




◎マーレは、ごくわずかな土地に数万人の人がひしめき合う超密集都市だ。そして人口は現在も増え続けており、絶え間ない建設ラッシュが続いている。

モルディブの古い民家は珊瑚を壁材として利用していたが、現在のマーレではほとんどそれを見ることは無く、その代りに高層住宅が建ちはじめている。
言わば、現代の「軍艦島」さながらの様相である。

◎また、マーレの市街地にはアジア系発展途上国の文化と、イスラム教を中心としたアラビックな文化とが融合・共存し、さらには街の風景や博物館の展示品を見ると、日本の影響も非常に強い事が分かる。
モルディブと日本と言うのは意外と関係が深い。
観光立国とはいえ国連に「再貧民国」とランキングされるような小国に対して、成田・関空・福岡からの直行便が各週5便、スリランカ/シンガポール/マレーシア/タイの各国でのトランジット便も含めると、週20便近くがマーレへの航空ルートとなっていることも、その関係の深さを示している。
所謂アジア地域向けでは問題になっているODA(政府開発援助)によりモルディブにて絶対的に不足している穀物が輸入され、災害対策として国家全体をカバーする巨大な防波堤もODAで建造されている。また、民間レベルでは自動車・電化製品等が積極的にモルディブに輸入されている。
特に自動車は日本の中古車市場からあぶれた車が修理を受けてマーレの街を走りまわっている。
中には日本で使用されていたときの企業名がそのままプリントされた状態で活躍するトラック、なんてなのもある。

◎観光ツアーの最後の土産物ショップで、いろいろと買いこんだら当初の値段が1000$を超えた(値札はあってないようなもので、買ったモノの総合計を基準でディスカウントして最終的な値段を決める)ので、交渉しまくって200$近く値切らせたが、そうはいってもおそらくは結構ふっかけられた値段なのだろう。その時は「高いなぁ」と思ったものだが、アトから考えて「よかったのかな」と思った。
モノのよしあし、と言うよりも、観光客が落としていくお金や外貨を彼らは欲しがっているのだ。
我々富める先進国の観光客が、彼らに出来る本当の貢献、それは経済効果や外貨を供給する事。
奇麗事ではなく、もっとも切実で、かつ素直な方法論である。
その事を、僕は翌日に気がつくことになる。

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