2006/10/25

【Column】「技術力」とは何を指すのか

ITmedia:「過去の事故原因究明が不十分だった」──ソニーが電池問題を説明

>「ソニーのもの作りの力が落ちているのでは」という質問が相次いで出たが、中川副社長は「技術力が落ちたことは全くない。バッテリーの問題は生産工程で起きたこと。それ以外の分野では、業績もかなり回復してきている」などと弁明した。
◎こりゃまた凄いソニー節が炸裂。
まがりなりにも技術者集団を称するなら,自社の「技術力」と「生産」が切り離せない関係にあることぐらい,常識だと思うのだが,ソニーにとって「もの作り」と「生産」は別問題らしい。 「生産」がもの作りで無いとしたら,「もの」はどこで作るんだろう?

◎「技術力」は何も「優れた製品仕様をカタチにする」ことだけではない。
生産現場において「少ない工数で,高い歩留まりを確保でき,生産品質が安定する」ような生産が出来ないと,結果的にそれは供給不足や価格の向上と言うオツリとなってメーカー自身に帰ってくる。(結果的には売れなくなる)
そんなのを「優れた製品」とは言えないし,それらを実現する手段も立派な「技術力」ではないのだろうか。

◎シャープが何故生産現場をブランド化しているのか,トヨタやキャノンが何故生産革新を声高に叫びつづけているのか,ソニーには理解できないらしい。
シャープの例を挙げると、亀山工場稼動前は生産工程における設備・生産・品質確保・コストダウンといったノウハウが第三者を通じて海外流出してしまいアジア系海外企業との価格競争に巻き込まれたため、亀山工場では生産に関わる情報のほとんどをブラックボックス化した。 その内容は徹底しており、外注部品の図面は細分化してメーカを分散したり、生産設備の納入も据付から先の工程は全て内製化したり…社長や総理大臣ですら向上の中枢部の見学は許されなかったと言うエピソードは有名だ。
これらはひとえにシャープが生産工場におけるそれらのノウハウを「もの作りの技術」と認め、自社の技術価値を守るために行っているものだ。 最先端で波に乗る製造業者ほど、生産工程の技術力を重要視しているのだ。

◎一方で「生産工程の問題」と「技術力の低下」を分離してしまうソニー。 これじゃますます「技術力が落ちている」と言われても仕方があるまい。
「技術力」 は何も製品設計者や企画担当者の発想・実現力のみを挿す言葉ではないし、特に「設計者の実力」に偏重したプロダクトデザインに頼っていてはその製品はまず売れない。 いまや市場はスペックでなく、コストパフォーマンスと品質で売る世界なのだから。

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