2005/11/28

【Traffic】飛行機雑感

◎今回のMaldives旅行は全行程、スリランカ航空A340-300型のお世話になった。 成田の駐機場で最初にコレを見たとき、「アレ? 747じゃないのか」と正直思ってしまった。
「何を今時」と思うかもしれないが、海外旅行なんぞ14年ぶりな私にとって「日本の国際線路線が747以外で飛んでいる」と言うことに少なからず違和感を感じたのだ。
なんと言うか、イメージ的に、747クラスの機体じゃないと、長距離の国際線は無理なのでは…とか思ってしまう。 まぁ実際のところA340シリーズは-500は747を上回る航続距離を持っているし、-600は747よりボディが長いので(座席数は747のほうがおいが)、747ではオーバーキャパシティになってしまうような路線ではこちらのほうが都合が良さそうだ。
実際、成田~コロンボ間、コロンボ~マーレ間、行きも帰りもほぼ満席だったので、収益性は良さそうだ。
ちなみに日本でボーイングの機材(747、767、777)が圧倒的に多いのは、ボーイングの開発分担で日本の企業が多いから、とか言う理由があるとかないとか。

◎で、そのA340だが乗ってみるとエコノミーでも以外と快適。747で(私が)悩まされていた騒音がかなり押さえられている印象。 その代わりと言っては何だがよく揺れて(天候のせいもあるだろうが…)、内装部品がガタガタと震える。 特に離着陸のときは天井につるしてあるCRTが落下してくるのではないかと思うぐらい景気よく揺れた。 CRTの真下には正直座りたくないな。
飛行機の内装部品と言うのは結構安普請で、最低限の強度と機能が保たれた上でいかに軽量化できるかという観点で成り立っている。 このため耐衝撃や持続荷重(主に与圧)に対してはそこそこの強度が保てるが衝撃・振動吸収性に劣る薄手のプラスチックが使われているので、機体が揺れると内装はハデに振動する。 乱気流や離着陸時の振動程度でブッ壊れる事はないと分かってはいるが、衝突強度にしたって機体が急降下して人がが浮遊衝突すれば穴があくし、床に至っては床下貨物室に急減圧が起こると抜け落ちてしまう。
そもそも航空機の機体強度だって結構ギリギリで、気流が乱れると翼はハデにワウ振動している。 軽量化は飛行機の命題中の命題だが、工学的観点でいくと恐ろしいものが空を飛んでいるものである。

◎話は変わるが、昔子供心に「なんで着陸時は機種を上げたまま高度を下げられるんだろう」と思った。 高度を下げる際は機種が下がっているほうが直感的だが、機種下げ姿勢では前輪から着地するので着陸態勢には向いていない。 しかし、基本的に機種方向=エンジン推力方向なのに、なんで機種が上がって斜め下に推進力が出ている状態で高度を下げられるのか?
大人になってから考えて見ると、アレは高度を下げているというよりも「堕ちている」と比喩したほうが正確であることに気がついた。

◎着陸後の制動距離の事を考えると着陸時の速度は遅いほうが有利だが、速度が遅いと翼に働く揚力が減少して機体が落下してしまうし、いくらエレベータを操作しても機種など上がらない。
だからこそ飛行機はフラップ等の高揚力装置を(離陸時よりも強力に)展開させている。 さらに機種上げ姿勢を保つことで迎え角を大きくし、さらなる揚力を得る。
しかしここでエンジン出力を絞らないと機種上げ姿勢での斜め上への揚力が重力に勝ってしまい、地面から遠ざかってしまう。
と言うよりもこんなムチャな姿勢で速度を上げて上昇に転じると、迎え角が大きすぎて失速墜落してしまう。
(1994年に起きた中華航空機墜落事故は、意図せずこの状態になってしまった)

◎つまるところアレは、フラップ最大+迎え角で揚力を確保しつつ、エンジン出力を絞って上昇失速しない範囲で沈下率を調整するという、非常に制御パラメータが多く、かつそれらのバランスの取れた点を用いて「着陸姿勢」と言うものを保っているのだ。
これも工学的観点から見ると「よーやるわ」の世界だが、我々を含めて世界中の何千何万と言う人口がこの不安定な系の恩恵に預かって航空機に搭乗している。 しかもその大半はおそらくこんな余計な事はツユ知らずに…考えて見れば狂気の沙汰だ。
まぁ、飛行機なんて落ちてしまえばそれまでだし、1回の輸送客数が他の交通機関とは段違いで多いから、おそらく利用人口当たりの事故率を取ったら非常に少ない部類になるのだろうが…

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